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【小学校受験】「お話の記憶」はどうやって対策する?流れや注意点、上達のポイントをご紹介

P.K(元小学校受験塾講師)
2020/04/27 01:04
小学校受験に挑戦しているご家庭から「お話の記憶はどうやって上達させれば良いの?」という質問が多く寄せられます。小学校受験の出題範囲と言えば「お話の記憶」が代表的な問題です。今回は、お話の記憶とはどういう問題なのか?そして上達するためには、どのように学習を進めれば良いのかをまとめてみました。

お話の記憶とはどういう問題なのか?

お話の記憶は、3分程度のお話の予め録音された音源で子供たちが聞いて質問に答えていくという問題形式です。最近の小学校受験では試験官の合図があるまでの間は、問題は裏返しの状態で手を膝の上に置いて、聞くということが求められます。
実際に読まれるのは次のような問題です。
【例文】
ウサギさんは、朝からお家のお手伝いでお花の水やりをしていました。「あー今日は暑いから、海に行きたいなぁ。」ウサギさんは独り言を言いながら、お花の水やりを頑張っています。お手伝いを全部終わらせたウサギさんは、家の中に入ってお母さんのところへ向かいました。ウサギさんは「お母さん、お花の水やり終わったよ!今日は暑いから海に連れて行ってよ!」とお母さんに言いました。するとお母さんは「お手伝いありがとうね。じゃあお昼ご飯を食べてから海に行こうね」と言いました。ウサギさんは大喜び。おやつに大好きなキャンディを持っていきたいと言いました。お母さんは「ごめんね、キャンディは今ないから、代わりにドーナツとチョコレートを持っていきなさい。」ウサギさんは、さっそく海に行く準備を始めました。大好きなピンク色のカバンに、おやつ・黄色い水筒・水着を入れてから、お昼ご飯を食べました、さあ出発です。海につくと、お友だちのネコさん、ライオンくん、サルくん、タヌキさんがいました。「やぁ、ウサギさん。」お友だちは笑顔で手を振っています。すると、お母さんは「あら、お友だちがたくさんいたね。お母さんは砂浜で休んでいるから、仲良く遊んでいらっしゃい。」ウサギさんはお母さんに手を振って、お友だちと一緒に水遊びを楽しむことにしました。お友だちと一緒に水遊びを楽しんでいると、ライオンくんが「小学校に行ったら、プールのお勉強があるんだよ。だから、たくさん泳げるようになった方がいいよ。」と言って、みんなに泳ぎ方を教えてくれました。すると、ウサギさんはある事に気が付きました。「ライオンくん、キミが頭に着けているのは何?」するとライオンくんは「これは水中眼鏡だよ、これを着けると水の中でも目を開けられるから便利なんだ。」とライオンくんが教えてくれました。しばらく水遊びをした後、サルくんが「僕、いいものを持ってきたんだ!」と言って、持ってきた赤色の浮き輪を使いました。それを見たライオンくんは「いいなぁ、僕も持ってくればよかった」と言って、羨ましがっていました。しばらくすると、ネコさんが、チューリップが描いてあるボールを持ってきて、「このボールで、みんなで遊ばない?」と言いました。みんなはいいねと言って、ボールで遊びました。たくさん遊んでいると、砂浜で休んでいたウサギさんのお母さんが「夕ご飯の準備があるから、そろそろお家に帰ろう」というと、他の動物たちも帰り支度を始めました。ウサギさんは、濡れた体を拭いて着替えようとすると、タオルを忘れてきたことに気が付きました。濡れたままのウサギさんを見たタヌキさんが、「タオル忘れちゃったの?私のタオルを貸してあげるから大丈夫だよ。」と言って、青色のタオルを出してくれました。ウサギさんはお礼を言って、着替えました。帰り道にウサギさんが一緒に遊んでくれたお礼だよ、と言って持ってきたおやつを配りました。ウサギさんのお母さんが「夕ご飯を食べてから、おやつを食べるんだよ。」というと、動物たちは「はーい」と返事をしました
【問題】
問1.お話の中で今日の季節はいつでしたか。正しい絵に〇をつけなさい。
問2.ウサギさんがしていたお手伝いは何でしたか。正しい絵に〇をつけなさい。
問3.ウサギさんが持っていこうとしたけどなかったおやつは何でしたか。正しい絵に〇をつけなさい。
問4.ウサギさんが海で会ったお友だちは全部で何匹でしたか。その数だけ〇を囲みなさい。
問5.ウサギさんが海で遊んでいるときに、お母さんが休んでいたところはどこですか。正しい絵に○をつけなさい
問6.ライオンくんが泳ぐのに使っていたものは何でしたか。正しい絵に〇をつけなさい。
問7.ウサギさんの持ってきた水筒の色で〇の中を塗りなさい。
問8.ネコさんが持ってきたボールの柄は何でしたか。正しい絵に〇をつけなさい。
問9.ウサギさんがお友達に配ったおやつは何でしたか。間違っている絵に×をつけなさい。
大人がやっても難しいですよね。
それでは実際の試験ではどんな流れで「お話の記憶」は進むのでしょうか?

