先回りで子どもの主体性を奪わないで!子育ての悪い先回りを防ぐ8つの方法
先回り育児とは?
先回り育児とは、子どもが困ることがないよう、子どもにとっての障害を先回りして片付けたり、子どもへ過度に手出し・口出ししたりする過干渉育児のことを指します。スポーツのカーリングで、氷の進む道をブラシできれいに整えることになぞらえて「カーリング育児」とも呼ばれています。
- 「こういうものが好きでしょう」と子どもの好みを先読みして押し付ける
- 「それじゃあ失敗しちゃうよ」と失敗する前に子どもの行動を正しいやり方に訂正する
などといった行動も、先回り育児に当たるといいます。「子どもに失敗させたくない」「周囲にきちんと子育てをしていると思われたい」などといった気持ちから、無意識で先回りをしてしまう人も少なくないといいます。
また子どもの行動を待たずに親が先に手や口を出す方が、ママやパパの負担が軽減されるのだとか。さらに少子化が進んでいる現代では、ママやパパが一人の子どもに目を向ける時間が長くなる傾向にあることから、先回りしてしまう人が増えているのかもしれません。
先回り育児の弊害
子どもの失敗を避け、成功する道を歩ませようとする先回り育児は、一見子ども思いの行動に思えるかもしれません。しかしそうした先回り育児を続けると、子どもの成長に悪影響を与える可能性があるといいます。それではどのような弊害が懸念されるのでしょうか?
主体性が培われない
親が主体となって子どもの行動に手や口を出し続けてしまうと、子どもの主体性が育まれないかもしれません。主体性が培われなけば、自分で考えて行動することができず、誰かの指示に従わなればどうすればいいかわからなくなる可能性があります。
また主体的に行動できないと自分の行動に責任が持てないため、何か問題が起こったとき、人に責任を転嫁してしまうケースも。
困難に立ち向かう力が育まれない
ママやパパが先回りすることによって小さな困難も経験せずに成長してしまうと、ママやパパがいない場面で困難に直面したときに対応できなくなるかもしれません。先回り育児は、子どもの「困難に立ち向かう経験」や「難しいことに挑戦して失敗する経験」「プレッシャーに耐えて頑張る経験」など多くの経験を奪ってしまいかねないといいます。
そうしたさまざまな経験を重ねることで、子どもの危機管理能力や問題解決能力などの幅広い力を伸ばしていけるのではないでしょうか?
子どもの自己肯定感が養われない
先回り育児で過度に干渉されることで、子どもは「ぼくは自分じゃ何もできないんだ」「ありのままの私じゃダメなんだ」などと感じてしまう可能性があるといいます。子どもが自分に自信を持ち、自己肯定感を培うためには、子ども自身で考え、時に失敗しながらも自分で行動することが求められるのかもしれません。
子育ての悪い先回りを防ぐ8つの方法
先回り育児の弊害についてご紹介しましたが、大きな怪我につながったり、他人に迷惑をかけたりする可能性があるときは、先回りして防ぐ必要がありますよね。そういったものをのぞく「子どもに悪影響になりうる先回り」を避けるには、どうすればいいのでしょうか?
方法1:子どもの選択を待つ
子どもに何か選択を求めても、なかなか決められないこともありますよね。そんなとき、つい「これにしたら?」「こっちが好きなんじゃない?」などと口を出したくなるかもしれませんが、ぐっとこらえて子どもの決断を待ってみてはいかがでしょうか?
