保育園留学って?地方ならではの体験ができるプログラム
地域と子育て家庭をつなぐ保育園留学とは
「 保育園留学」は、食と文化を通して地域とつなげる事業を行っている、株式会社キッチハイクが地方自治体と共同で運営している保育園児の留学プログラムです。留学を行っている地域に家族で滞在し、その地域の保育園に子どもを通わせます。
滞在期間は1週間から3週間。自然豊かな環境の中で子どもをのびのびと育てることができるため、受け入れ枠がすぐに埋まって、キャンセル待ちになってしまうほど注目されています。留学を終えた家族も90%以上がまた戻りたいと希望するほど、充実した体験が得られることで話題になっています。
保育園留学のメリット
人気の高い保育園留学。子どもの成長につながる貴重な体験ができるだけではなく、一緒に地方に滞在するパパママにとってもメリットがあります。そして、人口流出で悩んでいる地方自治体にとっても、地方創生につながる画期的な役割を果たしているのです。ここからは、そんな保育園留学のメリットについてチェックしていきましょう。
広い園庭のある保育園で子どもをのびのび育てる体験ができる
都市部では地価の上昇にともなって園庭のない保育園が多くなり、ビルの中に保育園があるということもしばしば。待機児童の問題がある地域では、園庭の有無で保育園を選ぶことはできず、とにかく保育園に入ることが重視されがちです。
保育園留学は、そういった都市部の保育園に通っている子どもでも、地方の自然の中や広い園庭でのびのびとした保育園生活を体験できることが魅力なのです。
自然の中での体験を活かして生きていく力が養える
地方の保育園にはその土地や地域ごとの特色があります。山や海、田んぼといった保育園のまわりにある自然にふれあえる保育を行っている園もあります。
幼児期は子どもの感性を養うための大切な時期です。子どもの頃から自然にふれる機会をたくさん持たせることによって、感受性や五感が刺激され、知識や知恵を生み出すきっかけになっていくとされています。
保育園での活動だけではなく、休みの日には親子でその土地ならではのアクティビティができるのも魅力のひとつ。都市部では体験できないような経験を通して、家族で思い出をたくさん作れるのもうれしいポイントです。
地域の食材を生かした食育体験ができる
保育園留学を通して、地方ならではの食材に親しむことができます。保育園でお米や野菜など、地域ならではの食材を育てて食べるという体験はもちろん、日々の食事でも地元の食材を楽しむことも可能です。
道の駅や直売所といった施設が宿泊施設の近くにあるため、地域の新鮮な食材を気軽に手に入れることができ、毎日の食事にその土地ならではの味を楽しむことができます。釣りや収穫体験といったアクティビティからも、食について学びを深めることができるでしょう。
保育園留学×ワーケーションでパパママにもうれしい
保育園留学は、子どもだけではなくパパママにもメリットがあります。コロナ禍でリモートワークが取り入れられるようになり、家の中にこもりきりで仕事をしているパパママも多いのではないでしょうか。
パパママにとって保育園留学は、そんな閉鎖的な仕事環境を変えてリフレッシュができるワーケーションの役割も兼ね備えています。宿泊施設にはWi-Fiやデスクなど、仕事がしやすい環境がしっかりと整備されています。生活必需品もそろっているため、子どもがいても必要最低限の荷物で訪れることができるので、利用しやすいですよね。
関係人口が増えるから地方活性化も期待できる
2021年に実施された北海道厚沢部町での保育園留学は、地方創生につなげるためのプラットフォームである内閣府の「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」において優良事例に選出されました。
地方にある活用しきれていない物件や保育園、特色ある地域の暮らしを保育園留学という形で融合させることによって、家族ぐるみでその地域に関わる機会をつくり出しています。それだけではなく、保育園に園児が増えることによって、新たに保育士の雇用につながるなど、関係人口の増加によって地方創生が期待されています。
保育園留学にかかる費用