子どもが「お話の記憶」を解く流れは?

1.プリントを表に裏返す
2.録音された音声を集中して聴く
3.先生(もしくは音声)が出す質問を聴く
4.答えを順次答えていく
というのが主な流れになっています。

「お話の記憶」をやるときの注意点!

大人になっても人の話を完璧に覚えることは、なかなか難しい場面もありますよね。少しでも気持ちが散漫になってしまうと、肝心な部分を聞き逃してしまうこともあります。
つまり、お話の記憶とはどれだけ集中力を持って取り組むか?が非常に重要なのです。
お話の内容が音源から流れている間は、とにかく集中力を持ってお話の世界に入り込まなければいけません。子どもは、メモを取ることも何も出来ない状況で、頭の中だけでお話を組み立てるという能力が問われる問題なのです。
また、「お話の記憶」を解く上で大切なことは、「お話の記憶は絵を見ないで話の内容を頭の中で想像をすること」です。なぜなら絵を見てしまうと流れてくる音に集中することが難しくなってしまうからです。さらに、「物語に出てくる登場人物に注意を払い聞いておくこと」も大切です。なぜなら「登場人物」は後に出される問題によく出てくるからです。たとえ問題に出てこなくとも物語の全体を把握するためには登場人物の理解は必要不可欠になります。ここは是非注意しましょう。

意外と難しい問題もでる「お話の記憶」

次のような問題があったとします。
「今日はお父さんとお母さんと妹で公園に行きました。〜〜〜。」
この文章の中からの出題で何人で公園に行きましたか?という質問が出ることがあります。慌てて答えた場合には「三人」と絵を見て答えてしまうことが多いのですが、それは間違いですよね?自分の数を入れていないわけです。聞かれていることはわかっているのに正しい家族の数を答えられていないと、その問題に関しては0点になってしまいます。
問題の中にある状況を瞬時に聞き分けて、正しく絵を見て答えるという流れを何度も繰り返し練習をしないと、正答にはつながらないのです。慌てず冷静に聞き取ることが絶対に必要になります。

「お話の記憶」が得意な子どもの特徴

お話の記憶も、塾に通えば何とかなると思っている親も実のところ多いのですが、現実的には圧倒的に次のような家庭の子供の出来栄えが素晴らしいと言えます。
・幼い頃から親が子供に語り掛けるように絵本の読み聞かせを多くしている
・子どもが1歳半~年中の間に、短い絵本を数多く読み聞かせ、読んでいる最中に簡単な質問を行っている
「お話の記憶」は、お話が流れ終った後に考えてもすんなりと答えが出てくるようなタイプの設問ではありません。しっかりと話の内容を記憶し、問題に対してしっかりと答えることができるためのコツは、最初から長文を読むのではなく、子供のレベルに合わせて最初は短い文章から始めるなどをして、練習問題を繰り返すことです。

「お話の記憶」を上達するためにはどうすればよいのか?

さて、ここから「お話の記憶」をしっかり解くことができるようになるために、どのようなことをすればよいのかをご紹介します。

ポイント1:とにかく問題の量をこなす

まず重要なことは「とにかく問題の量をこなす」ことです。お話の記憶に限っては相当量の練習をこなしている子供が、確実に得点を獲得していますし、受験塾でも「お話の記憶」は繰り返し練習するものです。そういう意味でもお話を聞き取って問題に答えるという一連の流れがスムーズにこなせるように、少しでも多くお話の記憶の問題に触れて「慣れる」ことが一番大切です。
そのときには先程お伝えしたようにいきなり長い文章から始めるのではなく、子どもの慣れと成功体験をつくるために、短い文章から取り掛かることをおすすめします。
繰り返し問題をこなすと、「慣れる」こと以外にも良いことがあります。それは、「お話の記憶」の出題パターンに気付き、流れてくる物語の要点を抑えられるようになることです。それができるようになると「何を聞かれるか予想しながら聞くこと」ができるようになります。
「お話の記憶」の質問では、「季節」「人数」「登場人物」についての問題が頻出します。それに気づくことができ、慣れてくると、お話を呆然と聞かずに、勘を働かせながら聞くことができるようになります。これが正解への第一歩です。

