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ハイハイって必要?ハイハイがもたらす「5つのメリット」と親ができること

ライター 村田 美子
2023/05/09 00:05
最近、ハイハイをせずに歩きはじめる赤ちゃんが増えているってご存じですか?ハイハイは赤ちゃんの成長過程で、とても重要です。この記事では、ハイハイと脳や身体の発達について詳しくお伝えしましょう。是非、参考にしてください。

ハイハイとは?

ハイハイとは、ひざと手のひらを床について、体を持ち上げ、両手両足を交互に動かして前に進む運動です。ハイハイを始めるには、首が座り、腕や足、腰の筋肉の発達と、赤ちゃんがハイハイをしようという気持ちが前提になります。


大人の私たちが実際にハイハイをやってみるとよくわかりますが、自分でバランスを保って身体を支えなければならないので、なかなか体力が要ります。

ハイハイを始める平均的な時期とステップ

赤ちゃんがハイハイを始めるステップは寝返り→お座り→ハイハイと進んでいくのが一般的で、生後8か月頃からできるようになります。


近年では、次にご説明する、ずりばいとハイハイの期間が極端に短くなっているようです。中にはハイハイを経験せずに歩き始める赤ちゃんもいるようです。


2~3歳児になって転びやすい子どもや、体をくねくねしたりする幼児が増えている一因にハイハイ不足が懸念されることにもなっています。

ずりばい

ずりばいは、「ほふく前進」のことで、うつ伏せでお腹をつけた状態で、腕や足で地面を蹴ったり、押したりして前後に進む動作です。

ひじばい

ひじばいは、肘を床につけて進む動作で、左右の肘を交互に動かして前進します。

高ばい

高ばいは、両手両足を床について移動する四足歩行の動作です。くまさん歩きですね。これは、なかなか高度な動作なのでつかまり立ちを始めてからやり始める赤ちゃんもいます。

「ハイハイ」と「脳・身体の発達」の関係

ハイハイには発達に大切な要素がたくさんあります。一つずつ見ていきましょう。

①脳の活性化

ハイハイをするとき手を床につきますね。手を使う行為は脳を活性化させることが、最近の研究でわかっています。


脳へ流入する血流量が増えることによって、脳神経へ栄養を届け、神経細胞が枝を増やし、脳が発達します。


興味がある方は、別記事「0歳児教育はNG?!ホムンクルスから見る「指の動き」と「脳」の密接な関係!」をご参照ください。

ハイハイは手足をたくさん使うので脳の発達にはとても良いだけでなく、赤ちゃんの好奇心も満たします。


ハイハイができるようになると、気になるもの、触りたいものに近づくことができ、ママやパパの近くや、いろいろな場所へ自分でいけるようになるからです。


ハイハイで一気に行動範囲が広がり、赤ちゃんはより多くの刺激を受け、脳や精神的な発達に繋がるのですね。

②筋力が強くなる

ハイハイをする時は、膝を股関節よりも上に持っていきます。この時、赤ちゃんは腸腰筋を使っています。


腸腰筋はどんな体勢でも使う太い筋肉で、人間は腸腰筋で体のバランスをとっています。赤ちゃんの時に適切な腸腰筋の使い方を学ばないと、成長後、腰痛の原因になるともいわれています。


四つん這いになって、さらに前を見るために重い頭を上げる姿勢は結構、重労働で、首・肩・背筋・腹筋に負担がかかります。


このように、ハイハイは全身の筋肉を使う運動なので、全身の筋肉を育て筋力を強くする効果があります。

③バランス感覚・反射神経の基礎作り

ハイハイは、床を押し蹴るように進むので足の指に力が入ります。この筋肉が弱いとバランスがとれず、転倒することが増えるのです。また、体勢が崩れたときに咄嗟に立て直す反射神経の基礎を作っています。

④体幹を鍛える

四つん這いから前に進もうとすると、手や足を持ち上げた状態になります。このときに使われている筋肉が、手や足の筋肉と背筋です。


ハイハイは全身運動で全身の筋肉を使うのですが、とくに体感が鍛えられます。体幹のなかでもハイハイは特に背筋に効果があると言われています。

⑤協応動作の基礎をつくる

協応動作とは、右手と左手、目と手、手と脚など、2つの力を同時に使うということで、ハイハイの途中で興味が持ったものに手を伸ばすというのは協応動作の一つです。


この協応動作がうまくいかないと、よく転んだり、姿勢を維持できずに常にくねくね動いたりといったことが起こります。

ハイハイが少ないとどうなるの?

