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怒りの感情をコントロール!子どもにもアンガーマネジメントを

musubi
2023/03/12 05:03
近年巷でよく耳にする「アンガーマネジメント」。怒りの感情を上手にコントロールするための方法のことで、1970年代のアメリカ発祥の考え方です。突発的に沸き起こる怒りの感情に振り回されるのは、何も大人ばかりではありません。子どものうちからアンガーマネジメントを学んでおくことで、感情の舵をとり、人生の可能性を広げることができるのです。今回は、そんな子どものためのアンガーマネジメントについて詳しく解説していきます。

子どものアンガーマネジメントとは?大人とどう違う?

怒りの表出の仕方やレベルは人それぞれです。特に、感情のコントロールが未熟な子どもに関しては、心の中に沸き起こる怒りをどう表していいかわからず、興奮状態に陥ってしまうことも珍しくありません。

泣く子ども
怒りのあまり、泣いてしまうこともありますよね

また、その際に怒りのエネルギーを行動で発散しようと暴言や暴力、癇癪という手段で訴えることも子どもには多く見られます。


そういった攻撃的な行動を解決するために実践したいのが、子どものアンガーマネジメントです。アンガーマネジメントの実践方針は大きく分けて3つの要素に分かれます。

  1. 自分や他者の感情に気づき、受け入れること
  2. 出来事の捉え方を広げること
  3. 怒りの適切な表し方を学ぶこと

これらの3つを柱として感情のコントロールを学ぶことで、周囲の人とより良い人間関係を深め、自分自身も感情に振り回されて消耗することが減るとされています。


子どもの「怒り」は大人と比べて感情の発達が分化されておらず「快」「不快」の二分で捉えるため、他者の気持ちを汲み取ることが難しい側面があります。また、道徳性や問題解決能力も発達途上であることから、暴力など直接的な攻撃行動に繋がりやすい点が大人の怒りとの大きな違いと言えるでしょう。

子どものアンガーマネジメントを考える5つのポイント

「うちの子は怒りを持てあましているかも…」と思ったらこちらの5つの視点から子どもの様子を観察してみてください。

  1. 思い通りにならないと大声で叫んだり、暴れたりする
  2. 1回怒ると長引くorエスカレートしていく
  3. 自分が怒っていることをうまく相手に伝えられない
  4. 普段から怒っているように見える
  5. 自分が怒るとケンカになるなど、嫌な結果に繋がると考えている

もしもひとつでも当てはまるものがあれば、アンガーマネジメントを学ぶ意義は十分にあると言えるでしょう。


そして子どものアンガーマネジメントを考える上でまず大人が理解しておきたいことは、「怒り=悪」ではないということです。アンガーマネジメントは怒りを無くすことが目的ではなく、怒りとの付き合い方、上手な表し方を学ぶことが目的だと理解することが重要なポイントです。怒りに対しての最善の方法や行動を知って、子ども自身が選択する力を身につけるよう促しましょう。

子どものアンガーマネジメントに取り入れたい方法とは

ここでは5~8歳頃の子どもの、アンガーマネジメントに実践できる方法をご紹介します。

タイムアウトを教える

タイムアウトとは、いったんその場を離れて一定時間(数分程)一人になることで感情をクールダウンさせる方法です。カッとなって手が付けられない状態のとき、人の言葉が耳に入らない状態のときは、まずタイムアウト方式で落ち着かせましょう。

怒り
怒りの感情は6秒をピークに段々減ると言われております。時間を取って落ち着くということは非常に有効です。

怒りに振り回されている状態の自分を自覚させることがアンガーマネジメントのステップとなります。

問題解決に向けて行動する

友達とのケンカなどで怒っている場合には、感情が落ち着いた後に話し合いをすすめることも重要です。どちらかが勝ち、どちらかが負け、の単純な結果ではなく、どちらにとっても有益な落としどころを見つける経験を、話し合いの場で教えましょう。

大人に話して整理する

怒りの感情を感じたとき、子どもはどうしたら良いかわからず混乱してしまいます。身近な大人に気持ちを話すことはそれだけでもクールダウンに繋がります。そして、大人が子どもの怒りの原因やその後の解決方法などを整理しつつアシストしてあげましょう。それによって、子どもは言葉で自分の気持ちを表現する重要性を学びます。

