干支ってどんなもの?お正月にぴったりの干支がテーマの絵本5選
干支とは?
干支とは、そもそもどのようなものなのでしょうか?
「十干十二支(じっかんじゅうにし)」の略
干支とは、数字を表す「十干(じっかん)」と「十二支(じゅうにし)」をあわせた「十干十二支」のことを指します。干支は中国最古のお王朝である「殷(いん)」の時代から「年」や「月」「日」「時間」「方位」などの数字を示すために使われていたそうです。
干支は「陰陽五行説」という考え方から生まれたと考えられています。陰陽五行説とは、森羅万象あらゆるものは「陰」「陽」の2つの要素にわけられるという「陰陽説」と、すべてのものは「木」「火」「土」「金」「水」の5つの要素でできていると考える「五行説」があわさった思想のことをいいます。
十干の種類
十干はそもそも、日を10日ごとにまとめるために作られたといわれています。ひとまとまりごとに「一旬」とされ、3つの旬で1ヶ月となります。そんな十干には、以下の種類があります。
- 甲(きのえ)
- 乙(きのと)
- 丙(ひのえ)
- 丁(ひのと)
- 戊(つちのえ)
- 己(つちのと)
- 庚(かのえ)
- 辛(かのと)
- 壬(みずのえ)
- 癸(みずのと)
その読み方からわかるように、「甲と乙」は「木」、「丙と丁」は「火」、「戊と己」は「土」、「庚と辛」は「金」、「壬と癸」は「水」と五行に当てはめられています。
またそれぞれの組み合わせは「○○え」「○○と」という読み方に統一されていますが、これは陰陽を「兄(え)」「弟(と)」の兄弟に見立てられているのだといいます。そのことから、「干支」は本来なら「カンシ」と読むものですが「えと」という読み方が定着したのだそうです。
十二支の種類
現代でもなじみ深い十二支は、動物のイメージが強いですよね。十二支を表す漢字が動物の漢字と異なることに疑問を感じる人も少なくありませんが、実は動物は十二支を覚えやすいよう後付けされたものなのだそうです。
- 子(ねずみ)
- 丑(うし)
- 寅(とら)
- 卯(うさぎ)
- 辰(たつ)
- 巳(へび)
- 午(うま)
- 未(ひつじ)
- 申(さる)
- 酉(とり)
- 戌(いぬ)
- 亥(いのしし)
日本では上記の動物が当てはめられていますが、実は国によって動物が異なることも。タイヤベトナムなどでは「卯」はうさぎではなくねこ、中国や韓国などでは「亥」はいのししではなくぶたというように、使われている動物の違いを調べてみるのも楽しそうですね。
干支の組み合わせは60通り
干支は十二支の12通りだけだと思っている人も少なくありませんが、実際は干支は十干と十二支の組み合わせになるため、60種類あるといいます。そのため、干支が一周して生まれた年と同じ干支に戻ることを「還暦」というのだそうです。
十二支の物語とは?
十二支の象徴である12種類の動物たちですが、どうしてその動物が選ばれたのか、子どもに聞かれても上手くこたえられる自信がない人も多いでしょう。ここからは、十二支の物語を簡単にご紹介します。
昔々、神様が動物たちに向けて「元旦の朝に新年の挨拶にきたものから順番に12番目まで、一年ごとに動物の王様にする」という看板を立てました。ゆっくりと歩く牛は、暗い時間から神様の家に向かい始め、その頭にはこっそりとネズミが乗っています。
神様の家に牛が到着する直前、ネズミが飛び出して挨拶をしたので、牛は2番目に挨拶をすることになりました。日が昇るころにほかの動物たちも出発し始め、虎、うさぎ、龍、へびの順に神様の家にたどり着きました。
続けて牛と羊も神様に挨拶をすませ、そのうしろからは猿と犬が喧嘩をしながら走っています。喧嘩する二匹を仲裁しようと鶏が間に入り、猿・鶏・犬の順に神様の元へやってきました。そして最後に猪が駆け込み、12の動物が集まり、それぞれ1年ごとに順番で動物の王様になることになりました。
一方ネコは、自分で看板を見に行くことを面倒に思い、ネズミに神様の元へ挨拶に行く日付を尋ねました。しかしネズミは1日遅い日付をネコに教えてしまったため、ネコが十二支になることは叶いませんでした。怒ったネコはそれ以来、ネズミを追いかけ回すようになったというそうです。
干支がテーマの絵本5選
ここからは、お正月にもぴったりの干支がテーマの絵本をご紹介します。
「十二支のはじまり」(作:岩崎京子/絵:二俣英五郎)
十二支の物語を子どもにわかりやすく描いたこちらの絵本は、干支を知らない子どもも楽しみやすいでしょう。十二支の物語では、ネズミはずる賢い動物として描かれていることが多いですが、この絵本ではネコに嘘をついたことを悔やむなど、悪役になりすぎていないため、ネズミ年の子どもにもおすすめです。
「十二支のはじまり」(作:やまりかずひろ/絵:荒井良二)
特徴的な荒井良二さんのイラストがあたたかく、軽快な文章が楽しいこちらの絵本は、本来の十二支の物語とは一風変わった、優しい話になっています。表紙に十二支の動物たちが順番に描かれているので、十二支を覚える練習にもぴったりの一冊です。
「十二支のことわざえほん」(作・絵:高畠純)
十二支の動物にまつわることわざが紹介されたこちらの絵本は、わかりやすい文章とイラストで子どもにもことわざの意味が理解しやすいでしょう。ユーモアたっぷりで、思わずママやパパもクスリと笑ってしまいますよ。
「ね、うし、とら……十二支のはなし」(作:ドロシー・バン・ウォアコム/絵:エロール・ル・カイン/訳:辺見まさなお)
こちらは、中国に伝わる民話をシンガポール生まれの作家が異国情緒豊かに描いた絵本です。日本の十二支の物語とは異なり、十二支が決まったところから始まる、ともに一番だと言い張るネズミと牛の知恵比べの話になっています。一般的な十二支の物語が描かれた絵本とセットで楽しみたい一冊ですよ。
「十二支のかぞえうた」(作・絵:さいとうしのぶ)
こちらの絵本では、十二支とあわせて、時計の読み方や季節の食べ物を学ぶことができます。わらべうた「かごめかごめ」のリズムで読み進められるので、親子でいっしょに歌いながら絵本を楽しんでみてはいかがでしょう?おいしそうな料理とそれを食べるいきいきとした動物たちのイラストに目を奪われますよ。
さいごに
干支について子どもに説明するのはなかなか難しいですが、絵本を使うと理解しやすいかもしれません。日本の伝統や文化に子どもが親しんでくれるよう、干支がテーマの絵本を読み聞かせてみてはいかがでしょうか?
「今年の干支はこの動物だよ」「○○くんの干支はこの動物!」などと教えてあげると、子どももより干支を身近に感じられそうですね。