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ピアジェの「4つの発達段階」とは?発達心理学者が唱える“知育に活かせる理論”をご紹介

oriori編集部
2020/10/19 23:10
「2歳の我が子、注意しても、注意しても、言うことを聞かない!!」そんな時、子どもにどう接したらよいのか、途方に暮れてしまうことはありませんか?この記事では、ピアジェの「4つの発達段階」をご紹介します。実は子どもには「できない時期」があると、ピアジェは言います。「発達段階は、個人差があるものの、子どもの経験には普遍的な順序がある」と。それぞれの発達段階を知ると、子どもの成長に合わせた適切な接し方がわかります。是非、育児の参考にしてくださいね。

児童心理学者ジャン・ピアジェって、どんな人?

みなさんは、スイス、ジュネーブ大学の教授で、発達心理学者であり、児童心理学者であるジャン・ピアジェ(Jean Piaget)をご存じでしょうか?

彼は研究者・学者としての生涯を、子どもとの対話・子どもの観察・児童心理学に関するレポートの読解に費やし、人間には共通した「発達段階」があるとして、新生児から青年期までの知能の発達を臨床的、科学的に明らかにし、20世紀の心理学の進歩に大きく貢献しました。もう少し分かりやすくお伝えすると「子どもは大人とは違った考え方をすること」を発見したということです。

ピアジェの生い立ち

ピアジェは、1896年8月9日にスイスのヌーシャテル(フランス語圏)で、ヌーシャテル大学の中世文献学の教授である父親とプロテスタントである母親の間に生まれました。小さいころから優秀で、なんと10歳の時に白スズメに関する論文を発表、そしてその論文が博物館の館長の目にとまり、彼のもとで放課後非常勤の助手を勤めることになりました。19歳で、ヌーシャテル大学動物学科を卒業し、ローザンヌ大学、チューリッヒ大学、パリ大学などは心理学を学び、その後いくつかの大学で教鞭をとり、パリ大学では児童心理学講座の教授を務めました。

50冊以上の本と500本以上の論文を発表し、世界に多大な影響を与えたと言われており、20世紀の科学者、思想家で最も影響力のあった100人に選ばれ(タイム誌)、アインシュタインとともに10人の偉人にも選ばれています。ピアジェの考え方はフロイトの「リビドー発達段階理論」、エリクソンの「心理社会的発達理論」と並んで3大発達段階説とされています。

知育に活かせるピアジェの理論

子どもは、実験を繰り返す小さな科学者である

これはピアジェが言った言葉であり、多くの教師に指示されている考え方です。自分の子どものよくわからない行動を見て、「なんでこんなことをするんだろう」と思ったことはありませんか?そういった大人からするとよくわからない行動が実は「子どもなりに秩序と論理を持った考え方」によって生まれているというのがピアジェの考え方の根底です。つまり、子どもたちは子どもたちなりに、実験をして学んでいるのです。

そう考えると、「子どもに正しい知識をインプットしていくだけの教育」「間違いを正して正解を教えるだけの教育」は本当に良いのかと思えてきませんか?子どもたちが「こういう実験をしてみよう!」「これをやるとどうなるのだろう?」と考えて行動したときに、いきなり大人から「それは違うよ。こうやるんだよ。」と間違いを正されたり、実験を中断させられたりすると、子どもたちはどう思うでしょうか?段々と好奇心・モチベーションが削がれていってしまう気がしませんか?

