足の発達にも影響する!?赤ちゃんの足を守るファーストシューズの選び方
出産祝いやお誕生日に最適なファーストシューズって?
ファーストシューズとは歩きはじめのベビー靴を総称して呼ばれています。1歳ごろに歩きはじめる子も多いため、SNSでは1歳のお誕生日プレゼントとしてファーストシューズを用意している投稿もよく目にします。
記念に残したい!赤ちゃんがはじめて履いた靴
厳密にはファーストシューズとは靴に慣れる前の室内用のトレーニングシューズを指します。欧米では、生まれたときに履かせた手編みの靴をファーストシューズと呼んだり、実際に履いたファーストシューズをブロンズ製にして取っておいたりしているようです。つかまり立ちをはじめる頃に初めて履かせた靴として、記念に飾れるものもありますが、基本的に歩くためにつくられていない場合が多いので、注意しましょう。
縁起物?幸運を呼ぶファーストシューズのジンクス
そのほかにも、ファーストシューズを玄関に飾ることで幸運が呼び込める縁起物とされることも。両親以外からプレゼントされると縁起がよいといったジンクスもあり、出産祝いや1歳のお誕生日などの贈り物にぴったりです。
足の発達に影響あり?大切なファーストシューズ選び
そんな微笑ましいファーストシューズですが、いざその靴を履いて歩く時には、靴の選び方をよく考える必要があります。ファーストシューズの選び方が子どもの足の発達に大きな影響を及ぼす可能性があるからです。
足の裏の感覚が大切! 正しく刺激を伝える靴選び
個人差はありますが、赤ちゃんの約半数は1歳のお誕生日ごろ、遅くとも1歳半ごろまでには自分の力で立って歩き出します。歩きはじめの子どもは大人のように足先で地面を蹴って歩くのではなく、足の裏全面を床に密着させ、かかとを軸にして歩きます。ハイハイの時には手と足の4カ所で支えていた体の重圧が2本の足にかかり、体のバランスも取らなくてはいけません。
このような乳児期の歩行運動のためには骨格や関節、筋などを支配する脳や平衡感覚器の発達が必要になります。とくにその中でも重要なのが足の裏の知覚運動神経です。ここからの刺激が中枢神経に伝わることによって、運動器官や平衡感覚器に作用して歩行運動を円滑に行うことが可能になります。そのため、足の裏の感覚神経に適切に作用する靴選びが重要になってきます。
誤った靴選びで足が変形してしまう?正しい靴選びの重要性
埼玉県小児医療センター整形外科の佐藤雅人氏による5歳の幼稚園児57名への調査では、外反母趾傾向にある園児は約1割。そのうち、11%の園児はサイズがきつい靴を履いていたとしています。
また、数多くの育児書や小児医学書を発表している宇留野勝正氏も同様に3~5歳の幼稚園児114名を対象に足と履物に関する調査をしています。その結果、ゴムバンドによるスリッポンのような靴を履いていた子どもの多くに、外反母趾やその傾向があることが分かりました。
外反母趾傾向にある子どもは、歩きはじめた乳児のような左右にふらついてしまう歩き方が観察されたとしています。このことから、不適切な靴を履いていることによって、足が変形し、歩行発達にまで影響を及ぼすということが言えるでしょう。
要注意!変形しやすい赤ちゃんの未熟な足
0~3歳の足の骨はまだ柔らかく、その繊細な骨を守るためにふっくらとした脂肪で守られています。足の裏は接地面が多く、全体が地面につくように歩くことが特徴です。歩きはじめたころの赤ちゃんの足は、足幅が広く土踏まずが未完成でとても繊細です。外からの刺激を受けやすいため、履かせる靴によって影響を大きく受けてしまいます。
その時期の子どもは成長が著しく、できるだけ長く履けるように、つい大きめのサイズの靴を選んでしまいがちですが、サイズの合わない靴を履くことによって足のトラブルや歩行発達の遅れに繋がってしまいます。そのため、適切なサイズやデザインを選んで履かせることが大切です。
赤ちゃんの足を守る!適切なファーストシューズの選び方
適切なファーストシューズを選ぶためにチェックしておきたいポイントをご紹介します。
子どもの足や運動機能の発達を守る靴を選ぶためにもぜひ参考にしてみてください。
初めての靴はどんなタイミングで買えばいいの?