保育園留学にかかる費用が気になるところですよね。保育園留学自体の費用は、保育園の一時預かり料金をはじめとして、光熱費を含んだ宿泊費、生活備品の貸し出し、Wi-Fi使用料やコワーキングスペースの利用料などを含んだプラン内容で、2週間滞在して20万円から。そこに移動費や食費などが加わるほか、賃貸に住んでいる場合は留学中の自宅の家賃を払う必要があります。
保育園留学ができる地域
ここからは実際に保育園留学ができる地域を紹介していきます。それぞれの地域ならではの特色ある保育園がたくさんです。
北海道厚沢部町
「世界一素敵な過疎のまち」を目指す、北海道厚沢部町にある認定こども園「はぜる」 は保育園留学がはじまった、第一の地域です。2019年に開園した園舎は地元の木材がふんだんに使われ、吹き抜け天井で開放感のある遊戯室にはボルダリングも設置されています。室内でもめいっぱい身体を動かすことができるのは魅力ですよね。
園庭は公園の芝生や築山だった場所をそのまま活用。広い芝生の園庭を走り回ったり、冬は築山に積もった雪でそり滑りをしたりと、のびのびと遊べます。園庭には菜園畑もあるため、夏には育てている野菜を収穫して、友達と一緒に食べる楽しさを味わうことができます。
週末に親子で楽しめるアクティビティもいっぱい。シイタケやキクラゲの栽培見学やじゃがいも、アスパラ、ブルーベリーなどの収穫体験、郷土料理教室など、その土地ならではの食体験が可能です。
熊本県天草市
熊本県では、天草市にある認定こども園「もぐし海のこども園」 への留学が可能です。ウミガメが産卵に来るほどきれいな海水浴場の近くに位置しているため、1年を通して海とふれあい、五感をいっぱい使って遊ぶ機会にあふれています。園庭には遊具の代わりに自然とふれあえるきっかけがたくさん。自然にあるものを使って、時には泥だらけになりながら独創的な遊びが楽しめます。
滞在するエリアは熊本県内で最大の漁港があり、新鮮な海の幸を堪能することができます。週末には釣りやダイビング、グラスボートといったアクティビティを体験することも可能です。
新潟県南魚沼市
新潟県の留学先は日本一の米どころである南魚沼市の認定こども園「金城幼稚園・保育園」 です。園庭の一角には田んぼがあり、田植えや稲刈りといった体験だけではなく、田植え前の準備である代掻きや稲刈り後の脱穀を通し、収穫したお米をぬか釜で炊いたご飯を食べるといった、米づくり全体の過程を季節ごとに体験できます。保育園にいながら田んぼに生息しているカエルやバッタなどの生き物とのふれあいができるのも魅力です。
週末には市内いくつかのスポットで見ることができる雲海を観測しに出かけたり、レンタサイクルを借りて田んぼの間を自転車で駆け抜けたりと、都市部ではなかなかできない体験を楽しむことが可能です。
岐阜県美濃市
岐阜県の留学先は、美濃市のお寺が運営する認定こども園「美濃保育園」 です。森林が多い美濃市では身近な地元の木材を使った開放感のある園舎。木のおもちゃやたくさんの積み木を使って遊び、木のあたたかみを体感して感性豊かな心を育てる「木育」が取り入れられています。
生活圏内は歴史的な建物が並び、宿泊施設から保育園までも徒歩で行けるため、街並みを楽しみながら暮らすことができます。古民家を活かしたおしゃれな宿泊施設のそばには、道の駅があるため、地域の食材や郷土料理に親しむことができるのも魅力。必要な物がコンパクトに集まっている街なので、保育園の帰りに散歩をしながら買い物することも可能です。
長野県上田市
東京からは電車で90分というアクセスの良さを誇る長野県上田市は「ISNプレスクール上田・上田原キャンパス」 へ留学できます。複雑化している世界を理解して対処するための総合的・国際的な教育プログラムである、国際バカロレアの認証を得た国際基準の英語を学ぶことができるのが魅力。それだけではなく、親しみやすいテーマに対して多角的に学びを深め、わくわくしながら子どもの主体性や独創的な遊びを伸ばせる取り組みが多いです。
宿泊する地域には地元の人が通う道の駅があるため、毎日の料理に地元の新鮮な野菜を使うことができます。週末にはキャンプやトレッキング、カヤックなど、長野の自然を楽しめるアクティビティがいっぱい。冬は1時間弱で行けるスキー場で雪遊びを楽しむことも可能です。
富山県富山市
