3歳までで「個性」が決まる! 3歳までの子育てのポイント
【段階別】3歳までの「育て方のポイント」
別記事(https://oriori.education/2007019)で「脳」は、3歳までに約80%完成するということが紹介されています。「心」が育まれる環境も、妊娠初期の胎児期から始まり、3歳ころまでにその基礎がほぼ出来上がります。
では、赤ちゃんがいちばん成長する3歳までの時期、親はどのように接すればいいのでしょうか? 詳しく見ていきましょう。
1)生後3~5カ月の時期
生後間もないころは、聴覚が最も発達していますが、3カ月に入るころになると視覚がどんどん発達してきます。
周囲がよく見えるようになってくるので、そばにいる親などと強い信頼関係を結び始めます。
事情が許す限りこの時期には、できるだけ赤ちゃんのそばにいてあげたいですね。「いないいないばあ」などの遊びにも反応するので、たくさん遊んで、いつもそばに誰かがいるという安心感を赤ちゃんに与えてあげましょう。
また、睡眠のリズムができる時期なので、夜更かしなどの癖をつけないようにすることも大切です。
2)生後6カ月~1歳
生後6カ月~1歳は感覚能力がとても高まり、「共感能力」を育むためにはとても重要な時期です。
目の前にいる人の言動を脳内で自分のことのように共感する「ミラーニューロン」という神経細胞があります。
詳しくは別記事、『ママが笑うと子どももよく笑う?不思議な「赤ちゃんの笑いの発達」』で、詳しくミラーニューロンのメカニズムをご説明しましたので、是非、お読みください。(https://oriori.education/2007075)
この時期には、赤ちゃんの表情がどんどん豊かになっていくので、それを見る周囲の人たちまで楽しませてくれます。
赤ちゃんはこのようにして、だんだん自他の区別と共に、他者に自分と異なる心があることを知りはじめます。
この時期には周りの大人が赤ちゃんの表情をまねることも大切です。共感能力を育むには、擬声語や擬態語が多い絵本を読んであげましょう。ワンワン・ゴロゴロ・ドンドン・くるくるなど、音や様子をまねたものです。
谷川俊太郎さんは、擬音語をおとまねことば、擬態語をありさまことばと解りやすく言い換えています。『ぴよぴよ』『もこもこもこ』など、いくつか絵本もあります。
絵本の読み語りを聞いている赤ちゃんの脳は、感情の動きをつかさどる「大脳辺縁系」が活発になっていると言います。
赤ちゃんだけでなく、読んでいる親も「前頭前野」が活性化し、気持ちが落ち着いてきます。是非、試してみてくださいね。絵本読みによって、親子のつながりが一層強くなるので、一石二鳥です。
3)1~2歳は経験をいっぱいさせましょう
1歳を過ぎるころになると、脳の基礎的な神経回路がほぼ出来上がってきます。記憶が形成されはじめる時期になるので、多くのコミュニケーションをとって、たくさんの経験をさせてあげましょう。
この時期は立ち上がって歩けるようになるため、周りの色々なものに興味を持ちはじめます。触ってはいけない物、危ない物のことを教えなくてはなりません。
しかし、親が必要以上に子どもを守ることは考え物です。赤ちゃんは失敗を経験することを通して成長することも頭に入れておきましょう。
親がイライラせず、ゆったりとした気持ちで子どもの行動を見守ること、何かができたら、たくさん褒めてあげることが大切で、そのような環境で子どもはどんどん成長していきます。
4)2~3歳はひとりの人間として尊重する
2歳ころまでは「助けが必要な時期」ですが、2歳を過ぎるころからは「支えてあげる時期」に入ってきます。
もちろん、親が子どもを見守っていくことは大切ですが、子どもを「ひとりの人間として尊重する」ように接しましょう。そうすると、自分が自分でいていい、自分が大好きという自尊感情(自己尊重)が育ちます。
そして、子どもの気持ちを、できるだけ言葉で表現させるようにしてみましょう。まだまだ十分に言葉で上手に伝えられないことが多い時期ですが、気長に、せかさず子どもと接することが大切です。
5)3歳からは「焦らず見守る」ことが大切
3歳になると、自立心や好奇心がどんどん旺盛になってきます。運動能力やおしゃべりの基礎ができあがってきて、食事やトイレも自分の力で上手にできるようになっていきます。自我が育ち、自分でできる、自分でやりたいという気持ちが強くなってきます。
2歳ぐらいまでは、大勢の子どもの中に入ったとき、一緒に遊んでいるように見えても、実際には1人で遊んでいる「平行遊び」の状態が多く見られます。
でも、3~4歳になると、同年代の子どもへの関心もぐんぐん育ちます。交流を通して刺激を受けるので、積極的に公園などで遊ぶ時間を持つようにしましょう。
家庭内でも、食事の後、自分の皿をシンクまで持っていったり、洗濯物たたむ手伝いもできるようになります。
また、この時期はごっこ遊びが大好きです。ままごとや電車ごっこ、お店ごっこなど、役割を設定して遊ぶことを通して、社会にあるルールや、それを守ることを学習していきます。
公園で、友達とおもちゃの貸し借りをしたり、遊具の順番待ちや交替をするような経験からも、他人とのかかわりを学んでいきます。
2歳ぐらいまでは、まだまだ言葉で伝える力が十分ではありませんが、3歳ぐらいになると徐々に言葉で考え、それを相手に伝えることができるようになってきます。
言葉遊び、リズム感のある絵本を楽しんだり、登場人物の気持ちを想像して読み手に伝えてくれるようにもなります。言葉遊びが楽しい絵本『おやおやおやさい』などがおすすめです。
どんどん会話ができるようになりますが、まだまだ言葉や表現の言い間違いも多い時期です。そんな時、親はついつい訂正したくなりますが、そっと見守りましょう。訂正しないことで言い間違いが定着してしまうということはないので、伝えたいという気持ちを大切にしてあげましょう。
手遊び、身体遊びも、上手にまねして積極的に楽しむようになります。
子どもと一緒に”親も成長していく”というスタンスが大切
以上、3歳までの乳幼児の育て方のポイントをお伝えしました。
子どもの成長とともに、親の接し方も少しずつ変えていくことが必要です。子どもと一緒に親も成長していくというスタンスで良いのではないでしょうか。
子育てに「必ずこうしなければならない」ということはありません。子どもの成長も発達も様々なので、自分の子どもをよく観察し、見守る姿勢でのぞみましょう。まさに、「子育てに正解なし」です。
最後に、筆者がお伝えしたいこと、それは子育てにコスパ感覚を持ち込まないということです。ゆっくり、じっくりが基本ではないでしょうか。
この記事が子育てを頑張っているママやパパの参考になればうれしく思います。