子どもの社会性はどうやって育む?社会性が芽生える時期と注意点
社会性とは?
そもそも社会性とは、一体どういうものをさすのでしょうか?実は社会性には、はっきりとした定義はないといいます。そのため、研究者によって社会性をどのようなものとしてとらえているのかはさまざまなのだとか。
ただし一般的に社会性というと「社会のルールに従う」「周囲の意見を聞き、自分の意見を伝える」などといった「社会という集団の中で生きていくうえで必要な能力」をイメージすることが多いかもしれません。
また精神学においては、社会的な発達には以下の4つの目安があるといいます。
- 他者と良好な関係を保つ「対人行動」
- 集団の中で周囲と協調した行動をする「集団行動」
- 周囲から認められたい・好かれたいという「社会的欲求」
- 社会情勢や風潮に関心を持つ「社会的関心」
ただしこのうち社会的関心は8歳頃まではなかなか意識できないものだといわれているので、幼児期にはママやパパがニュースに意識を向ける姿を見せるだけでも十分かもしれません。
子どもの社会性はいつから?
子どもの社会性はいつごろから育まれていくのでしょうか?
乳児期
乳児期の子どもは自分でできることが少ないため、自分と他人との境界があやふやだといいます。この時期に親子のスキンシップなどを通して愛情を受けることで、親子の信頼関係が深まり、子どもの情緒が安定するといわれています。
幼児期前期
1~3歳の幼児期前期になると子どもの自我が芽生えてきますが、まだ社会性が育まれる時期ではないといいます。子どもによっては保育園などで集団生活が始まることもありますが、ひとり遊びや大人との遊びが中心となるため、同年代の子どもとのコミュニケーションをとらないからといって問題はないようです。
ただし子どもとある程度言葉でのコミュニケーションがとれるようになったら、子どもが守るべきルールやマナーについて教えることが大切だといいます。はじめのうちは子どもも受け入れられず、癇癪を起こして泣いてしまうこともあるかもしれませんが、根気よく伝え続けてみてくださいね。
幼児期後期以降
4歳以降の幼児期後期になると、園生活などを通して少しずつ子どもの社会性が育まれていくといいます。家族から離れて過ごす時間が増える中で、まずは大人である園の先生と関係を築いていくそうです。
その後、自分と同じ立場であるほかの子どもたちとコミュニケーションをとるようになっていくのだとか。大人と接するときのように自分の主張を押し通すことは難しいため、ときに衝突しながらも道徳性や思いやりの心などを育んでいけることでしょう。
子どもの社会性を育む方法
子どもの社会性を育むためには、どのようなことを実践すればいいのでしょうか?
子ども同士のコミュニケーションの機会を増やす
園の送迎時や公園遊びなど、子ども同士で遊ぶ機会を作ることは社会性を育むうえで大切だといいます。子どもの遊びに大人も参加したり、遊んだあとに子どもの話にしっかりと耳を傾けたりすることも効果的だといわれています。
さまざまな人と関わる場を設ける
日常生活の中では、家族や園の先生・友達など限られた人以外と関わる機会は少ないですよね。そんな子どもの交流の幅を広げられるよう、意識してみてはいかがでしょうか?またそうした場で、ママやパパがお手本となることも大切です。
積極的に人とコミュニケーションをとり、仲良くする姿を見せることで、子どもにより良い人間関係の築き方を教えられるかもしれません。ただし子どもも大人と同じように、知らない人と接すると緊張してストレスを感じることがあるかもしれません。
いきなり知らない人の輪の中に子どもを放り込むのではなく、ママやパパがそばに付き添っていてあげることで、子どもは安心できそうですね。また目の届く範囲にいることで、トラブルになりそうなときにも適切なサポートができるでしょう。
子どもの喧嘩を子ども自身に解決させる
3歳を過ぎたころから、年の近い子ども同士の喧嘩が増える傾向があるといいます。このころになると、子ども同士で一緒に遊ぶ機会も少しずつ増えていきますが、ルールがうまく把握できていなかったり、自分の気持ちを上手に伝えられなかったりすることで、トラブルにつながることが多いのだとか。
子どもにはなるべく喧嘩をしないでほしいと考えるママ・パパも少なくありませんが、そうした喧嘩を通して、子どもはさまざまなことを学べるといいます。自分の気持ちや要望の伝え方、相手の気持ちを思いやる心、意見が衝突したときの折り合いのつけ方など、対人関係で求められる数多くのスキルを学ぶ機会を尊重してあげてくださいね。
怪我につながりそうな場合など、危険があれば先回りして止めることも必要ですが、そうでない場合は余計な口出しはせずに見守ってあげてはいかがでしょうか?子どもだけで解決するのが難しい場合や子どもが助けを求めてきた場合は、どうすればいいのかいっしょに考えてあげるといいですね。
子どもの社会性を伸ばすための注意点
子どもの社会性を育むためには、どのようなことに注意すればいいのでしょうか?
