子どもを美術館に連れていくメリットとは?幼児におすすめの美術館9選
美術館は何歳から行けるの?
美術館というと、大人の行く場所だという印象を抱いている人も多いのではないでしょうか?展示内容によっては、年齢制限が設けられることもありますが、基本的に美術館へは年齢を問わず行くことができます。
近年は子どもを対象とした展示や工夫を取り入れている美術館も多く、美術館側から子どもの入場を敬遠されるということはないようです。つまり、展示内容による年齢制限さえなければ、赤ちゃんから美術館へ行けるでしょう。
子どもを美術館へ連れていくメリット
子どもを美術館へ連れていくと、どのようなメリットが期待できるのでしょうか?
創造力を育む
さまざまな芸術作品に触れることは、子どもの脳を刺激し、創造力を育む効果が期待できるといいます。また美術館では、年代や国を問わず幅広い作品が展示されていることが多いため、さまざまな文化や芸術に親しむきっかけにもなるかもしれません。
感性を伸ばす
芸術作品に触れることは、子どもの感性を伸ばすことにもつながることかもしれません。感性を伸ばし、心の豊かさを得ることは、子どもの思いやりの心や自然・伝統・調和などを大切に思う心を育むことにもつながるのではないでしょうか?
多様性を受け入れる心を育てる
さまざまな個性や文化によって形作られる芸術作品を通して、子どもの多様性を受け入れる心を育むことができるかもしれません。文化や背景など、ひとりひとり違いがあることを理解し尊重することは、現代の国際社会で生きていくうえで重要な力のひとつだといえるでしょう。
子どもを美術館へ行くときのポイント
子どもと美術館へ行く際、意識したいポイントをご紹介します。
子連れ向きの美術館・企画を選ぶ
子どもが美術館を楽しみやすいよう、子どもが興味・関心を持ちそうな美術館や企画展を探してみてはいかがでしょうか?また美術館によっては、子どもが過ごしやすいようにキッズスペースや子ども向けの展示などが用意されていることもあるので、そうした美術館を探してみてもいいですね。
マナーを教える
美術館へ行く前に、美術館でのマナーを子どもに教えておくといいでしょう。走り回ったり、暴れまわったりすると周囲の迷惑になったり、作品を傷つけてしまったりしかねないことを子どもにわかりやすい言葉で伝えてあげてくださいね。
またこうしたマナーを知り、実践する経験は、子どもの社会性を育むことにもつながるのではないでしょうか?
子どもの体調を考慮する
美術館へ行くタイミングは、子どもが元気で機嫌の良いときがおすすめです。具合が悪いときはもちろん、お腹が空いていたり眠たかったりすると、機嫌が悪くなって作品を楽しむどころではなくなってしまう可能性もあるので注意したいものですね。
ワークショップがある美術館を探す
美術館では、ワークショップというさまざまな参加型のイベントが行われることがあります。ただ作品を眺めるだけでは退屈してしまう子どもでも、ワークショップに参加することで芸術に対する興味や関心を深めやすいかもしれません。
子どものペースを大切にする
大人からすると、美術館へ行ったならすべての作品を見て回りたいものかもしれませんが、子どもの場合自分の興味のない作品には目もくれないこともあるでしょう。ママやパパにはもったいなく感じてしまうかもしれませんが、無理にすべての作品を見せようとすると、子どもに美術館へのネガティブなイメージを植え付けてしまいかねません。
また作品によっては恐怖心を抱く子どもも珍しくないため、子どもが嫌がる場合は無理強いしないようにしてあげてくださいね。
大人が楽しむ姿を見せる
子どもと美術館へ行くと、子どものことに気を取られ、ママやパパが作品を楽しむ余裕を失ってしまうこともあるかもしれません。しかし子どもは大人が思っている以上にママやパパの姿をよく見ているといわれているので、そうしたピリピリした雰囲気を感じ取ってしまうと、子どももなかなか美術館を楽しめない可能性があります。
大人が美術館を楽しむことを意識すると、子どもも好奇心を持って作品に向き合いやすいのではないでしょうか?ぜひ子どもを楽しませることだけでなく、親子で楽しむことを心がけてみてくださいね。
子どもと出かけるのにおすすめの美術館9選
ここからは、小さな子どもといっしょに足を運びやすい美術館をご紹介します。子どもの美術館デビューにもぴったりの施設ばかりですよ。
【島根】浜田市世界こども美術館
日本海が見渡せる「海の見える文化公園」の一角にある浜田市世界こども美術館は、全国でも珍しい子どものための美術館です。絵画や立体、児童美術など幅広い分野の企画展のほか「つくること」にも力を入れていて、さまざまな創作活動を体験することもできるといいます。
また近隣の小学校や幼稚園などを対象に、クラス単位で1日かけて鑑賞・創作活動を行う「ミュージアム・スクール」も開催しているというのだから驚きですね。ここ数年は感染症の影響か開催されていませんが、世界各国の児童教育の専門家を招き「国際交流ワークショップ」も行われています。
2019年にはフランス・ギリシア・台湾から専門家を招き、各国の文化・芸術に関連した活動が実施されたのだとか。国際的な交流にも力を入れているという点も、こちらの美術館の大きな特長の一つといえるでしょう。
