子どもの脳を育てる食べ物は?育脳ごはんのポイントと必要な栄養
育脳に大切な栄養とは?
人間の脳は3歳頃までに最も発達し、6歳になるころには90%程度、12歳になるとほとんど完成するといわれています。そんな脳の大切な成長期である幼児期に栄養バランスの良い食事をとることで、子どもの脳の発達を促すことができるかもしれません。
また幼児期を過ぎてからも、脳細胞は入れ替わり、発達は続いていくといわれています。そのため、学童期・思春期も引き続きバランスの良い食事を心がけたいものですね。また食事内容と同様に「どう食べるのか」といった食生活も子どもの成長に大きな影響を与えるといいます。
子どもが健全な食習慣を身に付けられるよう、生活リズムを整えたり、家族で食事をとるよう意識したりすることも大切なのかもしれません。
DHA・EPAなどの不飽和脂肪酸
人間の脳の6割は脂肪、そして残りはタンパク質でできているといわれています。また脂肪には不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の2種類がありますが、このうち不飽和脂肪酸が脳に良い栄養なのだとか。青魚などに多く含まれるDHAやEPAといったオメガ3系脂肪酸などが、不飽和脂肪酸の代表的なものとなっています。
一方肉の脂やバターなどに多い飽和脂肪酸は、多く摂りすぎると脳細胞や血管の老化へつながるリスクが懸念されるといわれているので、注意してくださいね。またアマニ油には、体内でDHAに変換される成分が含まれているので、積極的に食事に取り入れてみてはいかがでしょうか?
ただしアマニ油は加熱によって成分が変わってしまうそうなので、汁物やサラダにかけたり混ぜたりするのがおすすめです。
炭水化物
人間の身体の中で脳の占める割合は少ないですが、実は脳は全体の20%ほどのエネルギーを使っている器官だといわれています。頭を使うと、甘いものを食べたくなるのは、このエネルギー消費量が影響しているのだとか。
ただし、炭水化物を一度に多くとりすぎると、血糖値の急上昇を招いてしまうそうです。そうすると血糖値を下げるためにインシュリンが大量に分泌され、その結果低血糖へとつながり、眠気や集中力の低下などの弊害がでる可能性もあるため、気を付けてくださいね。
血糖値の急上昇を防ぐため、血糖値の上昇が緩やかな低GI食品を活用してもいいでしょう。
そのほかの摂取したい栄養
不飽和脂肪酸や炭水化物のほかにも、脳の情報伝達に役立つ「カルシウム」や脳内の神経伝達物質を増やす「レシチン」をはじめ、下記のような栄養も育脳に効果が期待できるといいます。
- タンパク質
- 鉄
- ビタミンB群
それでは、これらの栄養はどのような食材からとれるものなのでしょうか?
育脳におすすめの食材と食べ合わせ
ここからは、育脳に効果的だといわれている栄養が含まれている食材をご紹介します。またおすすめの食べ合わせについても、参考にしてみてくださいね。
おすすめの食材
育脳に効果が期待できる食材には、以下のようなものがあります。
- 不飽和脂肪酸:サバ・鮭・マグロ・カニ・牡蠣・アマニ油など
- 炭水化物:オートミール・分づき米・全粒粉パンなど
- カルシウム:チーズ・ヨーグルト・ひじき・煮干しなど
- レシチン:卵・大豆など
- タンパク質:肉・魚・卵・豆腐など
- 鉄:牛もも赤身肉・マグロ・卵・あさり・レバーなど
ビタミンB群は幅広い食材に含まれているので、ぜひいろんな食材をバランス良く食事に取り入れてみてくださいね。
食べ合わせ
食品に含まれる栄養は、実は食べ合わせによってその効果が増減することがあるとご存じでしょうか?より効果的に栄養をとってほしいのであれば、下記の食べ合わせを試してみてはいかがでしょうか?