子どものペースにあわせる
子どもに社会性を身につけさせようと、子どもの気持ちを無視して人の輪に放り込んだり、親の価値観を押し付けたりしないよう気を付けましょう。子どもが嫌がっているのに過度な人付き合いを強要すると、人と接すること自体に苦手意識を抱いてしまう可能性も。
子どもの気持ちやペースを尊重した上で、無理のない範囲で子どもの社会性をのばしてあげてくださいね。
親が子どもにとって安心できる存在になる
良好な人間関係を築くためには、相手を思いやって行動することが求められますよね。そうした思いやりの心は、親子の信頼関係がしっかりと構築されてこそ育まれていくといいます。
子どもが「ママやパパは自分の味方」だと親を信頼し「ありのままの自分」が愛されていると感じられるよう、親子のコミュニケーションを密にとり、しっかりと甘えさせてあげてくださいね。
小さな失敗の機会を奪わない
小さな子どもの間では、おもちゃの取り合いなどで喧嘩が起こることも多いでしょう。喧嘩で子どもが傷ついたり、相手の子どもを傷つけたりするのは親として避けたいものですが、そんなトラブルを避けてばかりいるのはおすすめできません。
友だちのおもちゃをとってしまったり、喧嘩して手が出てしまったりといった対人関係の失敗を幼児期に経験することも、社会性を育むうえで大切だといわれています。
親の求める「良い子」を押し付けない
子どもにはなるべく「良い子」に育ってほしいものかもしれませんが、親の求める「良い子」であることを押し付けてしまうと、子どもの本心が抑圧されてしまいかねません。そうした状況が続くと、突然本心が爆発して荒れてしまったり、本当の自分と親の前の自分の違いに思い悩んだりしてしまうことも。
ママやパパにとって望ましくない行動であったとしても頭ごなしに否定せず、子どもの気持ちに寄り添ってあげることを意識したいものですね。
さいごに
幼児期にひとり遊びばかりしている子どもを見ていると、不安に感じる人も少なくないでしょう。しかし4歳頃までの子どもは、複数の子どもで同じ遊びをしていても、相手に関心を示したりコミュニケーションをとったりしないことも多いといいます。
個人差はありますが、4歳頃から少しずつ友だちと一つの遊びを通してやりとりできるようになるといわれているので、焦らず見守ってあげてはいかがでしょうか?筆者の子どもも、4歳を過ぎてもなかなか友だちと遊びたがらず、やきもきしたことがあります。
当時娘は幼稚園に通っていたのですが、帰宅後に話を聞くたびに「ひとりで遊んだ」と話すので、担任の先生に相談したこともありました。そんな娘も5歳を過ぎたころには、楽しく友だちと遊べるようになりました。
時にはひとり遊びに集中することもありますが、今ではひとり遊びも友だちの時間と同様に子どもにとって大切なものだと考えられるようになり、温かく見守ることができています。