何かを性急に教えようとするたびに、自分で理論を作り直す機会を奪っていることになるのだ

この言葉は、自分の子どもと向き合う時に常に思い返したい言葉ですね。

ピアジェが考える「こんな教育はダメ!」

ピアジェは本質的な理解をしていない「暗記のみ」の教育に違和感を覚えていました。“数”の単元で例をあげましょう。

ピアジェが違和感を覚えていたのは、数字の100までを単に数えられるという「暗記のみ」の教育です。もちろん“数”の概念を理解するための第一歩として「数を数えられる」ことは大切ですが、それだけではなく“数”の本質的な理解をしなければなりません。

  • 10という数字は3と7に分けることができる。
  • なので、10から3がなくなると7になる。
  • そして、3と7を合わせると10になる
  • 10は5と5にも分けられるし、2と8にも分けられる。
  • 10が10個あると100になる。
  • つまり100を10個に分けると10の塊が10個できる。

そういった本質的な理解をすることが大切であるとピアジェは説いています。

さらに、そういった理解を進めていくことによって「10はほかにどんな数に分けられるだろう?」「7という数字は何で半分に分けられないのだろう?」といったような“能動的な思考”を育むことが大切だと言っています。

「一つも間違えない正解が大切か?」「失敗を積み重ねて得られる理解が大切か?」親として子どもの教育を考えるうえで気にしておきたい考えですね。

まずは「認知発達段階説」を分かりやすく解説!

ピアジェは、「認知発達段階説」というものを提唱しています。認知発達段階説とは、人の知能・心理の発達を「生物的な成長」と「成長過程の中で知識・経験を重ねたことによる成長」の両面からとらえたものです。

言葉を分けて考えましょう。まず「認知発達」とは、何もわからない生まれたばかりの赤ちゃんが、何かモノを見たり、触れたり、動かしたりするなかで“そのモノ”を理解していくということです。そして、いろんなもの・こと・ひとに見て、触れて、体験し、知らなかったことを理解していくことで、どんどんと認知力が高まっていくということです。そして「段階説」とありますが、ピアジェはその認知力の獲得プロセスについて、「発達の速さ」や「達成度合い」には個人差はでる一方、どのような環境であるかにかかわらず、子どもたちは段階的に成長していくということを言っています。

次は「認知力」をもう少し分かりやすく説明します。

認知力とは?

ピアジェの認知発達段階説の説明に以下のようなものがあります。

ピアジェは、外界を認識する「シェマ(スキーマ構造)」の質的変化が4つの段階を経て、子供の思考(認知機能)が発達していくと提唱しました。

文章も難しいですし、“スキーマ(Schema)”というものがよくわからないですよね。

ちなみにスキーマ(schema)という概念は、一般的には図や図式や計画のことを指す言葉で、心理学や認知発達の理論においては、心理的な描写(心象、概念)のことを指します。つまりIT用語でよく言われる“スキーマ”とは似て非なる言葉です。

熊本大学のHPにこのスキーマを理解するための、分かりやすい例文があります。

みなさん、“スキーマ”の働きを実際に体感してみましょう。まず以下の文章を読んで、何のお話か想像してみてください!

新聞の方が雑誌よりいい。街中より海岸の方が場所としていい。最初は歩くより走る方がいい。何度もトライしなくてはならないだろう。ちょっとしたコツがいるが、つかむのは易しい。小さな子どもでも楽しめる。一度成功すると面倒は少ない。鳥が近づきすぎることはめったにない。ただ、雨はすぐしみ込む。多すぎる人がこれをいっせいにやると面倒がおきうる。ひとつについてかなりのスペースがいる。面倒がなければ、のどかなものである。石はアンカーがわりに使える。ゆるんでものがとれたりすると、それで終わりである。(西林、2006、p.45)

さて、これは何のお話か分かりましたか?