- 脂の酸化を防ぐ「オメガ3系脂肪酸+ビタミンE(ナッツ類・オリーブオイルなど)」
- レシチンの吸収を高める「レシチン+ビタミンC(ブロッコリー・ピーマンなど)」
- 糖質を効率よくエネルギーに変換する「低GI炭水化物+ビタミンB1(豚肉・牛赤身肉など)」
- 鉄分の吸収率をあげる「鉄+ビタミンC」
- カルシウムの吸収率を高める「カルシウム+マグネシウム(あおさ・青のりなど)、ビタミンC、ビタミンD(サンマ・カレイなど)」
ただしビタミンEを多く含むナッツ類は、窒息・誤嚥のリスクがあることから5歳以下の子どもには食べさせないよう消費者庁が呼び掛けているため、注意してくださいね。
子どもの脳を育てる食事のポイント
子どもの脳を育むうえで、どのような点に注意して食事を用意するといいのでしょうか?
きちんと朝食を食べさせる
生活習慣の乱れから、朝ごはんを食べない子どもも増えているといいます。しかし睡眠中に消費された栄養を補い、身体と脳をしっかりと動かすために朝食は非常に重要なのだとか。
子どもの健全な生活のためにも、糖質やタンパク質、脂質、ビタミン・ミネラルを取り入れたバランスの良い朝食を用意してあげたいものですね。また睡眠中は体温が低下するため、汁物など体温を高められる温かいメニューを取り入れるのがおすすめです。
さらによく噛んで食べることで、唾液の分泌量が増え、消化器官の働きがよくなるといわれているので、根菜や食物繊維を多く含む果物など、噛み応えのある食材を活用してもいいでしょう。
調理法を工夫する
育脳に効果が期待できる食材を取り入れようと思っても、子どもがなかなか食べてくれないこともあるかもしれません。そんな子どもの苦手な食材は、調理法を工夫してみてはいかがでしょうか?
混ぜごはんやチャーハンにしたり、味付けや硬さ、盛り付けを変えてみたりすると、意外と口にしてくれるかもしれません。また苦手だからとあきらめず、根気強く食卓に出し続けることも大切だといいます。
食べられないのなら強要はせず、無理のない範囲で挑戦させてみてはいかがでしょうか?
手間をかけすぎない
子どもの育脳のためにと食事にこだわりすぎると、ママやパパにとって大きな負担となってしまうかもしれません。食事は毎日のことなので、無理なく続けていけるかどうかを意識し、手間をかけすぎないことが大切なのではないでしょうか?
時間のあるときにおかずの作り置きをしておいたり、日持ちする缶詰や乾物を活用したりすると、忙しいときの食事の準備の負担を軽減できそうですね。ツナ缶やかつおぶしなど、手軽に使えるものがあると重宝しますよ。
また調理をする時間や元気がないときは、レトルトや冷凍食品などの市販品の力を借りてもいいでしょう。余裕があるときは野菜や肉などの食材を加えると、栄養をプラスできるだけでなく、気になる塩分も抑えられそうですね。
加工品を使うときは成分表示を確認したうえで、添加物の少ないものを探すことをおすすめします。
栄養のあるおやつを用意する
おやつというとお菓子をイメージする人も少なくないかもしれませんが、子どもにとってのおやつは「第4の食事」と呼ばれ、食事だけでは不足する栄養を補うためのものだといいます。
子どもの育脳のためにも、DHAなどの不飽和脂肪酸やタンパク質、カルシウムがとれるようなおやつを用意してあげてはいかがでしょうか?難しく感じられるかもしれませんが、魚肉ソーセージやヨーグルト、混ぜごはんのおにぎりなど、手軽に用意できるものを活用すると続けやすそうですね。
さいごに
子どもの育脳のためにはバランスよく栄養をとることが望ましいですが、子どもに強要するのはおすすめできません。子どもの健全な食生活の基盤を作るためにも、まずは食事を楽しむことを意識してみてはいかがでしょうか?
幼児期は好き嫌いが多い時期なので、ママやパパの望むように食が進まないことも多いかもしれません。せっかく用意したごはんを残されるのは悲しいものですが、根気よく付き合ってあげることで、子どもの食への興味・関心を引き出していけるのではないでしょうか?
また子どもは濃い味のものを好む傾向があるといいますが、子どもの味覚を育むためにも、出汁をきかせたり素材の味を生かしたりしながら薄味を心がけてあげてくださいね。