自立心を育てる7つのポイント!幼児期に注意したいことは?
幼児期に育てたい「自立心」とは?
子どもの自立心は、2〜3歳ごろから芽生え始めるといわれています。2018年に改訂された「保育所保育指針」や「幼稚園教育要領」でも幼児期を終えるころまでに培ってほしい能力や姿のひとつとして自立心が挙げられています。
ここでいう「自立心」とは、遊びや生活などに主体的に取組む中で、自分のすべきことを理解したり、どうすれば自分の力でやり遂げられるのか考えたりすることなのだとか。そうして自立心を育み、試行錯誤しながら多くのことに挑戦する経験により、子どもは達成感や自信を得られることでしょう。
ほかにも自分の考えや気持ちをきちんと相手に伝えたり、物の善悪を自分で判断したり、決められたルールを主体的に守ろうとしたりすることも自立心を育むことにつながるといわれています。
幼児期に自立心を育てる7つのポイント
幼児期に子どもの自立心を培うためには、どのようなポイントを意識すればいいのでしょうか?
ポイント1:小さな目標を設定する
日常生活の中で、幅広い「小さな目標」を立ててみてはいかがでしょうか?数多くのことに挑戦し、成功体験を積み重ねることで、子どもは達成感を得られ、自信を育んでいけることでしょう。そしてその自信は、自立心にもつながりそうですね。
「目標」というと難しそうに感じられるかもしれませんが「靴をそろえる」「自分で服を着る」など些細なことでいいといいます。大人にとってはできて当たり前のことでも、小さな子どもにとってはなかなかスムーズにこなせないことも多いもの。
「自分でできた」という喜びは、子どものチャレンジ精神を刺激してくれるのではないでしょうか?
ポイント2:子どものペースを大切にする
子どもは一つひとつの動作に時間がかかってしまうことが多いため、つい手や口を出してしまいがちですよね。しかしそうして急かしたり手助けをしたりすると、子どもが自分を責めてしまったり、自ら行動しなくなったりする可能性が懸念されるので、可能な限り子どものペースを大切にしてあげましょう。
また子どもには子どものタイミングがあることも、忘れずに意識したいポイントのひとつです。「子どもがなかなかお風呂に入らない」「片付けをしない」とやきもきすることもあるかもしれませんが、そんなとき頭ごなしに叱りつけてもあまり効果は期待できないといいます。
人それぞれ都合のいいタイミングは異なるため、子どもがなかなか行動を起こさないときは「すぐに行動させる」のではなく「いつ行動するか決めてもらう」ことをおすすめします。自分で決めたタイミングならば、スムーズに気持ちを切り替えやすそうですね。
それでも自分から行動できなければ「さっき決めた時間になったよ」などと声をかけて行動を促してあげてはいかがでしょうか?またきちんと約束を守れた場合は、たくさん褒めてあげてくださいね。
ポイント3:子どもの気持ちを尊重する
幼児期は身の回りのいろいろなものに興味を抱き、いろんなことを自分でやりたがることも多いでしょう。子どもの発達や安全を考えると、何でも叶えてあげることは難しいものですが、可能な限りやりたい気持ちを尊重してあげることをおすすめします。
筆者の3歳の息子も、料理の支度の手伝いをしたがることがありますが、火や包丁などは危ないのでまだ触らせていません。代わりにゆで卵の殻をむいてもらったり、レタスをちぎってもらったりとできる範囲で手伝いをしてもらっていますが、嬉しそうに頑張ってくれています。
また子どものやりたい気持ちに寄り添うだけでなく、日常生活の中で何かを選択するときは、子ども自身に選ばせることを意識してもいいでしょう。その日着る服などを自分で決めさせたり、決められないときは選択肢をあげてその中から選ばせたりすることで、子どもの自立心を育めそうですね。
ポイント4:一日の流れを子どもが意識できるように配慮する
日常生活において子どもが主体的に行動できるよう、一日の流れを子どもにわかりやすく伝えておいてもいいでしょう。日々の生活をルーティン化することで、子どもの生活習慣を整えるだけでなく、ママやパパの指示がなくても次の活動に自ら取り組めるようになるかもしれません。
また外出などの予定がある場合は、あらかじめ予告をしておくと、スムーズに準備などを進めやすそうですね。
ポイント5:身の回りのことを自分でやらせる
着替えや片付け、登園準備などといった身の回りのことを子ども自身にやってもらうのも、自立心を養うのに効果的だといわれています。自分が何をするべきなのか意識づけ、習慣化することは、子どもの主体的な行動を促してくれることでしょう。
ただしいきなりすべてを完璧にこなせるわけではないため、必要な範囲内でサポートをしてあげてくださいね。
ポイント6:家庭での役割を設ける
家庭の中で、子どもの「役割」を設定してみるのもおすすめです。「玄関の靴を並べる」「植木に水をあげる」など簡単なことであっても、責任感を持って取り組むことで自立心を育めるのではないでしょうか?
