
集団行動が苦手な子どもの特徴と原因!子どもの心理を踏まえた対処法とは?
集団行動ができるのは何歳から?
何歳くらいになると、子どもが他者とかかわりはじめ、集団行動ができるようになるのでしょうか。個人差があるので、一概には言えませんが、参考までに目安をお伝えしましょう。
2歳ではまだ集団行動は無理
2歳くらいになると、身体機能が発達して走ったり、踊ったり、自由に体を動かせるようになります。これまでは、目の前にあるおもちゃだけに集中していた子どもも、周りにいる子どもを認識できますが、まだ言葉も少ないため、仲良く遊ぶ方法がわからず、衝突することがあります。
3歳は平行遊びが多い
3歳になるとだいぶコミュニケーションも上手にとれるようになって、砂場で一緒に遊んだり、同じおもちゃを使って遊ぶなどができるようになります。
相手の反応も見ることができるようになりますが、この時期はまだ自我が強く、譲り合いなどはできないため、友達と衝突しがちです。
この時期は、同じ場所で遊んでいるけれど、互いに関わり合いを持たない「平行遊び」が多いです。
4歳~5歳では遊び仲間が増える
他の子どもとコミュニケーションを取るようになり、遊び仲間が増えていきます。仲間がいることの喜びや楽しさだけでなく、競争心も起き、ケンカが増えますが、時には我慢したり、譲ってあげるなどのコミュニケーションも上手になってきます。
5~6歳で養われる社会性・協調性
幼稚園や保育園などで集団生活が長くなるにつれ、社会性や協調性が養われていきます。
他の子どもの気持ちを考えたり、話し合ったり、協力し合ったりすることができます。
集団行動ができない理由は?子どもの心理は?
集団行動が苦手な子どもは、集団行動の理由がわからない場合が多いようです。なぜ今みんなと同じことをしないといけないのか、集団行動そのものの必要性を理解できてないので、常に自分のペースで動いてしまいます。
自分のやりたいことに夢中になってしまう子どももいます。大好きなことに集中するあまり、集団への意識が薄れてしまうのです。
また、集団行動の経験が少ないと、指示をされてもどうやって動いたら良いのか分からないという場合もあります。
その他、集団の中にいると不安になる子どももいます。内向的でおとなしい子どもに多く見られ、大勢に圧倒されてしまうのですね。
少し困ったことですが、大人の気を引くためにわざと集団から外れて目立つことをする子もいます。これは、大人が怒るのを楽しんでいたり、自分に注目してほしい場合などです。
ここで、集団行動ができない子どもの特徴をまとめてみましょう。
- 自分勝手な行動をしているという意識がない
- 内向的、引っ込み思案、大人しい性格
- 集団に慣れていない
- 興味の対象が変わり易く、自分だけ他のことに夢中
- 自分に注目して欲しい
どうする?集団行動が苦手な子どもの対処法
それでは、集団行動が苦手な子どもへはどのように対処していったらよいでしょうか?
叱らずに、言葉がけをし、じっくり話を聞いてあげる
無理やりさせることは避け、「みんなのように、○○くんもできるかな?」と言葉をかけてあげましょう。
集団行動が必要な理由を分かりやすく、具体的に説明することも大切になります。その子が何に興味があるのかを聞き、それを集団で行ってみるのも一案です。
不安な気持ちを取り除く
緊張や不安から集団行動ができない場合は、親がそばにいること伝え、安心させてあげましょう。
「大丈夫、ママが見ていてあげるからね」
場数を踏む
地域の子育てセンターなどに出かけて、大勢の大人や子どもに接することに慣れさせましょう。
次に具体例をあげて、ケーススタディーをやってみましょう。読者の皆さん、保育園の保母さんの立場になって考えてみてくださいね。
ケースから考える子どもへの対処法
B君は絵本読みや紙芝居の時間が苦手です。みんなが輪になって席についている間でも、保育園の部屋の中を走り回って、大声で何かしゃべっています。
さて、皆さんはB君にどのように接しますか?
「B君は、どんなことがしたいの?」と聞いてみるのもいいでしょう。その上で、B君の興味の持てそうな遊びを選んで、集団に誘ってみましょう。
決して頭ごなしに叱るのではなく、集団行動が必要な理由を説明しましょう。子どもなりに理解できれば、集団行動が無理なくできるようになるかもしれません。
今騒ぐことがなぜいけないのか、どうして一人だけ違う行動することがいけないのかということについて、具体的に分かりやすく話をしてあげましょう。
「先生が絵本を読んでいる時にBくんが騒いでいると、先生の声がみんなに聞こえないよ。静かにしてほしいな」
一方でB君の個性を大事にしながら、集団にも馴染めるようにするにはどうすればいいかということについて考えることが大切ではないでしょうか。
集団行動が苦手なのは「母親にべったり」が原因?
次に、大変興味深い科学的エビデンスをご紹介しましょう。
ベネッセ教育総合研究所が2015年に、首都圏に住む 0 歳から6 歳(就学前)の乳幼児をもつ保護者4034 名を対象に、「第5回 幼児の生活アンケート」を実施しました。
この調査は、1995年から5年毎に実施され、2015年の調査が第5回目となります。調査結果を経年比較することで、20年間の変化をたどることができます。
2015年の調査結果で、幼稚園・保育園以外で「友だち」と遊ぶ幼児が20年間で56.1%から27.3%へ半減し、「母親」が 遊び相手の子どもが55.1%から 86.0%に増加しました。
幼稚園児だけの結果では、園以外で「友だち」と遊ぶ割合は 72.9%から 44.5%に減少し、「母親」は 33.6%から 82.1%に増加しました。
また、母親が子育てで「友だちと一緒に遊ぶこと」に「とても」力を入れている割合は2010年から2015年の5年間で25.4%から 19.6%へ減少しました。
園への要望では、「集団生活のルールを教えてほしい」、「子どもに友だち付き合いが上手になるような働きかけをしてほしい」が減少傾向にあることもわかりました。
参考:https://berd.benesse.jp/up_images/research/press1511251.pdf
読者の皆さんは、この結果を見て、どのような感想を持たれたでしょうか?子育ての中心を占めているのが、園と母親であることが、筆者には少し気がかりでもあります。
この結果からも分かるように、今は地域とのつながりが大変希薄になっています。母親と子どもの距離感が近すぎる状態だと感じます。
ベネッセの研究チームは以下のようにコメントしています。
幼児が多様な人と関わることは、より豊かな成長につながると考えます。園以外で友だちと遊ぶ際には友だちだけでなく、友だちの家族と話すこともあるでしょう。保護者にとっても、他の子どもの様子を見たり、他の保護者の子どもへの関わり方を知る機会は子育ての参考になります。
さいごに
子どもの社会性を育むためには、多くの友達と接する機会を増やすことが重要です。積極的に同年代の子どもが集まる地域の催しや、親の交友関係を生かした集まりに参加するようにしてはどうでしょうか。