子どもの偏食に悩む人必見! 幼児の偏食の原因と8つの対処法
幼児の偏食の原因
偏食というと「嫌いなものが多い」「好きなものしか食べない」という極端な好き嫌いを指すイメージがあるかもしれませんが、実は「食事をするタイミングが決まっておらず、好きなときに食べる」という状態も偏食に当たるといいます。
厚生労働省が平成27年に行った乳幼児栄養調査によると、およそ3割の人が子どもの偏食に悩んでいるというのだから、多くのママやパパにとって身近な問題だといえるでしょう。それでは、子どもの偏食はどうして起こるのでしょうか?
味覚の発達が未熟
子どもの味覚は、さまざまな味を経験しながら少しずつ発達していくものだといいます。そのため食の経験の少ない子どもにとって、何でも好き嫌いせずに食べるというのは難しいことなのだとか。
味覚には「旨味」「塩味」「甘味」「酸味」「苦味」の5種類がありますが、本能的に「旨味」「塩味」「甘味」をおいしいものとして感じる一方「酸味」や「苦味」は危険なものとして認識してしまうそうです。そのため、酸味のあるトマトや苦味のあるピーマンなどの野菜が苦手な子どもが多いといいます。
また人間の舌にある味を感知する「味蕾(みらい)」というセンサーのようなものは、乳幼児期に多く、成長に伴って減少していくのだそうです。子ども時代に苦手な食べ物が大人になるとおいしく感じられるようになるのは、この味蕾の数が影響しているのだというと納得ですね。
食に関する嫌な経験
「虫歯にしみた」「こぼして怒られた」など食材や料理を口にしたときに何か嫌な思いをしてしまうと、そのきっかけになったものを苦手に感じるようになる可能性があるといいます。
体調不良などが原因で実際に食との関連がなかったとしても「あれを食べたから気持ち悪くなった」などと子どもが認識してしまうことも珍しくないそうです。
食べづらさ
食材の大きさや硬さが子どもの咀嚼力に見合っていない場合、食べづらさから偏食してしまう子どもも少なくないといいます。ほかにも、スプーンや箸などの食器を上手に扱えない場合、苦手な食器を使う料理を拒否してしまうこともあるというので、注意したいですね。
空腹になっていない
「空腹は最大の調味料」というように、お腹が空いていないとなかなか食が進まないことも多いでしょう。日中の運動不足や間食の回数・量などによって、食事の時間になってもお腹が空いていない子どもも少なくないといいます。
またあまりお腹が空いていない場合、好きなものだけ食べると十分満腹になるため、苦手なものに手をつけてくれなくなるかもしれません。
アレルギー
食物アレルギーの症状というと、蕁麻疹や嘔吐、ショック症状などを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかしアレルギー症状は人それぞれで、口の中の違和感や腹痛など、傍目からはわかりづらい症状が出ることも珍しくないといいます。
小さな子どもにとって、こうした不快な症状を言葉で伝えるのは難しいため、好き嫌いだと思っていたものがあとになってアレルギーだったとわかるケースもあるのだとか。
偏食が子どもに与える影響
子どもが偏食を続けていると、どのような弊害が懸念されるのでしょうか?
味覚が育まれない
小さなころから甘味や塩味などが強く、味の濃いものばかり口にしていると、味覚が鈍り、素材そのものの味をきちんと感じ取れなくなってしまう可能性があるといいます。またミネラルのひとつである「亜鉛」が不足することも、味覚に影響を与える可能性があるといいます。
牡蠣は乳幼児にはなかなか難しいかもしれませんが、レバーや牛肉・豚肉の赤身、納豆、卵など亜鉛を含む食材を積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか?