家庭内で役割を設けることが難しい場合などは「習い事の練習をコツコツ続ける」というような内容でもいいですね。
ポイント7:褒める
自分に自信をもち、自己肯定感を高めることは、子どもの自立心を養うことにつながるといわれています。そのため、子どもが自分に自信を持てるよう、褒めることを意識してみてはいかがでしょうか?
さらに褒めるときは「結果」ではなく「過程」に着目するといいそうです。「努力したこと」や「挑戦したこと」を褒められることで、子どもは失敗したとしても「次も頑張ろう」と考えられるかもしれません。
子どもの自立心を育てるための注意点
子どもの自立心を培うため、注意すべきことはあるのでしょうか?
余計な手出し・口出しは控える
子どもの行動は大人と比べ、どうしても時間がかかってしまいます。また子どもが自分でやりたがることによって、大人が余計に手間をとらされてしまうことも。しかしそうして時間や手間をかけながらも、自分の力で試行錯誤しながら挑戦する経験は子どもの成長につながるはずです。
「時間がかかりそうだから」「失敗したら可哀想だから」と手や口を出したくなることも多いかもしれませんが、ぐっとこらえて必要最低限のサポートに留め「失敗も大切な経験」だと見守りに徹することをおすすめします。
子どもに助けを求められた場合も、一から十まで教えてあげたり、代わりにやってあげたりするのではなく、どうすればいいのかいっしょに考えてあげるといいですね。何でもやってあげていると「わからないことはママやパパにやってもらえばいい」と自分で考えることをしなくなってしまう可能性があるそうです。
また反対に、子どもが助けを求めても「自分で考えなさい」と突き放してしまうと「どうせわからないから」と考える前に諦めてしまうことも。いっしょに考えたり、ヒントを与えたりしながら、子どもが主体となって努力することで、子どもは「できた」を実感しやすくなるのではないでしょうか?
先回りしない
子どもが困らないように、必要なことを何でも先回りしてやってあげるママ・パパも少なくありません。一見子ども思いの行動に思えますが、実は子どもが自分の頭で考えたり挑戦したりする機会を奪ってしまうことにつながる可能性があるといいます。
子どもの自立心を育んでいくためにも、子どもの行動を先回りしないように注意してみてくださいね。
時間に余裕を持つ
子どもの行動は大人よりも時間がかかってしまうことが多いため、余裕を持って予定を立てることをおすすめします。時間に余裕がないと、焦りから子どもを急かしてしまったり、必要ないのに手や口を出したりしやすくなるので、注意したいですね。
否定しない
子どもが何かをやりたがっても、年齢や安全面などですべて希望通りにさせてあげることは難しいですよね。しかしそんなとき「どうせできないからダメだよ」などと否定的な声かけをしないように気を付けましょう。
「やりたい」という子どもの気持ちを受け入れたうえで、難しい場合はその理由を説明し、代替案として「これならできるけど、やってみる?」などと提案してもいいですね。
また子どもの気持ちや考えを否定し、ママやパパの意見を押し付けるのも控えた方がいいといいます。「ママやパパの言うことは絶対」なのだと刷り込まれてしまうと、子どもは自分で考えることができなくなってしまうかもしれません。
ほかの子どもと比較しない
「ほかの子どもはもっとできるのに」などとつい我が子をほかの子どもと比較してしまうママ・パパも多いですが、そうした比較は「できない僕なんてママやパパは嫌いなんだ」などと子どもの自信や自己肯定感を損なってしまいかねないといいます。
比較するときは、ほかの子どもではなく、過去の子ども自身を意識するといいでしょう。「前に比べてこんなことができるようになった」と子どもの成長を実感しやすそうですね。
さいごに
自立心は、社会で生きていくうえで大切なもののひとつだといわれています。自立心が育まれないと、自分で考え責任をもって行動したり、自分の意見をきちんと持ったりすることが難しく、なかには社会で孤立してしまうケースもあるのだとか。
自立心は一朝一夕で身につくものではなく、数多くの経験を重ねる中で少しずつ培われていくそうです。そのため、幼児期からさまざまな経験を積み重ねていけるようなサポートを心がけてみてはいかがでしょうか?