2023年2月現在、プレオープンを行っているのが、富山市にある認定こども園「上滝保育園」 です。山裾にある保育園なので、日常的に自然とふれあうことができるほか、国立立山青少年自然の家での活動も。夏は登山や昆虫採集、冬には雪遊びといった自然を体いっぱいで楽しめるプログラムに参加することができます。縦割り保育を行っているため、年齢の垣根を越えて人と関わる心を育てます。
週末には30分で行ける立山の大自然を満喫。山菜取りやキャンプ、紅葉狩りやスキーなど四季を通して様々なアクティビティを楽しむことが可能です。宿泊施設のそばには地元農家さんこだわりの野菜が並ぶ産直所があり、富山ならではの食材が楽しめます。
山梨県4地域
南アルプスをはじめとした山々に囲まれた自然あふれる山梨県は、東京からのアクセスの良さが魅力です。2023年2月現在、早川町をはじめとする富士川町、身延町、甲府市の4つの地域でプレオープンを行っています。
「早川町立南保育所」のある早川町は「日本 で最も美しい村」連合にも登録されている自然豊かな山間の町です。保育園で山の自然と遊ぶプログラムを体験できるだけではなく、森のコテージに滞在できるため、林間学校のような生活を楽しむことができます。
富士川町の留学先は、1日を森の中でのびのび過ごせる「森のようちえんきらきら星」 。自然の中の外遊びを通して、危険を知り、選択する力を養い、心の自立を目指しているのが特徴の園です。園舎はあたたかみのある古民家となっています。
身延町では、認定こども園「大野山保育園」 に留学できます。保育園の近くにはコンセプトの異なる3種類の畑があります。1つ目は、子ども達が育ててみたいものを育てる「ワクワクする畑」。2つ目は身延町の特産であるあけぼの大豆を育てて、ふるさとと「繋がる畑」。3つ目は地域の人たちと交流しながら育てる「愛でる畑」。それぞれの畑から自然や食、地域に親しむことができます。身延山・久遠寺エリアに宿泊施設があるため、宿坊に泊まることができるのも、普段体験できない貴重な経験ですよね。
県庁所在地である甲府市では、絵本から飛び出したようなかわいい園舎が特徴の「宮前保育園」 へ留学することが可能です。赤毛のアンをイメージした園舎は子どもの想いを叶えたいという願いがこめられています。食の安心や安全をモットーにした手作りの給食は無添加、有機食材にこだわり、友達と一緒に食事をして旬の食材に親しむ食育がされています。
さいごに
感受性豊かな幼児期だからこそ、自然の中でのびのびと遊べる経験をさせたいというパパママも多いでしょう。普段とは違った環境で子どもを育てることで、子どもの意外な一面が見えてくることもあります。地方に滞在して子どもにかけがえのない経験をさせることのできる保育園留学は、そんなパパママの願いをかなえることができる魅力的なプログラムです。子どもが大きく成長できる特別な機会として、保育園留学を検討してみても良いかもしれませんね。
参考サイト
- 保育園留学®️|保育園留学®️|地域と子育て家族をつなぎ、未来をつくる留学プログラム(https://hoikuen-ryugaku.com/)
- AERA dot. (アエラドット)|北海道に「子連れワーケーション」を実現した人も 自治体は“関係人口”創出に期待(1/2)〈AERA〉(https://dot.asahi.com/aera/2021093000016.html?page=1)
- @DIME アットダイム|問い合わせが殺到する北海道・厚沢部町の「保育園留学」は地方活性化のヒントになるか?(https://dime.jp/genre/1399393/)
- INTERNET Watch|「保育園留学」が新潟県南魚沼市と岐阜県美濃市で開始、家族まとめて移住体験しリモートワークも可能(https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1445106.html)
- PR TIMES|内閣府運営「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」の2021年優良事例に、キッチハイクの「保育園留学」が選出 |株式会社キッチハイクのプレスリリース(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000115.000006899.html)