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よく噛んで食べると「頭もよく運動もできる子」に!科学的根拠を解説

ライター 村田 美子
2021/10/16 04:10
子どもの頃、「よく噛んで食べなさい!」と、言われませんでしたか?弥生時代の人たちは、食事中に噛む回数が現代人の6倍だったとか。噛む力には、消化を助けるだけではなく、脳や心にも大変メリットがあるという科学的根拠を、この記事でお伝えします。是非、参考にしてくださいね。

噛む力と運動能力

噛む力は、運動能力と関連があるという研究結果があります。小学校6年生171名を対象に、食事のアンケートを実施し、噛む力と運動能力(握力・上体起こし・長座体前屈・反復横とび・20mシャトルラン・50m走・立ち幅跳び・ボール投げの8種目)を測定しました。


その結果、食べることへの関心が強く、野菜を多く食べる子どもは噛む力が強く、運動能力も高いことがわかりました。(木林美由紀,2011『子どもの咀嚼能力、食事行動、体力との関係』静岡県立大学短期大学部,

https://kg.otemae.ac.jp/gyoseki/japanese/researchersHtml/40509303/SBT_10/40509303_SBT_10_7.html

野菜
親としても日頃の食事の栄養バランスは気にしたいですね!

噛む力と脳の関係

よく噛むことが脳を活性化すると証明した研究があります。


感覚刺激(聴覚・視覚・触覚など)を受けると反応するP300という脳波を使った実験をご紹介します。

ガムを噛む実験!

被験者に5分間ガムを噛んでもらい、そのあとに音刺激を与えて、P300が出現するまでの時間と、音刺激に反応してボタンを押すまでの時間を計測しました。


比較できるよう、別の日に「何もしない」「噛むまね(口をパクパク)」「手指でトントンと机を叩く」という条件でも同じ実験を行ないました。


その結果、「P300の出現・ボタンを押す反応時間」は、ガムを噛んだときが最も早く、噛む運動を繰り返すほど早くなりました。(Sakamoto K, Nakata H, Kakigi R:

The effect of mastication on human cognitive processing: A study using event-related potentials.

Clinical Neurophysiology, on Nov. 19)

野球
メジャーリーガーが試合中ガムを噛んでいることがありますが、あれは脳を活性化させているのです!

噛むことと、学力の関係

よく噛む園児ほど知能指数が高い傾向にあるという研究結果があります。


大阪府枚方市の幼稚園児70名を対象に、ピーナッツを用いて行なわれた研究では、WPPSIという幼児用の知能検査を使用し、知能指数(頭の回転の速さ)が、後天的な要素の「よく噛むこと」の影響を受けていることがわかったと言います。

WPPSIとは?

言語性知能指数(VIQ)と 動作性知能指数(PIQ)およびIQを算出するもの

また、論文の中での考察としては以下のような記載がありました。

また,知能指数は先天性因子によるところが多いとされているので,咀咽の影響のように後天性因子については,知能指数より学習の基礎をなしている記憶力の方がより強く関連している可能性が考えられる。

上記についても実験を行っています。


Aグループには「普通の給食」を、Bグループには「普通の給食+鰹の燻製3g」をそれぞれ6ヶ月与え続け、その後数唱テスト(ある桁数の数字を聞いた後で、先頭から、および逆から正しい順番で思い起こすことができる桁数を測定するテスト)を実施しました。


すると、Bグループのほうがテスト結果がよく、「よく噛むと短期記憶力が上がる」という結果になりました。

他にも噛むことと脳の関係を示す様々な研究が!

別の研究では、被験者にガムを噛んでもらい、脳の活動を調べたところ、脳の前頭前野(記憶に関わる脳の部分)が活性化されていました。


さらに、ガムを噛み終わったあとも、海馬だけでなく脳のあらゆる部分が活性化していました。(放射線医学総合研究所分子イメージング研究センター、2008年)


2010年に発表された東北大学における研究でも、噛むことによる記憶の向上と前頭前野の働きとの関連性が明らかにされています。

噛む力と虫歯予防の関係

よく噛んで食べると虫歯の予防効果があることをご存じでしたか?