正解は「凧あげ」のお話です。

もう一度文章を読み返してみましょう。そうすると“なるほど”という感覚や“腑に落ちる”という感覚がありませんか?それは「凧あげのスキーマ」が活性化され、話が分かったということです。

もう一つの例文もあります。

その手順はとても簡単である。はじめに,ものをいくつかの山に分ける。もちろんその全体量によっては,一山でもよい。次のステップに必要な設備がないためどこか他の場所へ移動する場合を除いては,準備完了である。一度にたくさんしすぎないことが肝心である。多すぎるより,少なすぎる方がましだ。すぐにはこのことの大切さがわからないかもしれないが,めんどうなことになりかねない。そうしなければ,高くつくことにもなる。最初はこうした手順は複雑に思えるだろう。でも,それはすぐに生活の一部になってしまう。近い将来,この作業の必要性がなくなると予言できる人はいないだろう。その手順が終わったら,再び材料をいくつかの山に分ける。そして,それぞれ適切な場所に置く。それらはもう一度使用され,またこのすべてのサイクルが繰り返される。ともあれ,それは生活の一部である。(Bransford & Johnson,1972)

これは何のお話だったでしょうか?

正解は「洗濯」のお話です。それを聞いて見返すと腹落ちしませんか?それも「洗濯のスキーマ」のおかげです。(参考:熊本大学大学院社会文化科学研究科HPより)

つまり凧についての体系的な知識(スキーマ)や洗濯についての体系的な知識(スキーマ)を持っているからこそ、例文の意味がしっかりと理解できるということです。本当に理解するためには、ピアジェの理論の「操作、構造、同化と言った概念」を理解しなければいけませんが、この記事ではそこまで深くはお伝えしません。ここで理解するべきことは、スキーマとは「ものごとの背景や文脈、そしてこれまでの経験などを総合した知識の集まり」と覚えておけば大丈夫です。

話は戻りますが、「子どもは段階的にそのスキーマが変化していくことで、思考が発達していくものである」ということを知っておきましょう。

ピアジェの4つの「認知発達理論」とは?

ピアジェによって提唱された「認知発達理論」は、心理学・教育学・哲学・生物学の分野にも影響を与えました。各段階を詳しく見てみましょう。

感覚運動期(0歳~2歳)

この時期は、数字・文字などを暗記させて知識を増やす時期ではなく、周りの人からの働きかけが大変重要です。自由に運動させ、声掛けやスキンシップを多くとりましょう。まだ反省ができない時期なので、繰り返し失敗やいたずらをしますが、その都度、短く「良い/悪い」だけを教えましょう。

前操作期(2歳~7歳)

この時期は、言語能力もだいぶ発達し、創造力・想像力が豊かになって「ごっこ遊び」が大好きです。しかし、人の気持ちになって考えたりすることはできず、自己中心的な考え方をしたり、自分勝手な行動パターンになるため、兄弟や友達との衝突も起きます。

親が叱ると口答えすることも増えるので、親はつい感情的になって怒りますが、まずは、「子どもの言い分」を静かに聞くことからはじめましょう。その後に悪かった点を伝え、必要な場合は謝らせます。このように過ちを整理して認識させることによって、次の段階である、具体的操作期(7~11歳)と形式的操作期(11歳〜)の特徴である論理的思考・抽象的思考に結び付いていきます。

具体的操作期(7~11歳)

この時期には、コミュニケーション能力・論理的思考力が発達し、少しずつ自己中心的な考え方を抜け出し、共感力が育ちます。そして、相手の気持ちを考えて発言・行動できるようになります。重さ・長さ・距離など数的概念も解るようになり、ごっこ遊びは徐々に減っていきます。

形式的操作期(11歳〜)

論理的思考・抽象的思考ができるようになり、物事の筋道が解ってきます。子ども自身が、自分で実際に体験したものではなくても、画像や言葉による説明・映像などからイメージを描くことができるようになります。

さいごに

ピアジェの発達段階から、子どもが時期的にできること/できないことがわかりましたね。特に2歳~7歳は、親が叱ると口答えすることも増え、親は感情的になりますが、「子どもの言い分」を静かに聞くなど、余裕を持った育児をすることが大切です。英語圏で2歳児をTerrible Twos (手に負えない魔の2歳児・イヤイヤ期)と呼びます。古今東西、2歳児はそんなもの、と構えると少しだけ気が楽になります。

参考

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