ポイント2:季節関連のイベントやモノについての理解を完璧にしておく

お話の記憶の出題は一般的な読み聞かせの内容よりも高度になっています。例えば、後からの質問で「この季節に〇をつけなさい」という問題があったとします。
その場合の設問で「道を歩いていると赤や黄色の葉っぱがたくさん落ちていました」という表現しか出てこないことがあります。その場合には「秋」ですよね?また、「家族で豆まきをしました」という表現になっている場合には、答えは「冬」になります。このように、直接季節の表現はしないものの、季節に関するイベントやモノ、虫などの表現がされていることがあるため、「季節に関連するコト・モノ」は完璧に理解しておくべきです。
ただ単に、季節関連のイベントなどを記憶することはなかなか難しいですよね?そのときに是非やっていただきたいのは「家族で実際に経験すること」です。
たとえば、お正月と言えば羽根つきやコマを回して遊ぶという昔ながらの伝統文化があります。最近では、お正月もゲーム機に向き合う子供が増える中、小学校受験では常識的な部分があえて問われるのです。お正月の風物詩をしっかりと子供に見せるなど、経験を積んでこそ、忘れやすい短期記憶ではなく、経験という血肉になるのです。お正月の風物詩は、なかなか普通に過ごすと経験しにくいことから、受験においては意外と盲点になります。「昔からのお正月遊び」や「お正月独特の文化」など、これらを図鑑や絵本だけに留めず、実物や体験などを通して、五感で体感させるようにしてください。これをやることで、難しいお話の記憶で、お正月が場面になっているときにも、スムーズに回答できるようになります。

本番に惑わされない集中力を育む鍛錬

お話の記憶では、どんな状況でもしっかり聞き分けることが求められます。例えば、受験本番で泣きだしてしまう子供や、大きな音を立ててしまう子どもが稀にいます。それが「お話の記憶」の本番中であっても、音源を止めてもう一度最初から流すということは殆んどありません。つまり「周囲がどんな状況でも一点に集中する」「必ずしも静かな場面ばかりではないと知っておく」ことが肝心です。
塾の講師はお話の記憶の途中でわざと、ペンを落として子供たちの集中を一瞬、邪魔をするような訓練も試みます。ご家庭でも集中が難しい環境を作って練習するのもよいかもしれません。
とにかく何度もお話の既往を練習していくうちに、外の雑音は気にならないほどに、集中できるようになります。集中してお話を聞けるようになるためには何よりも量をこなすことが一番の早道です。

読み聞かせをたくさんして物語になれさせよう

乳幼児の頃から読み聞かせをするということは、「お話の記憶」に役立つことはもちろん、お受験全体で大きな力になります。子供の脳を活性化させるためにも読み聞かせの重要性を知ってください。
・「それなあに?」
・「次はどうなるの?」
という子供からの質問が飛び出すようになれば、読み聞かせもやや、高度な段階に入ったと言えます。なによりも、子供は絵本の内容を必死で理解しようとしますよね。そこがとても大切なのです。親は絵本を選ぶときには、スタンダードな昔話から、子供が今、興味を持っているものまで幅広く選ぶことがポイントです。それがお話を覚えようとするセンス磨きに役立つのです。
読み聞かせの場合には、読み手側がタイミングよく、子供に向けて適切な質問を投げかけることから始まります。
「今出てきた子供の名前は何だった?」
「何色のお洋服来ていたかな?」
「さっき出てきた動物の名前は何だった?」
「季節はいつかな?」
これこそが小学校受験の問題に直結しているのです。読み聞かせをしながら質問をすることが、「お話の記憶」の家庭学習のコツです。お話の記憶と読み聞かせの関連性を親が最初に知ることで、家庭学習の質も随分と高まります。そして子供が物語を聞くコツを会得して、お話の記憶にも対応できるようになるのです。
    この記事の著者
    元小学校受験塾講師。大学時代には幼児教育・幼児心理学を専攻。大学受験小論文添削や公文講師などの経験あり。
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