咀嚼運動によって分泌が促進される唾液には、歯を硬くする作用を持つ「スタテリン」というたんぱく質が含まれていて、その働きによって、歯を丈夫にし、虫歯の原因菌である「ミュータンス連鎖球菌」に対する抵抗力を高めます。


よく噛んで食事をすると、口の中の唾液の働きで「唾液緩衝能」によって口の中に発生した酸を中和し、虫歯ができにくくしてくれるのです。


さらに、唾液には歯の「再石灰化」を促進させる効果もあり、ミュータンス連鎖球菌が出す酸によって溶かされた歯を修復してくれます。


つまり、よく噛んで食べる事は、ミュータンス連鎖球菌に対する抵抗力を高め、歯の修復機能も高めてくれるので、虫歯を防いでくれるというわけですね。


次に、どうすれば子どもの「噛む力」を育てられるか見ていきましょう。

子どもの「噛む力」を育てる方法

乳歯が永久歯に生え替わる前までが、噛む習慣をしっかりと身につける大切な時期です。すなわち、乳歯が生えそろい、噛むための準備が整う時期は2~3歳ごろですね。


食べ物の選び方にも注意してみましょう。梨やリンゴ、柿など、少し硬めの果物から始めてみましょう。


4歳ごろからは、ニンジン・セロリ・きゅうりのスティックや、ゴボウ・レンコンなど繊維の多いものの煮物などはどうでしょうか? たくあん、切干大根など昔からあるスローフードや、フランスパンも硬くて訓練にいいですね。


でも、子どもによって噛む力の発達は違うので、いっぺんに無理をせず、少しずつ取り入れていきましょう。

食べる姿勢・口に入れる量も大切!

食べるときの姿勢も大切です。椅子に座っているときに足が床についていないと不安定で、しっかり噛むことができません。足がしっかり床に着いて座っているか、確認してくださいね。


専門家によると、食べるときの姿勢の悪さは、歯並びの悪さにもつながると言います。よく噛むと頭蓋骨全体がバランスよく成長することから、笑顔が美しくなったり、表情が豊かになるそうですよ。


もう一つ、実行しやすい大切なことがあります。それは、一口の量を少なくすることです。


咀嚼回数と一口の量の相関関係を調査した帝塚山大学の実験によると、一口に食べる量を少なくするように指示すると、総咀嚼回数は1.3~2.0倍に増加しました。


関連記事『子どもに教えたい5つの食事マナー!年齢ごとの特徴・適したマナーの学び方も

よく噛んで食べるための工夫

噛む回数を増やす為には、食事時間を多めにとるようにしましょう。急いで食べないこと、ゆっくりと味わって食べることが大切です。そして、ひと口30回を目安によく噛んで食べましょう。


また、食べ物が口の中にある時は、水や汁物といった飲み物を摂らないようにしましょう。そうすることで、噛まずに水分と一緒に流し込むことが防げます。


咀嚼回数をアップさせるポイントは、歯ごたえのある食材を取り入れ、調理方法に一工夫してみましょう。少し歯ごたえが残るくらいがいいですね。

まとめ

現代は食の欧米化が進み、ハンバーグ、パン、スパゲティーと言った柔らかいものが食卓にのぼることが多いですね。食事の時に噛む回数は600回ほどで、食事時間は約10分ぐらいと言われています。


戦前では咀嚼回数が約1400回、食事時間は20分だったので、半分になっています。弥生時代では咀嚼回数は約4000回で、食事時間に1時間かかったそうです。


弥生時代では、穀物(米、あわ、ひえ等)や、木の実(どんぐり、くるみ等)など、噛みごたえのあるものが中心だったので、自然と咀嚼回数が多かったわけです。


さいごに、「噛む効果はヒミコノハガイーゼ」という面白い標語をご紹介しましょう。

  • 「ヒ」:肥満防止
  • 「ミ」:味覚の発達
  • 「コ」:言葉の発達(口の周りの筋肉をよく使うことで、あごの発達を助け、表情が豊かになったり、発音がきれいになる)
  • 「ノ」:脳の発達
  • 「ハ」:歯の病気予防(むし歯や歯肉炎の予防)
  • 「ガ」:ガンの予防(唾液に含まれるペルオキシダーセという酵素が、食品の発ガン性を抑える)
  • 「イー」:胃腸快調
  • 「ゼ」:全力投球(元気になり、力いっぱい仕事や勉強・遊びに集中できる)

子どもだけでなく、大人の私たちも上記の標語を参考に、しっかり噛んで食べる習慣を取り戻したいですね。


筆者の知り合いにきゅうりの丸かじりが大好きなお子さんがいて、大変きれいな歯をしています。記事でご紹介したニンジン・セロリ・きゅうりのスティックは、おやつに最適なので是非取り入れてみてはいかがでしょうか?

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