子どもの歯磨き習慣はどうすれば身につく?コツ・注意点と役立ちアイテム
子どもの歯磨きのステップ
子どもの歯磨きは、どのようなステップで行えばいいのでしょうか?歯の生える順番とあわせてご紹介します。ただし歯の生える順番や時期には個人差があるため、あくまで参考程度にチェックしてみてくださいね。
0~1歳
子どもの歯は生後6ヶ月から9ヶ月頃から生え始め、1歳になるころには上下4本ずつ、計8本の前歯が生えてくるといいます。このころの赤ちゃんには、歯磨きの最初のステップとして清潔なガーゼや綿棒、市販の歯磨きシートなどを使って、口の中をきれいにすることに慣れさせてあげましょう。
歯ブラシを使う場合は、安全性を重視し、赤ちゃん用を選ぶといいですね。力加減のわからない子どもが歯ブラシで喉をつかないようプレートがついたものや、ゴム素材でやわらかくできているものなど、さまざまな歯ブラシが販売されています。
この時期の歯磨きは抱っこで行うと、赤ちゃんも安心できるかもしれません。
1歳~
赤ちゃんが1歳を過ぎたら、赤ちゃん用の歯ブラシを使い、短い時間でさっと歯磨きをしてあげましょう。急ぐあまり力が入って強くこすりすぎると、赤ちゃんが痛みを感じるかもしれないので注意してくださいね。
また1歳半ごろになると、上下左右に1本ずつ、計4本手前の奥歯が生えてきます。奥歯が生えてきたら、抱っこでは歯の状態が見えづらくなるため、赤ちゃんの頭をママやパパの膝の上に乗せ、仰向けに寝かせて歯磨きをするといいでしょう。
まだ子どもが自分で大きく口を開けることは難しいため、大人の指で口を広げながら磨いてみてくださいね。前歯の裏側や奥歯の噛み合わせ部分などに汚れが溜まりやすいので、しっかりと磨くことをおすすめします。
2歳~
2歳頃になると前歯と奥歯のあいだの乳犬歯(糸切り歯)が、2歳半頃には奥歯が上下左右にそれぞれ1本ずつ生え、合計20本の乳歯が生えそろいます。この時期は大人の真似をしたがる時期なので、自分で歯を磨きたがる子どもも多いでしょう。
子どもが歯磨きに興味を持ったら、子ども用の歯ブラシを持たせてあげてくださいね。ただしこの時期の子どもにとってきれいに歯を磨くことは難しいため、別途大人が使う仕上げ磨き用の歯ブラシを用意しておくとスムーズに歯磨きができるかもしれません。
歯磨きを嫌がる子どもも少なくありませんが、毎日短時間でも歯磨きの時間をとることが歯磨き習慣へとつながるはずです。子どもが前向きに歯磨きに取り組めるよう明るい声かけを意識しながら、歯磨きの大切さを伝えてあげたいものですね。
またこのころになると、うがいができるようになる子どももいます。はじめはこぼしてしまったり、誤って水を飲みこんでしまったりすることもあるかもしれませんが、少しずつ上手にできるようになるはずなので長い目で見守ってあげてくださいね。
汚れるのが気になるようなら、お風呂のときに練習をするのもおすすめです。
子どもの歯磨き習慣をつけるコツ
子どもの歯磨き習慣をつけるため、以下のポイントを意識してみてはいかがでしょうか?
歯磨きの姿勢を遊びに取り入れる
子どもの歯磨きは、ママやパパの膝の上に子どもの頭を乗せて行うのが理想とされています。しかしそうした寝転ぶ姿勢に慣れていないと、子どもが緊張して歯磨きに抵抗を感じてしまうこともあるかもしれません。
そうならないよう、普段の遊びの中に寝転ぶ姿勢を取り入れてみてはいかがでしょうか?子どもを膝に寝転ばせた状態で手遊びをしたり、こちょこちょ遊びをしたりしてスキンシップをとることで、歯磨きの姿勢に慣れることができそうですね。
親が歯を磨くところをみせる
普段ママやパパの歯磨きは、どのタイミングで行っていますか?子どもよりも早く起き、遅く眠るママやパパは、子どもの寝ているあいだに歯磨きを済ませることも多いでしょう。しかし子どもの寝ているときに歯磨きをしてしまうと、子どもが歯磨きがどういうものなのか知る機会を損なう可能性があるといいます。
ママやパパの歯磨きを子どもの前で行うことは、子どもの歯磨き習慣の第一歩へとつながるかもしれませんよ。
一度にすべての歯をきれいにすることにこだわらない
子どもの歯を磨くとき、すべての歯をきれいにしようとすると時間がかかってしまいますよね。しかし長時間の歯磨きは、子どもの歯磨き嫌いにつながってしまうことが懸念されます。
歯磨きの途中で子どもの機嫌が悪くなるようなら、一度にすべての歯を磨ききることにこだわらなくてもいいかもしれません。1日に2本ずつなど子どもの無理のないペースからスタートし、5日程度ですべての歯をきれいにすることを意識してみてはいかがでしょうか?
