クリスマスの由来は子どもにどう伝える?保護者のためのクリスマス徹底解説
クリスマスの由来
クリスマスとは、そもそもどのようなものなのでしょうか?改めて考えると、上手く説明できない人も少なくないかもしれません。まずはクリスマスやそれにまつわるさまざまな由来をご紹介します。
イエス・キリストの降誕を祝う日
クリスマスは、キリスト教の救世主であるイエス・キリストが降誕したことを祝う日です。イエス・キリストは神の子で、人々を救うために人間の姿になってあらわれ、多くの人を救ったとされています。
そんなキリストの降誕を祝い、周りに人に親切にしたり、いっしょにいられることに感謝したりしながら過ごすのが、本来のクリスマスの形なのだそうです。そのため、日本ではクリスマスは恋人の行事というイメージが強いですが、欧米では家族や友人と過ごすのが一般的なのだそうです。
またクリスマスは「イエス・キリストの誕生日」と認識している人も少なくありませんが、実はクリスマスは「イエス・キリストが神としてこの世界に誕生したこと」をお祝いしているといいます。
そのため「誕生祭」ではなく「降誕祭」や「聖誕祭」と呼ばれることもあるようです。
なぜクリスマスは12月25日?
実は、イエス・キリストが誕生した日について記されている文献はみつかっていないといわれています。それなのに、どうしてクリスマスは12月25日になったのでしょうか?諸説ありますが、12月25日にクリスマスのお祝いをするようになったのは、ローマ帝国時代に行われていたお祭りが影響しているといいます。
当時のヨーロッパでは、一年で一番陽の出ている時間が短くなる冬至に、これから太陽の出る時間が長くなっていくことを新しい太陽の神の誕生として祝う「太陽の生誕祭(光の祭り)」というお祭りが行われていたそうです。
そのころキリスト教はまだ人々に浸透していなかったため、多くの人に受け入れやすいよう、もともと大切にされていたお祭りの日付を採用したのではないかといわれています。
クリスマスイブの由来
「クリスマスイブ」は「クリスマス前日」と認識している人が多いですが、実は「イブ」は「evening」つまり「夜」を意味しているといいます。キリスト教のルーツとされているユダヤ教で使われていた暦では、日付の変わり目は日没のタイミングとされていました。
そのため、クリスマスは正確には12月24日の日没から12月25日の日没までなのだそうです。そのためクリスマスイブは「クリスマス前日」ではなく「クリスマスの夜の時間」となります。欧米では、夕方から教会で開催されるミサに参加するのがメジャーな過ごし方なのだそうです。
「メリークリスマス」の由来
クリスマスには「メリークリスマス」という挨拶をするイメージが強いですが、意味を知らずに使っている人も少なくないといいます。「merry(メリー)」には「楽しい」「陽気な」などという意味があり、「メリークリスマス」は「楽しいクリスマスを」「クリスマスおめでとう」となります。
ちなみに「クリスマス」は「Christo(キリスト)+mas(ミサ)」つまり「キリストの礼拝」という意味なのだそうです。またクリスマスは「Xmas」と表現されることがありますが、それはギリシャ語でキリストを指す「Xristos(クリスト)」が由来となっているようです。
日本では「メリークリスマス」はクリスマス当日の挨拶として定着していますが、欧米では11月末頃から別れの挨拶として使われることが多いといいます。しかしイギリスでは「ハッピークリスマス」という言い回しのほうが主流で、アメリカでも近年はキリスト教でない人に配慮して「ハッピーホリデイズ」という言葉が使われる機会が増えているのだそうです。
子どもに伝えるときの工夫!
クリスマスの由来を詳細に子どもに理解させようとしても、なかなか難しいでしょう。子どもにもわかりやすい言葉で伝えたいときは、下記のような言い回しはいかがでしょうか?
クリスマスは、イエス・キリストという人が神様として生まれたことをお祝いする日だよ
クリスマスイブは、クリスマスの夜という意味なんだって
メリークリスマスは、楽しいクリスマスを過ごしてくださいっていう挨拶なんだよ
クリスマスツリー・クリスマスリースの由来
ここからは、クリスマスを彩るクリスマスツリーやクリスマスリースの由来をご紹介します。
クリスマスツリーの由来
クリスマスツリーの由来にも諸説ありますが、有名なものを3つご紹介します。1つ目は、北欧で暮らしていた古代ゲルマン民族のあいだで行われていたとされるお祭りが由来となっている説です。
厳しい寒さの中でも葉を落とさない樫の木は「永遠の命」を表していると考えられており、そんな樫の木には村に幸福を運ぶ小人が宿っていると信じられていたといいます。そんな小人にとどまってもらえるよう、樫の木を飾り付けるようになったのだとか。そんな樫の木が、キリスト教にとって特別なもみの木に変わり、クリスマスツリーになったのだそうです。
2つ目は、オーディンの樫の木説です。古代ドイツではオーディンの樫の木を聖木とし、子どもを生贄として捧げていたといいます。そんな風習を悲しんだキリストの伝道者は、樫の木を切り落としました。
古代ドイツの人々は樫の木の怒りが下るのではないかと恐れましたが、伝道者は樫の木のあいだから生えていたもみの木の苗木の奇跡とキリスト教の教えを伝えたそうです。そんな逸話から、クリスマスにもみの木が飾られるようになったのだといいます。
最後は、宗教改革者として有名なマルティン・ルターが由来となっている説をご紹介します。ルターが礼拝から自宅へ帰っていると、木々の隙間からのぞく星空の素晴らしさに目を奪われました。
そんな美しい光景を子どもたちにも見せようと、ルターが持ち帰ったもみの木の枝のあいだに小さなろうそくの灯を星空のようにともしたことが、クリスマスツリーの由来となったそうです。
クリスマスの飾りの由来
クリスマスには、星やベル、柊などのさまざまな飾りが使われますが、実は一つひとつに由来があるといいます。由来には諸説ありますが、代表的なものを簡単にご紹介します。
- 星:イエス・キリストが生まれたときにやってきた東方の三博士を導いたベツレヘムの星
- ベル:イエス・キリストが生まれたことを知らせるベル
- クーゲル(玉):「知恵の実」を象徴するりんご
- 柊:葉はイエス・キリストが処刑される際つけられたいばらの冠、赤い実はキリストが流した血
クリスマスリースの由来
冬でも葉を落とさない常緑樹を使って作られるクリスマスリースには「永遠」という意味が込められています。またリースの丸い形は「永遠の命」を象徴しているのだとか。
子どもへの伝え方
クリスマスツリーやクリスマスリースを飾るとき、その由来を子どもにもわかりやすい言葉で伝えてみてはいかがでしょうか?