便秘
偏った食生活を続けていると、便秘になってしまう可能性があるといいます。便秘が慢性的に続くと、より空腹を感じづらくなり、偏食が加速する悪循環に陥ってしまうことも。
生活習慣病・肥満
糖分や脂肪分の多い食事ばかりとっていると、肥満や生活習慣病のリスクが高まってしまう可能性が危惧されます。なかなか食事をとらない子どもを心配して、せめてもとお菓子など子どもの好きなものだけでも食べてもらいたくなるかもしれませんが、子どもの健康を損なってしまう危険性があるので控えることをおすすめします。
低身長・低体重
偏った生活によって必要な栄養を十分とれていないと、子どもの発育に悪影響を及ぼす可能性が考えられます。子どもの健全な成長のためにも、バランスの良い食生活を心がけたいものですね。
子どもの偏食の対処法
生まれたばかりのころは母乳やミルクしか飲めなかった赤ちゃんも、生後半年ごろから離乳食が始まります。この離乳食の時期から2歳頃までのあいだは、さまざまな味覚を受け入れやすいといわれていますが、2歳を過ぎるころから好き嫌いをする子どもが増え、4~5歳頃が偏食のピークになるのだとか。
そんな乳幼児期に幅広い味を経験できていないと、成長したときに経験したことのない食材や料理を拒否してしまう可能性があるといいます。ここからは、そんな幼児期の偏食の対処法をご紹介します。
対処法1:食事を楽しむことを意識する
子どもにバランスよく食事をしてほしいからと、ママやパパが食べることにプレッシャーを与えてしまってはいませんか?バランスの良い食事はもちろん大切ですが、食事の楽しさを伝えることも子どもの豊かな食生活につながるといいます。
可能な限り家族でいっしょに食事をとったり、大人がおいしそうにごはんを食べたり、子どもの言動にしっかりと反応を返したりすることで、子どもの食への興味・関心を高められそうですね。
対処法2:嫌って食べないものも根気良く出す続ける
せっかく用意した食事を残されるのは悲しいものですが「子どもが食べないから」「苦手だから」という理由で食卓に出さないというのはおすすめできません。食に慣れていない子どもにとって、新しい食材や料理は未知のもの。本当に安全に食べられるのかどうか、判断するための時間が必要な場合もあるといいます。
一度食べなかったからといって子どもに出さなくなってしまうと、子どもは食材や料理に親しむ機会を失ってしまいかねません。日を改めて食べさせてみたり、調理法や味付けを変えてみたりすることで、子どもは少しずつ味に慣れ、食べられるようになっていくのではないでしょうか?
対処法3:家族以外と食事をする機会を設ける
家庭では食べない食材や料理も、幼稚園や保育園でなら食べてくれるという子どもも少なくありません。そうして普段とは違う人と食事をともにすることも、子どもの偏食改善に効果が期待できるそうです。
また公園でお弁当を食べたり、家族で外食を楽しんだりと、食べる場所を変えるのも良い刺激になりそうですね。
対処法4:少量でも食べられたら褒める
苦手な食べ物や料理を急にたくさん食べろと言われても、なかなか難しいものではないでしょうか?子どもも苦手を克服するには時間がかかるため、たとえ少量であったとしても、苦手なものを食べられたらたっぷりと褒めてあげてくださいね。
そうした「食べられた」という小さな成功体験を積み重ねることで、偏食が軽減されていくかもしれません。また可能であれば、ママやパパだけでなく、祖父母や幼稚園・保育園の先生などにも褒めてもらえると、子どもはより自信をつけられるのではないでしょうか?
対処法5:調理法を工夫してみる
子どもが特定の食材を嫌う場合は、見た目に対しても苦手意識があるのかもしれません。形や硬さなどを普段とは変えて調理すると、意外とスムーズに口に運んでくれることも。細かく刻んでハンバーグやおにぎりなどに混ぜこんだり、お菓子作りに活用したり、すりつぶしてスープにしたりと、いろんな調理法に挑戦してみてくださいね。
パサつきなどの食感が苦手な場合は、とろみをつけてあげると食べやすいかもしれません。幼児期になると大人と近い食事ができるようになりますが、子どもの咀嚼機能は大人に比べてまだ未熟なもの。子どもの発達や成長にあった料理を用意してあげることをおすすめします。
対処法6:家庭菜園・料理に挑戦する
子どもの苦手な野菜は、家庭菜園で育ててみてはいかがでしょうか?手間暇かけて自分でお世話をした野菜なら、子どもも愛着を感じ、おいしく食べられるかもしれませんよ。また子どもといっしょに料理をするのもおすすめです。
包丁や火を使うなどの危険な工程は難しいかもしれませんが、野菜を手でちぎったり、調味料を混ぜたり、盛り付けに挑戦したりと、子どもの発達に合わせたお手伝いをお願いしてみてくださいね。
慣れない作業に失敗することもあるかもしれませんが、叱ったり責めたりせずに温かく見守ってあげてはいかがでしょう?