最近は昔に比べるとハイハイをする期間が短く、早く立つ赤ちゃんが増えたため、危険回避能力や運動能力が低下してきていると言われています。


危険回避能力の一つは、転んだときに咄嗟に受け身を取ったり、顔を守ることです。


親は子どもが少しでも早く立って歩くことを待ち望むのは当然のことですが、人は成長の過程で自然と二足歩行をし始めるので、立つ練習よりも、少しでも多くハイハイをさせるようにしましょう。


そのためには、赤ちゃんがハイハイしたくなるように環境を整えることが大切になってきます。

ハイハイに適した環境作り

練習の前に、まずは環境を整えましょう。部屋の物を片付けてスペースを確保し、床の掃除をしましょう。家具の角に注意も必要です。

赤ちゃんが歩く練習は必要なの?

現在60~80歳の人たちが子育てをしている時期には3人に一人の赤ちゃんが歩行器を使って歩行訓練をしていました。


しかし、歩行器による事故が多発したり、発達に良くないとの研究結果が報告されたため、次第に使われなくなりました。


現代では歩行器を使うより、ハイハイを多くさせる方が赤ちゃんの成長に重要な役割を持つことがわかっています。


なぜ、歩行器がよくないのでしょうか?


立った姿勢を十分に支えることができない状態で歩行器を使うと、首から背骨・骨盤周囲の姿勢を支える筋肉や骨格に余計な負荷がかかってしまいます。このため、今では歩行目的での歩行器の使用が推奨されていません。


手押し車も歩行訓練には、あまりお勧めできません。手押し車は赤ちゃんが自分でつかまり立ちでき、伝い歩きが始まったころから使われるおもちゃですが、手押し車を押す場合、手を前に出してハンドルバーをにぎり、体が前傾してしまいます。


本来は腕を広げて、自分でバランスを取りながら歩く赤ちゃんが、手押し車に助けてもらってバランスをとることになります。


特に歩く練習をしなくても、時期が来れば赤ちゃんは自然に歩くようになりますので、パパやママはおおらかな気持ちで待ってください。

さいごに

ハイハイは全身の筋肉を使うので、全身の筋肉や脳をバランスよく発達させるために必要であることがわかっていただけましたか?


ハイハイをしなかったり、ハイハイの期間が短かったことで手指の発達と協応運動能力がうまく獲得できていない可能性があることをお伝えしました。


最近、ハサミや定規うまく使えなかったり、服の着脱が難しかったり、絵や字を書くのが苦手だったり、ぐねぐねとした姿勢の幼児が増えていると言います。


是非、部屋を片付けて広い空間を作り、安心・安全な環境で、たくさんハイハイをさせましょう。


この記事では歩行器や手押し車についても言及しました。歩く練習をさせるために歩行器を使うと、筋力が弱く、骨もまだ柔らかい赤ちゃんの体に過度の負担がかかるので、手押し車と同様に遊び目的以外には使わない方がいいですね。

    この記事の著者
    【ライター・コラムニスト】神戸市外国語大学を卒業後、京都府立高校で英語教師として勤務。 その後、40歳で米国ジュニアタ大学に留学し、平和学を専攻。 続いてオハイオ州立大学 教育学部 修士取得、博士課程、単位取得。 帰国後、関西外国語大学にて教授。 時事、カルチャー、政治経済、幼児教育~社会人教育まで多岐にわたる分野で記事執筆。20年間インドのアウトカーストの子どもたちの教育支援を行っている。 2018年、インド支援の一環として出版社、Murata Publisherを立ち上げる。著書に東洋経済新報社より「クリティカルシンキング 基礎編」「クリティカルシンキング 実践編」「誰も知らなかったインド人の秘密」、Murata Publisherより電子本39冊出版。
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