指示行動とは、ただの運動とは異なります。

1. 運動とはルールに従って決まった動きをすること

2. 指示行動とは先生に言われた通りに行う行動

まずはこの違いに注目し、“運動テスト”という分野とは少し違っていることに気づいてください。小学校によっては指示行動を「体操試験」と言う表現に置き換えている場合もありますが、本質は変わりません。

先生が説明している間は、とにかく集中をしてその話を聞き入ることが大切です。小学校受験では聞くことから始まり聞くことで終わると考えておく方が無難です。すべてにおいて話を聞くことは受験の合否を左右するものです。

その中でも指示行動という領域には次のようなことが求められています。

1. 一度で先生の指示を聞き取れるかどうか？

2. 忠実に言われた通りのことを表現できいているかどうか？

あくまでもこの2点が評価の対象になります。もちろん、待っている間にも注意が必要です。

最初に自分以外の人が指示行動をしている間は、決められた場所に待機することを言われます。ここから指示行動は始まっていると考えてください。

一言で表現するのであれば、「学校生活で穏やかに過ごすために」です。人の指示を守れるということは協調性を持って平和に過ごすことにつながります。小学校側はここを見ているのです。

指示行動で少しも先生の出す指示を守れない子どもや、学校側の意図に沿わない子どもは実際のところ、ご縁を結びたくないと学校側に受け取られてしまうのです。

受験の場面で問題行動を繰り返す子どもは、先々、小学校に入学した後にもどうしても懸念材料を持ち込んでくる可能性が高いと思われてしまうのです。親の協力もあり、子どもも素直であればとても扱いやすいと判断されます。つまり指示行動には、そのような目的があるわけです。

先ほどの「指示行動が受験科目にある理由」でもご説明した通り、待っている間に騒いでいる子どもは評価が下がってしまうことが多いことを知っておいてください。

子どもに中には、自分の番が来るまでは自由に過ごしていても良いと、勘違いをしている場合もあります。どんな場合にも、必ず最初の説明を聞き逃さないようにしなければいけません。塾ではこのあたりも厳しく指導していきます。子どもはついつい、緊張がほどけると、思わぬ大胆な行動に出るものです。自分自身を抑えて、必ず言われた通りの場所で静かに待てなければいけないのです。

1. 何事も協調性を持って臨むこと

2. 言われた通りに一生懸命に努力をすること

3. 1度の指示で行動が取れること

指示行動では、この3点を意識することを、子どもに覚えてもらうことが先決です。指示行動では子どもの資質までも見透かせるものなのです。例えばペーパーテストが完璧であっても指示行動で大失敗をしてしまうというケースも稀ではありません。全く指示が聞けない、というのはその時点で論外です。

人は一生懸命に説明をしても、何度も聞き直されると気分を害するものですよね？小学校受験の指示校でも、とにかく先生の指示に対して集中力を持てることが大切です。1度で聞き逃さないようにしようという意欲さえあれば、指示を聞き逃しません。このような一生懸命な姿勢が高評価につながるのです。

指示行動の練習の間でも周囲の子どもの真似をする子どもがいます。真似をして同じような行動をしても、結果的には自分で考えていないことになります。試験官の先生はそのような場合には、必ず見抜いてしまいます。人の行動を観察することは時にはとても大事なことです。それでも、指示行動の場面では自分に与えられた指示をきちんと頭の中で整理して、言われた通りの行動ができるように努力が必要です。

塾に通うだけで指示行動が完璧になるとは限りません。それよりも大事なことがあります。家庭の中でも次のようなことに気を付けて指示行動の上達を促してください。

〇家庭の中で決まった約束事を決めてそれを守る

〇人の話を聞くときには必ず目を見ることを徹底させる

親の指示さえ守れない子どもは、塾にどれだけ通っても、なかなかその癖や資質を変えることは難しいのです。そのためにも、家庭の中で約束事をいくつか作り、それを守るということを徹底してみてください。一度の指示でどの程度守れるようになるのか？を親としても見極めておくことが大事です。あまりにも指示が守れないという時には、最初から見直して早い段階で修正をしておくことが必要です。

親が子どもに予め指示を出しておくのです。そして声をかけた瞬間に子どもは最初に指示したとおりに動いてくれるかどうか？ということが肝心です。家庭の中では指示行動の練習は無理！と思いこまずに工夫をしてみるのも、一案です。親の言うことを聞く、というよりも言われた通りに行動できることが指示行動の基本になるのです。そこに自分の考えを入れて考える必要はないのです。言われたルールにしたがって行動をすることがとにかく肝心なのです。

指示行動は指示をされことに意欲的に取り組むことが必要です。ロボットのように完璧に言われた通りに動けばよい？というのは、少し解釈が違っているのです。

受験当日にも指示行動の場面では、とにかく努力をして「きちんと指示を守ろう」という、子ども自身の意欲が必要なのです。そうすることで、瞳が輝き、イキイキとした表情で、指示行動ができるようになります。

周りの子どもに感化されずに自分が見聞きした指示を忠実に再現できることが必要です。指示行動に限らずに小学校受験全般を通して、「意欲」が漲ることは、好印象を与え子どもが頼もしく映るものです。

何か間違った場合でも、意欲さえあれば立ち直れるものです。そのときには

試験官の先生に潔く告げてください。

「もう一度指示を教えてください」

このように言える勇気も、高く評価されるものです。そのまま心が折れてしまうと次の指示行動にもつながっていきません。そこに意欲があるだけで、修正は利きます。指示行動に臨むときには子どもの気合が大切になってくることを知っておいてください。小学校受験本番へ一番大切なのは、その子どものやる気です。

指示行動は諦めずに行うことが大切です。塾や家庭でも指示行動の練習は何度も行うようにしてください。その日のコンディションで左右されてしまうような年代の子どもには、とにかく練習量が力に変わります。受験当日までは常に指示行動についての意識を高めておきましょう。

指示行動で低い評価を得ることが絶対にないように親子で考えておいてください。言われたことをその通り、気持ちを込めて行うようにすることが必要です。ペーパーテストも指示行動も同じです。常に心して取り組む姿勢が大切です。