毎日すべての歯を磨かなくてはならないと考えると、ママやパパもストレスが溜まってしまいますよね。一度に磨ききらなくても大丈夫だと思うと、肩の力を抜いて気軽に歯磨きに取り組めるかもしれませんね。
明るい声掛けを意識する
子どもの歯磨き中は、明るいトーンで声かけをしてあげてはいかがでしょうか?「お口を大きく開けよう」「上の歯からきれいにするよ」などと歯磨きの実況をするようにすると、子どもも安心できそうですね。
「あ、ばい菌見つけた!」「ばい菌どこに隠れているかな?」などと子どもが楽しめるよう言い方を工夫してみてもいいでしょう。筆者も子どもの歯磨きをするとき、紹介したような声かけを意識しています。
忙しくて気持ちに余裕がないときはつい「きちんと口を開けなさい」などときつい言い方をしてしまうこともあるのですが、そうすると子どもは普段よりも歯磨きに抵抗を示すことが多いように感じます。
前向きな声かけがきちんとできているときは、きゃっきゃと笑い声がでることも多く、口を開けてくれる時間も長いです。歯磨きを手早く済ませるためにも、叱るよりも楽しめる声かけに挑戦することをおすすめします。
歯磨きは眠くなる前に済ませる
子どもの歯磨きを就寝前に行う家庭も多いですが、眠くなると子どもの機嫌は悪くなりがちですよね。そんな不機嫌な状態で歯磨きをすると、子どもは歯磨きをいやなものとして認識してしまいかねません。
ただし虫歯菌は寝ている間に増えやすいといわれているので、歯磨きをせずに寝かせるのは避けたいですよね。そのため、夕食後すぐのタイミングなど、子どもが眠くなる前に歯磨きをしてみてはいかがでしょうか?
歯磨きは毎食後行うのが理想だといわれていますが、子どもによっては難しいこともありますよね。そのときは食後にうがいだけしたり、水やお茶を飲んだりして口内をきれいにすることを習慣づけるといいでしょう。
手鏡を持たせる
子どもが歯磨きを嫌がるときは、何をされているのかわからないという不安を感じている場合もあるといいます。歯磨きがどういうものなのか直接目で見て確認できるよう、子どもに手鏡を持たせてみてもいいでしょう。
歯磨きの様子がしっかりとわかることで、安心して歯を磨けるようになるかもしれません。
褒める
子どもの歯磨きのあとは、大げさに褒めてあげてはいかがでしょうか?ご褒美シールなどを活用してみてもいいですね。そうした小さなご褒美があることで「次も歯磨きを頑張ろう」というモチベーションの維持につながるかもしれませんよ。
笑顔を心がける
子どもの歯を磨くとき「きれいに磨かなくては」と意気込み、つい怖い顔をしてはいませんか?怒っているつもりはなくても、子どもにプレッシャーを与えてしまう可能性があるため、表情に注意し、笑顔で歯磨きをするよう意識してみてくださいね。
子どもの歯磨きの注意点
子どもの歯磨きをするとき、どのような点に注意すればいいのでしょうか?
磨き方に気をつける
子どもが歯磨きを嫌がるときは、磨き方に問題がある場合も多いといいます。とくに上唇の裏側にある「上唇小帯」というひだに歯ブラシが当たると痛みを感じるといわれているので、指で守りながら磨くことをおすすめします。
また歯ブラシは鉛筆と同じように持ち、大人の歯を磨くときの半分程度の力で優しく磨いてあげましょう。磨き方に自信がない場合は、歯医者などで歯磨きのやり方について相談してみてもいいですね。
歯ブラシを咥えたまま動き回らせない
子どもが自分で歯磨きをするようになると、歯ブラシをもったまま動き回ろうとすることもあるかもしれません。しかし歯ブラシを咥えたまま転ぶと、喉をつくなどの思わぬ怪我を引き起こしてしまう可能性があります。
歯磨き中の子どもからは目を離さず、動き回らせずにじっとした状態で歯磨きをさせましょう。椅子などに座らせてもいいですね。
無理強いしない
子どもが歯磨きをどうしても嫌がるときは、あまり無理強いしないことをおすすめします。押さえつけて無理矢理歯磨きをしてしまうと、より歯磨きに苦手意識を植え付けてしまいかねません。
歯磨きをするときは子どもの機嫌のいいタイミングを見計らって、虫歯になりやすい奥歯の咬み合わせや前歯の裏側などを短時間で磨くといいでしょう。歌を歌ったり、楽しく声かけをしたりと、明るい雰囲気を心がけることも大切です。
子どもの歯磨きの習慣づけに役立つアイテム
子どもの歯磨き習慣をつけるため、歯磨き用品を活用してみてもいいでしょう。歯磨きの習慣づけに役立つアイテムをご紹介します。
歯ブラシ
子ども用の歯ブラシは、子どもの年齢にあったものを選ぶことをおすすめします。年齢があっていないと、歯ブラシが大きすぎて細かいところまで磨けない可能性もあるようです。また子どものデリケートな口内を傷つけないよう、やわらかめの歯ブラシを選んではいかがでしょうか?