クリスマスイブにもみの木のあいだから見えたきれいな星空を子どもたちに見せようと、もみの木を飾ったんだって
ツリーの上に飾る星は、キリストが生まれたときに空に浮かんでいた星をイメージしているんだよ!
上記のような表現なら、小さな子どもでも理解しやすいかもしれませんね。
サンタクロースの由来
子どもたちの大好きなサンタクロースには、どのような由来があるのでしょうか?
サンタクロースの由来
フィンランドやグリーンランドなどに住んでいるといわれているサンタクロースは、子どもたちにとってクリスマスを象徴する存在ですよね。
空飛ぶ不思議なそりに乗って、世界中の子どもたちにプレゼントを配ると信じられているサンタクロースは、聖ニコラウスという司祭が由来になっていると考えられています。
富裕層の家に生まれた聖ニコラウスは、貧しい人を救うため、自分のものを分け与える人物だったといいます。そんな彼は、貧しさゆえに娼婦として生きなくてはならなくなった女性のことを知り、夜に女性の家の煙突から金貨を投げ入れたといいます。
偶然靴下の中に入ったその金貨のおかげで、女性は娼婦にならず、持参金をもって結婚することができたのだそうです。そんな聖ニコラウス(サンタ・ニコラウス)の名前が「サンタクロース」という呼び名に変化したのかもしれません。
ちなみに、サンタクロースといえばトナカイのひくそりに乗っているイメージですが、昔は馬やロバに乗っているとされていたそうです。トナカイがサンタのそりをひく動物として定着したのは、トナカイが遊牧民族とともに生きるイメージがあることや、トナカイの角が翼のように見えることによるのではないかと考えられています。
またそりをひく8匹のトナカイにはそれぞれ名前や特徴があるそうなので、調べてみても面白そうですね。定番のクリスマスソング「赤鼻のトナカイ」で知られるルドルフは、8頭の前に立って先導役をこなしているといいます。
子どもへの伝え方は?
サンタクロースがどんな人なのか子どもに聞かれたら、下記のように答えてみてはいかがでしょうか?
サンタさんは困っている人のためにないしょでプレゼントを用意したんだよ!
靴下の中に入っていたプレゼントで助けられた女の子がいたから、サンタさんのくれるクリスマスプレゼントは靴下に入っているのかもしれないね!
「お金」というワードを使うと、サンタさんはお金をあげたんだと印象付けてしまうかもしれないので避けた方がいいかもしれませんね。
クリスマスについて学べる絵本
子どもに自分の言葉でクリスマスについて教えるのが難しい場合は、絵本を活用してみてはいかがでしょうか?絵があることで、子どももより理解を深めやすいかもしれませんよ。
「クリスマスおめでとう」(作:ひぐちみちこ)
クリスマスの由来を子どもにもわかりやすい表現で描いたこちらの絵本は、多くのママたちに選ばれている一冊です。内容はもちろん、切り絵調のかわいらしいイラストが特徴的で、何度も繰り返し読み返したくなることでしょう。
「クリスマスって なあに」(作・絵:ディック・ブルーナ/訳:舟崎靖子)
ミッフィーシリーズの作者によるクリスマス絵本では、イエス・キリストの誕生の物語が子どもにも理解しやすい形で描かれています。内容は少し難しく感じられるかもしれませんが、子どもがクリスマスの本当の意味に興味を持つきっかけになりそうな絵本ですね。
「クリスマスのはなし」(文:メアリー・ジョスリン/絵:アリーダ・マッサーリ/訳:関谷義樹)
鮮やかなイラストに思わず大人も見入ってしまうこちらの絵本では、聖書に基づいたクリスマスの物語が楽しめます。本格的なクリスマス絵本を選びたいという方にも、おすすめの絵本ですよ。対象年齢は3歳からとなっていますが、難しめの言葉も使われているので、成長するたびにより内容を理解できるようになっていくでしょう。
さいごに
日本ではクリスマスは「ごちそうやケーキを食べて、サンタさんにプレゼントをもらう」というイメージが強く、もともとの意味や由来を知らない子どもも多いもの。クリスマスをより楽しむためにも、ぜひ子どもにわかりやすい言葉でクリスマスについて教えてあげたいものですね。
またクリスマスソングや讃美歌なども、クリスマスについて知る良いきっかけになるかもしれませんよ。