対処法7:生活リズムを整える
食事までにきちんと空腹になっていることも、子どもの偏食を軽減するために大切だといわれています。そのため食事や間食の時間はもちろん、起床や就寝、お風呂の時間などを毎日決まった時間に設け、子どもの生活リズムを整えてあげてはいかがでしょうか?
生活習慣の改善は、子どもの偏食だけでなく心身の発達や健康にも良い影響をもたらしてくれることが期待できるそうですよ。
対処法8:栄養について学ぶ
絵本や図鑑などを活用し、子どもといっしょに栄養について学んでみるのもおすすめです。「どうして好きなものばかり食べていてはいけないのか」「大きくなるためにどんな栄養が必要なのか」を知ることで、子どもはより前向きに食に向き合えるようになるかもしれません。
子どもの偏食の注意点
子どもが偏食をするとき、注意すべきポイントはあるのでしょうか?
食べないことを責めない
大人でも、大なり小なり好き嫌いのある人は少なくありません。苦手な食べ物を口にするよう強制されるのは、大人にとってもつらいものですよね。子どもにとっても、嫌いなものを食べるよう叱責されるのは大きなストレスとなり、食事自体に嫌悪感を抱いてしまう可能性も。
子どもが苦手な食べ物を残したとしても、無理強いせずに子どもの気持ちを受け止めてあげてはいかがでしょうか?また「食べられないのなら仕方がない」という認識は、ママやパパの「子どもにバランスよく食べさせなくてはならない」というプレッシャーも軽減してくれることでしょう。
苦手な食材があったとしても、その食べ物を口にしないと生きていけないということはないはずです。違う食材から栄養を補うこともできるので、あまり難しく考えすぎず、肩の力を抜いて子どもの偏食に付き合ってあげてはいかがでしょうか?
好きなものをご褒美にしない
子どもに苦手なものも食べてほしいからと、好きな食べ物をご褒美として用意する人も少なくないでしょう。しかしご褒美のためにいやいや食べても、その食べ物を好きになることは難しいかもしれなません。
食べ物やおもちゃなどの物で釣るのではなく、言葉で褒めてあげるよう意識してみてはいかがでしょうか?また自分の頑張りを目で見て確認できる、ご褒美シールも効果的だといわれています。
ご褒美があまり効果的ではないように、嫌いなものを食べないという理由で罰を与えるのも控えたほうがいいようです。
ママ・パパが頑張りすぎない
子どもの健康や成長のため、栄養バランスにこだわって食事を用意しているママ・パパも多いことでしょう。しかしあまりにも栄養にこだわりすぎてしまうと、子どもが思うように食事をしてくれないときにママやパパがストレスを感じすぎてしまうかもしれません。
「こんなに頑張っているのに」「私の頑張りが足りないのでは」という気持ちは子どもにもプレッシャーという形で伝わってしまい、より偏食を引き起こしてしまう可能性も。とくにまじめな人ほど自分を追い込んでしまう危険性があるといわれているので、適度に手を抜くようを意識することをおすすめします。
先ほどご紹介した子どもの味覚の発達の過程や、苦味や酸味が苦手な理由を知っておくことで、食べないことに対するママやパパのストレスを軽減できるかもしれませんね。
ほかの子どもと比べない
子どもの発達や成長、好みに個人差があるように、食の嗜好や味覚・咀嚼力の発達も人それぞれです。たとえ同じように育てられ、同じものを食べてきたきょうだいであっても、まったく同じように成長はしないため、ほかの子どもと比べないように注意したいですね。
好き嫌いが激しいのも子どもの個性の一つとして受け止め、食べられるものの中で可能な限り栄養を補ってあげてはいかがでしょうか?成長とともに食べられるものが増えていくことにより、自然と偏食も解消されていくかもしれません。
ただしお菓子の食べ過ぎは子どもの健康を損なう危険があるため、大人が管理してあげることが大切だといいます。また栄養面で不安がある場合は、医師や管理栄養士などの専門家に相談するとママやパパも安心できるかもしれません。
さいごに
子どもの好き嫌いは親として気になってしまうものですが、その多くは成長とともに解消されていくといわれています。苦手な食べ物を無理に食べさせるよりも、豊かな食の経験をさせてあげることが、子どもの偏食改善に効果的なのかもしれません。