子どもの好きなキャラクターやデザインのものを用意してあげると、歯磨きの時間を楽しみやすそうですね。お店に親子で足を運び、子ども自身に歯ブラシを選ばせてあげてもいいでしょう。
歯磨き粉
小さい子どもの歯磨きには、歯磨き粉は使わなくてもいいといわれています。歯ブラシだけでも十分汚れは落とせるといいますが、2~3歳頃になると、子ども用の歯磨き粉があったほうが子どもも前向きに歯磨きをしてくれるかもしれません。
歯磨き粉を使う場合、量は歯ブラシの1/3程度を目安につけすぎないように注意しましょう。たくさん歯磨き粉を使うとその分多くの泡が出てしまい、ちゃんと磨けていなくても磨いた気になってしまいかねないといいます。
デンタルフロス
歯と歯のあいだの隙間は虫歯ができやすいといわれていますが、歯ブラシだけではきれいに保つのは難しいでしょう。デンタルフロスを使うと、歯と歯の隙間をきれいにできますよ。大人用だと子どもの小さな口には使いづらいため、子ども用のフロスを用意してあげてくださいね。
歯垢液
歯垢液とは、歯の磨き残しの汚れた部分に色をつけるものです。汚れているところがはっきりと目に見えるようになるため、普段の歯磨きの問題点を見つけられることでしょう。また子どもに汚れを鏡で見せることで、歯磨きの重要性を伝えられるかもしれません。
フッ素
フッ素を歯の表面に塗ることは虫歯の予防に効果的だといわれており、年に数回程度歯医者で塗ってもらうのが理想なのだとか。しかしフッ素を塗ってさえいれば虫歯にならないというわけではないため、歯磨きもしっかりと行う必要があります。
筆者の子どもも、歯医者で定期的にフッ素を塗ってもらっています。それとあわせて、シーラントという虫歯予防も行っています。シーラントとは、フッ素の入ったプラスチックを使い、虫歯になりやすい奥歯の嚙み合わせ部分の溝を塞ぐことをいいます。
また家庭でもフッ素入りの歯磨き粉やジェルなどを併用してもいいでしょう。
キシリトール
子どもの歯磨きのご褒美に、虫歯予防に効果が期待できるといわれているキシリトールのタブレットやガムはいかがでしょうか?低年齢の子どもの場合、ガムは誤って飲み込んでしまう可能性があるため、タブレットのほうがいいかもしれません。
子ども用のキシリトールタブレットは、誤って丸のみしても気道を塞ぎにくい形になっているものが多いですが、子どもの年齢や発達状態に合わせて、砕いてから与えるなど配慮してあげてくださいね。
最近はグミやキャンディ、チョコレートなどさまざまなキシリトール商品が販売されています。また歯磨きのご褒美には、必ずキシリトール100%のものを選ぶようにしてくださいね。
絵本
歯磨きの大切さを子どもに伝えるため、歯磨きがテーマになっている絵本を読み聞かせてみてはいかがでしょうか?歯磨き嫌いな子どもにおすすめの「はみがきれっしゃ しゅっぱつしんこう!」(作:くぼまちこ)やかわいらしいイラストとわかりやすい話がためになる「にゅうしちゃん」(作・絵:minchi)などさまざまな絵本があるので、子どもの気に入りそうなものを探してみてくださいね。
さいごに
乳歯は将来永久歯に生え変わりますが、乳歯が虫歯になると永久歯にも悪影響を与えてしまう可能性があるといいます。ほかにも歯並びが悪くなったり顎の発育を妨げたり、さまざまな弊害が引き起こされる可能性が懸念されるため、乳幼児期から歯磨きを習慣づけるよう意識したいものですね。
子どもがどうしても歯磨きに前向きになれないときは、思い切って子どもと大人の立場を交換してみてはいかがでしょう?子どもに大人の歯磨きをやってもらうことで、歯磨きに興味を持ってくれるかもしれません。
「〇〇くんが磨いてくれたから、口の中が気持ちいいな」などと褒めることで、子どもの歯磨きへの意欲を引き出せそうですね。ただし子どもに歯磨きをしてもらうときは、勢いあまって喉を突かれないように気をつけてくださいね。
参考サイト
- 日本歯科医師会(https://www.jda.or.jp/ )
- ライオン歯科衛生研究所(https://www.lion-dent-health.or.jp/ )