【静岡】ビュフェこども美術館
ビュフェこども美術館は、日本の美術界にも大きな影響を与えたフランス画家ベルナール・ビュフェの作品を2000点以上収蔵しているベルナール・ビュフェ美術館内にあります。木の感触を全身で堪能できる木のボールプールなど、子どもの五感を刺激する仕掛けが満載の美術館です。
またビュフェの作品の人物へのなりきり体験ができる「ヘンシンコーナー」や世界各国の絵本が楽しめる「絵本コーナー」も人気ですよ。
【島根】島根県立美術館
「日本の夕陽百選」にも選出された宍道湖の夕日も鑑賞できるこちらの美術館は「水との調和」をテーマに建築されました。島根県立美術館では、子どもが芸術に親しめるようにと「かぞくの時間」や「しまね家庭の日」を設けられ、さまざまな優待や企画が実施されているといいます。
子連れでの鑑賞を優先する「かぞくの時間」は毎日10~12時まで開催されており、その時間内は子どもと作品について話をしながら館内を回ることができるそうです。子どもが多少大きな声を出しても問題ない時間が設けられているというのは、小さな子ども連れにはうれしいですよね。
また館内のキッズライブラリーでは、美術館視点で選んだ絵本やオリジナルの映像を楽しむことができますよ。
【東京】東京おもちゃ美術館
お金の寄付とボランティアスタッフの時間の寄付によって運営されている「市民立」のこちらの美術館では、1万点以上ものおもちゃが展示されています。木の温かみが感じられる木製のおもちゃから、素敵なデザインの海外のおもちゃまで、幅広いおもちゃを手に取って遊ぶことができるというのがうれしいですね。
おもちゃ作りを体験したり、伝承遊びや木の文化などを学んだりと、子どもだけでなく大人も楽しめる美術館になっています。おもちゃ美術館は東京以外にも、岩手・静岡・長野・香川・徳島・高知・山口・福岡・沖縄に計12施設あるので、ぜひ近隣の施設に足を運んでみてくださいね。
【東京・長野】ちひろ美術館
世界で初めての絵本美術館として知られるちひろ美術館は、絵本画家いわさきちひろの自宅兼アトリエのあった場所に建てられています。絵本画家としてのいわさきちひろの生活が垣間見える美術館に、ママやパパも思わず見入ってしまうことでしょう。
展示物は大人からも子どもからも見やすいよう、床から135cmの位置に中心がくるよう配置されており、子どものファーストミュージアムとしても人気を集めています。また「こどものへや」には授乳室やベビーシート、赤ちゃんや幼児向けの絵本やおもちゃが用意されているので安心ですよ。
館内を回った後は、絵本を楽しめる絵本カフェでゆっくりした時間を過ごしてもいいですね。ちひろ美術館は東京のほか、長野にも「安曇野ちひろ美術館」があります。双方とも冬季に長期の休みが設けられているので、注意してくださいね。
【千葉】アンデルセン公園 子ども美術館
こちらの美術館は「マッチ売りの少女」や「おやゆびひめ」などで知られる童話作家アンデルセンの育った風景を元に作られたアンデルセン公園内にあります。館内には「版画のアトリエ」「織のアトリエ」「食のアトリエ」など8種類のアトリエがあり、展示を見るだけでなく、さまざまな体験をすることも可能です。
またアンデルセン公園には、子ども美術館を含め「ワンパク王国」「メルヘンの丘」などの5つのゾーンがあり、自然やアスレチックなどを存分に楽しむこともできるでしょう。
【神奈川】藤子・F・不二雄ミュージアム
こちらの美術館では、国民的アニメ「ドラえもん」で有名な藤子・F・不二雄の世界を堪能することができます。漫画の原画や再現されたアトリエのほか、屋上スペースには土管やどこでもドアなどが設置されています。
また、ちょっと不思議な体験ができる遊び場「みんなのひろば」や遊具がたくさんある未就学児専用の「キッズスペース」、オリジナルの映像作品が上映される「Fシアター」など、魅力的なコーナーが満載です。
【東京】三鷹の森ジブリ美術館
スタジオジブリ作品の制作の様子を知ることができるこちらの美術館では、まるでジブリの世界に入り込んだような素敵な世界観が広がっています。地下にある映像展示室でオリジナルの短編アニメーションを楽しんだり、手こぎポンプで本物の井戸水を汲んだりといった非日常な体験もできますよ。
入場チケットは日時指定の予約販売となっているので、前もって希望の日時に空きがあるのかチェックしてみてくださいね。
【高知】やなせたかし記念館 アンパンマンミュージアム 詩とメルヘン絵本館
アンパンマンの作者やなせたかしの故郷に建てられたアンパンマンミュージアムには、順路が定められていないので、子どもの気の向くままに回ることができるといいます。併設されている詩とメルヘン記念館では、アンパンマン以外のやなせたかし作品が集められています。
また別館では、おもちゃや漫画をテーマに年に1~2回程度企画展や公募展が行われているので、機会があればそちらにも足を運んでみてはいかがでしょうか?
さいごに
小さな子どもには美術館はまだ早いように感じられるかもしれませんが、さまざまな芸術作品に幼児期から触れることで、子どもの感性や創造力を伸ばしていけることでしょう。美術館でのルールをきちんと教えたうえで、親子で美術館巡りを楽しんでみてくださいね。