会話
最初はどうしても言葉にするのが難しいですが、「いまどんな気持ちなのか?」と聞くことから始めてみましょう

その際否定的に聞くのではなく、まずは子どもの主張にうなずきや相槌を示して「あなたの怒りを受け入れている」と伝えることが大切です。

感情カードで認知する

語彙が豊富でない小さな子どもの場合は、感情を絵にした「感情カード」を渡して「今はどんな気持ち?」と聞くことも有効です。

感情カード
感情カードとは、感情を表したカードのことで、言葉はわからなくても感覚的にいまの気持ちを表現することができます。

単に怒っているだけでなく、悲しみや恐怖、混乱が混ざっていることに子ども自身も気づけるでしょう。

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物語にして状況を認知する

怒りが生まれた状況を客観的に認知させるために、キャラクターを使ってストーリー仕立てで怒りへの対処を伝えることも一つの手です。大好きなキャラクターを使えば、子どもにとっても受け入れやすく、分かりやすいものとなります。

「心を抑え込むこと=アンガーマネジメント」ではない

アンガーマネジメントの目的は、怒りを適切に表現してコントロールできるようになることです。怒りに振り回されている状態は、周囲の人や物だけでなく自分自身への攻撃にも繋がり、ネガティブな影響を生み出します。結果、「怒っても良いことがない」と学習し、怒り=悪、後悔、無力感を感じるようになってしまいます。怒るべきときに適切に怒れず、困っている大人は少なくありません。怒りは、自身や大切なものが脅かされたときにも表れる感情です。

怒り
”怒り”も人間にとっては大切な感情の一つです。

自分自身の中に沸いた怒りを客観的に観察して紐解くことで、時には本当の気持ちや自分が守りたいと思っているものが明確に見えてくるというポジティブな作用もあります。子どものうちから「怒る」=「ダメなこと」と決めつけないよう、大人が怒りの選別の仕方を導くことが重要なのです。

子どものアンガーマネジメントにおすすめの本

ここからは、子どものアンガーマネジメントに役立つおすすめの書籍をご紹介します。幼児向けの絵本から、小学生くらいの子どもが自分で読めるような本もあるので、親子で気軽に読んでみてはいかがでしょうか。

おこりたくなったら やってみて!(ガストンのきぶんをととのえるえほん)

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児童心理学の博士号を取得した経歴を持つ児童書作家、オーレリー・シアン・ショウ・シーヌが手掛けたアンガーマネジメント絵本。子どもに分かりやすいかわいいイラストで、呼吸法とともにメンタルを整える方法を教えてくれます。感情や気分を天気に例えて表現しているので、一歩引いた視点で感情をとらえられるようになったと口コミでも好評です。

イラスト版子どものアンガーマネジメント : 怒りをコントロールする43のスキル

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日本アンガーマネジメント協会が監修するイラスト盛りだくさんの子ども向けアンガーマネジメント本です。自分の行動や気持ちを振り返ることができるチェックシートや、アンガーマネジメントクイズもついており、楽しく感情コントロールについて学ぶことができます。

いらいら ばいばい (3歳からの感情マネジメント絵本)

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こちらは日本で人気の子育てイラストインスタグラマーの、つむぱぱさんが手がける子ども向けアンガーマネジメント絵本。幼稚園や保育園に通い始めた年頃の子どもにも、伝わりやすいメソッドが5つ紹介されています。怒りが原因で兄弟やお友達とトラブルを起こしてしまう、そんなお悩みに優しく寄り添う一冊です。

ムカムカ ドッカーン!

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こちらは、フランスの小学校の教室に一冊は置かれている、というほどの大ベストセラー絵本。日本アンガーマネジメント協会代表理事も推薦の心理トレーニング絵本です。主人公の男の子が自分の怒りに向き合う過程を、ストーリー仕立てで紹介しています。子どもだけでなく、大人にとっても学びにつながるシンプルな一冊です。

まとめ

怒りは嬉しい、楽しい、悲しいのような感情の一つであり、子どもの人生において重要な要素です。しかし、怒りは対処方法を間違えると他者への攻撃に転じてしまいます。アンガーマネジメントは怒りの感情の中でも不要な怒りのみをそぎ落とし、状況に応じて必要な怒りを上手く表現することが目的の教育方法です。まずは親子で、日常のちょっとしたことからアンガーマネジメントを意識して取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考

    この記事の著者
    musubi(Peekaboo)
    ライター
    泣き虫で甘えん坊な3歳息子を育てる母です。
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