親も子も自覚しにくい「教育という名の虐待」に注意!
教育虐待とは?
一般的に、虐待の概念には身体的虐待(暴行・たたく・つねるなど)・心理的虐待(暴言・罵倒など)・社会的虐待(無視など)などが含まれます。
教育虐待は、教育熱心過ぎる親が、過度な期待を子どもにかけ、子どもの人権を無視して習い事や塾通いなどを無理強いさせる行為です。
「あなたのため」という大義名分のもとに親が子に行うため、「しつけ」との境界があいまいです。子ども本人が苦痛を感じている場合は、しつけではなく虐待です。
すなわち、教育虐待とは「子どもの限度を超えて、苦痛(虐待)を与えてまで勉強させること」です。武蔵大学の武田信子教授が「子供の受忍限度を超えて勉強させるのは教育虐待になる」と論文内で述べたことがきっかけで使われ始めました。
教育虐待の罠にはまらないために
では、どうすれば教育虐待を防ぐことができるのでしょうか?
教育虐待の主な原因は親にあると言っても過言ではありません。親がイライラを解消したい時は、自分を変えるべきで、親自身が自分の中の未熟さに気づき、向き合うしかないのではないでしょうか?
もし、読者の中に、教育虐待をしているかもしれない、わかっていても止められないという方がおられたら、児童相談所や専門の心理カウンセラーに相談してみることをお勧めします。
プロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康さんは、次のように指摘します。
教育虐待は親も子も自覚しにくいのが怖いところだ。「東大生のほとんどは幼い時に公文とピアノを習っていた」と知れば、目の前にいるわが子の興味などお構いなしに教室に入れたり、「4年生から始まる人気受験塾に入れたいのなら、低学年のうちから席を確保しておかないと入れなくなってしまう」という噂が流れれば、われ先にと入塾させる。なんでも早く始めるのが有利という風潮が、以前にも増しているように感じてならない。
西村氏は決して習い事をさせるのが悪いと言っているわけではありません。
子どもに関心があれば、やらせればよいし、やらせすぎに対して警告を発しているのです。習い事の詰めすぎは子どもの自由を奪い、遊び時間を奪ってしまいます。子どもは自由な遊びから判断力、問題解決力、予想力、想像力、表現力などを身につけると主張しています。
教育虐待セルフチェック!
- 子どもは自分とは別の人間だと思えていますか?
- 子どもの人生は子どもが選択するものだと認められていますか?
- 子どもの人生を自分の人生と重ね合わせていないですか?
- 子どものこと以外の自分の人生をもっていますか?
上の問いに自信をもって「YES」と答えられない場合、教育熱心であるがゆえに教育虐待の罠にかかってしまう危険性があります。(参考:『ルポ 教育虐待-毒親と追いつめられる子どもたち』)
さいごに
「ルポ 教育虐待-毒親と追いつめられる子どもたち」の著者で、教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は、教育虐待をしそうだ(している)と思う親にとって、子どもに対してイライラすることは、親(自分)の未熟さに気づくチャンスだと言います。罠に落ちないよう、しっかりクリティカル・シンキング力を養って、子どもを1人の人間として尊重することが大切です。教育虐待は子どもの人権侵害です!!