自分で決めたことであれば、あとになって「やっぱり違うほうを選べばよかった」と後悔したとしても良い経験となるでしょう。
方法2:子どもの気持ちを尊重する
子育てをしていると、ついほかの子どもや家庭が気になってしまうかもしれません。しかし「よその家でやっているから」「多くの子どもたちに人気だから」などと周囲に流されず、子どもの気持ちを尊重してあげることが大切だといいます。
方法3:感情・感覚を親が言語化しない
「楽しい」「悲しい」といった感情や「寒い」「眠い」などといった感覚を、子どもが口にしていないのにママやパパが先に言葉にしてしまってはいませんか?そうした先回りは、子どもの感情や感覚を希薄化させてしまう可能性が危惧されるといいます。
子どもがどのように感じているのか不安になるかもしれませんが、無理に言語化せず、子どもの様子から感じ取ってあげたいものですね。
方法4:失敗を恐れない
子どもが失敗するのは、ママやパパにとっては怖いことに感じられるかもしれません。しかし成功から学べることがあるように、失敗からも多くのことを学べるといわれているため、ぜひ失敗もたくさん経験させてあげてくださいね。
自分で試行錯誤し、つかみとった成功は、子どもにとって大きな自信につながることでしょう。見ていてハラハラしてしまうこともあるかもしれませんが、根気強く見守ることを意識することをおすすめします。
そうして温かく見守られていると、子どもは前向きに挑戦を続けられそうですね。
方法5:指示を出さない
「早く着替えなさい」「今日は暑いから、きちんとお茶を飲みなさい」など、子どもに対して指示を与え続けていると、子どもは自分の頭で考えず、人の指示に従うだけになってしまう可能性があるといいます。
子どもに何かをしてほしいときや親の希望を伝えたいときには「ママは○○しようかな」などとヒントを与えるような声かけを意識してみてはいかがでしょうか?また子どもが何かに困っていたら「今は何をしているの?」というように子どもの様子を伺った上で、手助けが必要か訊ねてみてもいいでしょう。
方法6:失敗を責めない
ママやパパが先回りせずに見守りに徹していると、子どもが失敗してしまうこともあるでしょう。そんな失敗を叱ったり責めたりすると、子どもは挑戦を恐れるようになってしまうかもしれません。
子どもが失敗を前向きに受けとめられるよう、結果ではなく過程に着目して、子どもの頑張りを褒めてあげてはいかがでしょうか?子どもだけではどうしても成功が難しい場合は、どうすれば上手くいくのか親子でいっしょに試行錯誤してみてもいいですね。
方法7:親が自分の世界を大切にする
子育てをしていると、子ども中心の考え方になってしまうという人も少なくないでしょう。しかしそうして子どものことばかり考えていると、子どもの一挙手一投足が気になり、余計な手出し・口出しが増えてしまうかもしれません。
趣味を持つなど、子ども以外の自分の世界をしっかりと持つようにすると、子どもとの距離感を適切に保ちやすいのではないでしょうか?
方法8:夫婦で意識のすり合わせをする
いくら子どもへの先回りをしないように注意していても、パートナーが先回りをしてしまうと、あまり意味がないかもしれません。先回りに関してだけでなく、夫婦で子どもへの教育観をすり合わせておくことをおすすめします。
パパとママで対応が違えば、子どもの混乱を招いてしまうこともあるので、注意したいですね。
子どもを待つ時間がないときはどうする?
先回り育児の弊害についてご紹介しましたが、時には子どもをじっくり待つ時間が作れず、先回りをしなくてはならない場面もありますよね。そんなときでも「子どもを待たなくてはならない」と思いつめてしまうと、ママやパパがイライラしてしまったり、子どもにプレッシャーを与えてしまったりすることも。
やむを得ないときは無理をせず、先回りをしても大丈夫だといいます。先回りをするのはあくまで大人の都合だということを意識し「今日はママちょっと急いでいるから、やらせてもらうね」などといった声かけをしてみてはいかがでしょうか?
そうしてしっかりとママやパパの気持ちを伝えることは、子どものコミュニケーション能力を高めることにもつながるかもしれません。
さいごに
子育てにおいて過度な先回りは控えた方がいいといいますが、子どもの手助けをしてはいけないというわけではありません。子どもが困って助けを求めてきたら、ぜひ適度なサポートをしてあげてくださいね。
助けを求めるのが苦手な子どもには「何かしてほしいことはある?」などと声をかけてあげてもいいでしょう。また自分でできるのに「着替えさせて」などと子どもが甘えてくるときは、可能な限り甘えさせてあげたほうがいいといいます。
「先回り」と「甘え」の区別に悩むときは、子どもが主体となっているか、子どもが望んでいるのかどうかを判断基準にしてみてはいかがでしょうか?