室内で歩くことができるようになると、いよいよ外で歩く機会が増えてきます。靴を用意する目安は、自分の足で10歩ほど安定して歩けるようになるタイミングです。ねんね期、ハイハイ期には丸まっていることが多かった足の指が、歩くようになるとまっすぐ伸びやすくなります。靴を買うのが早すぎると、丸まっていた指が伸びてすぐにサイズアウトしてしまうので、気をつけてください。
また、靴を買いに行くタイミングも気にしてみるとよいでしょう。大人も子どもも昼間に足はむくみやすくなります。そのため、できれば午前中よりも午後から夕方ごろに靴を買う方が適切なサイズの靴が選びやすいです。
かわいいだけじゃない!靴のデザインを選ぶポイント
ファーストシューズは足の発育・発達や運動機能を妨げないものを選ぶ必要があります。また、活発に動きはじめる時期だからこそ、その活動性を高めるための靴だとよりよいですよね。ファーストシューズを選ぶ時には以下の4つのポイントを意識してみましょう。
- つま先が広く、適切な余裕があるもの
赤ちゃんの足は扇形に開いているため、その形に合った靴を選ぶことが大切です。ぴったり過ぎてもゆるすぎても運動機能に影響が出てしまうため、足先に5mmほどの余裕があるものだとよいでしょう。また、つま先が少し反り返ったものを選ぶと、よちよち歩きで足先を地面に引っ掛けて転びにくくなります。 - かかとをしっかり包み込み、固定してくれる
赤ちゃんはかかとを軸に歩くため、かかとをすっぽりと包み、しっかりと固定できる深さと硬さのある靴を選びましょう。かかとの骨が完成する3歳ごろまではかかとの部分を意識して靴を選んでみてください。 - 靴底は柔らかすぎても硬すぎてもNG
靴底が硬すぎると歩行に合わせて靴が曲がらないので、歩きながら靴が脱げてしまったり踏み返しがしにくかったりしてしまいます。それによって歩幅が小さくなり、適切に歩けなくなってしまうので、注意が必要です。足の指の付け根あたりで適度に曲がる靴を選ぶと足の動きにフィットするので歩きやすくなります。 - 靴の口が大きく開いて履かせやすいもの
パパママにとっては靴の履かせやすさも大切です。履かせにくい靴は正しく装着ができず、履き方や歩き方に癖ができてしまう恐れがあります。
ハイカットの方がいいの?足を固定する位置をチェックしよう
ハイカットの方が足首を固定できてよいのでは?と思いがちですが、重要なのは足の甲の部分の固定です。赤ちゃんの靴はかかとの固定が大切なため、足が靴の中で前に滑ってしまったり、脱げてしまったりしないようにする必要があります。足首ではなく足の甲で固定をすることによって足にフィットさせることが可能です。
靴紐タイプの靴が一番望ましいとされていますが、靴紐タイプの靴を子どもに履かせるのって大変ですよね。そのため、面ファスナータイプの靴でも間隔をあけた2本のバンドで固定するものか、幅広の1本で固定するタイプを選ぶとよいでしょう。
サイズが合っているかはどうやってチェックする?
ファーストシューズを選ぶ時には専門店で赤ちゃんの足の大きさを測定してもらい、サイズに合った靴を試着できるとチェックしやすいです。履かせる時にはかかとに合わせて足を入れ、それを固定するように靴紐やバンドでしっかりと留めましょう。
お店の中で歩かせてもらえることができれば、少し歩かせて、脱げたり転んだりすることがないか、歩き方が不自然ではないかなど注意して観察します。購入後に履きはじめてからも靴によって赤くなっている部分やこすれている部分が無いか確認しましょう。
子どもの足はあっという間に成長していくので、サイズの見直しも大切です。ファーストシューズを買う1歳から3歳ごろであれば、およそ3ヶ月ごとに靴のサイズが合っているかチェックがおすすめです。
さいごに
子どもの足の発達を妨げないファーストシューズの選び方をご紹介しました。もちろん日々履く靴だからこそ、履かせやすさも大切です。かわいい我が子に気に入ったデザインの靴を履かせたいというのも親心でしょう。そういった履かせやすさやデザインなどのポイントと子どもの足にとって適切な靴であることのバランスを取りながら、お気に入りのファーストシューズを見つけてくださいね。
参考サイト
- 東京都立皮革技術センター台東支所|かわとはきものNo.145 3. 子供の足と歩行と靴を考える(https://www.hikaku.metro.tokyo.lg.jp/Portals/0/images/shisho/shien/public_2/145_3.pdf )
- 東京都立皮革技術センター台東支所|かわとはきものNo.141 2. 子どもの足の発達と子ども靴(https://www.hikaku.metro.tokyo.lg.jp/Portals/0/images/shisho/shien/public_2/141_2.pdf)
- 日本靴医学会|足と靴専門の医師がお答えしますQ&A:子供に関する事(https://kutsuigaku.com/q-and-a/kids.html#kids)
- 埼玉県東松山市|てくてくわくわく歩育ブック(http://www.city.higashimatsuyama.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/63/hoikubook.pdf)
- みやざき足育センター|ファーストシューズを買う時期は?(https://ashiiku-miya.com/?p=631)