「ごめんなさい」が言えない子どもの心理は?
子どもは何歳から「ごめんなさい」を理解できるの?
以下のような子どもの発達段階を知ると、子どもに「ごめんなさい」を教える時期が見えてきます。
0歳~3歳頃
3歳くらいまでは、自己主張や自我が芽生えるときで、子どもが感情のコントロールをすることは期待できません。まだ、心から「ごめんなさい」を言うのは、難しいでしょう。
3歳~5歳頃
社会にはルールがあることが段々わかってきて、周りの人たちと仲良くしたいと思うようになります。しかし、基本的には自分の気持ち優先で行動するのは変わらず、「ごめんなさいは?」と言われると、言えるようにはなります。
5歳~12歳頃
協調性が身につき、罪悪感の感情をもち始める6歳頃からは、心から謝ることができるようになります。
小学生になると、善悪の判断がつくので、どこが悪かったのか、どうすればよかったのかを考えさせ、自分が悪いと思ったら謝罪を習慣づけることが大切な時期です。
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「ごめんなさい」が言えない子どもの心理

次に、子どもが「ごめんなさい」が言えない時の心理をみてみましょう。
謝ることで、悔しい思いをしたり、プライドが傷つけられる。
「ごめんなさい」というのが恥ずかしい、かっこ悪い。
どうして謝らなければいけないのか理解していない。
悪いと認識していない。
最初の二つと後の二つでは、前提が大きく異なります。「どうして謝らないといけないのか?」「そもそも悪いと思っていない」という場合には、子どもに説明してあげることが大切ですね。
「ごめんなさい」が言えない子どもに理解させるには?

なぜ謝らなければならないのかが理解されていないことに関しては親が説明してあげなくてはなりません。
重要なのは親が事実を確認し、子どもが悪いことをしてしまったのだと認識することです。詳しく見てみましょう。
事実の確認が大切
たとえば、子どもが友達に「馬鹿!」と言って叩いたとしましょう。実はその友達が無理やりおもちゃを取ろうとしたのかもしれません。子どもにとっての事実をしっかり確認することが重要です。
親が状況を客観的に把握し、当事者双方の言い分にしっかり耳を傾けましょう。この時、「言い訳するな!」はNGです。
「悪い行為だった」と子どもが認識しているかどうか確認
事実の確認ができたら、次に子どもに対して、「馬鹿と言ったりすることや叩くことは”悪いことだ”と認識しているかどうか?」を確認しましょう。
認識していない状態で謝るということは、口先だけになりかねず、同じことを繰り返す原因にもなってしまうからです。
もし、子どもが「悪いこと」と認識していないかった場合には、なぜ良くないかを教えた上で、謝るように促しましょう。
親はどうすればいいの?

まず、親が迷惑をかけた相手に謝ろう
子どもが3歳以下で、自分で謝れないときは、親が本人に代わって「ごめんね」といいましょう。
子どもが小学生低学年以下ならば、「ママと一緒に謝ろうか」と誘うのもいいですね。親の姿を子どもは見ていて、少しずつ謝罪を身に着けていきます。
感情的にならずに、起きた事実を子どもに伝えよう
その上で、何が悪かったのか、相手はどう感じていたのかを子どもに伝え、子ども自身に過ちについて考えさせましょう。
我が子の過ちに対して親はついつい感情的になりがちですが、起きた事実を起きたままに淡々と伝えるようにします。
子どもの思いや言い分を聞いてあげよう
次にするのは子どもの声を聞くことです。特に、親が見ていない所で起きた場合には、公平な態度で、子どもの感情を引き出し、心の様子を読み取りましょう。
子ども自身が自分の心の様子に気づくことで、だんだんと相手の痛みを知っていくことになります。
子どもとの関わりの中でタブーがあります。それは、謝らない時に叩くこと、罰を与えること、無理やり謝らせること、「言い訳するな!」と怒ることです。
まだ語彙が少ない子どもは、大人の剣幕におされてしまうと、ますます自分の言いたいことを言葉にできなくなります。
謝ったら、説教はしない
「ごめんなさい」が言えたら、そのあとしつこく説教したりしないようにしましょう。「ごめんなさいと言えたね。」と、謝る勇気を持てたことをほめたら、その場を離れましょう。
必見!パパやママにも役立つコミュニケーションのパターン
私たちのコミュニケーションパターンは、自分や相手を尊重できるかという軸で、上記の4つに分かれると言われています。

自分も相手も尊重できる、「対等でさわやかな関係」が理想ですが、とかく日本人は受け身的、非主張的になる傾向があると言われます。
その場合、納得がいかないまま、その場しのぎの表面的な解決に終わってしまうのですが、パパやママ、そのような経験はありませんか。
残念ながら、日本の社会には相手に一切言い訳をさせずに、謝ることだけ強制するような古い謝罪のパターンも残っていますよね。
夫婦間であれ、職場の人間間であれ、I’m not OK. You’re OK. の関係ばかり続けているとOKではない方にストレスが溜まります。
どちらもOKの気持ちが持てるWin-winの関係に持っていくように努力してみましょう。そのような親の姿勢から、子どもは謝罪のプロセスを学んでいきます。
まとめ
悪いことをしてしまったとき、相手に「ごめんなさい」と心から思える子どもに育って欲しいと誰もが望みます。
そのためには、「ごめんなさい」が言えない子どもに対して「ごめんなさい」という言葉を強要するのではなく、子どもの気持ちをしっかりと受け止めたうえで、冷静に事実確認し、状況判断し、何が悪くて謝る必要があるのかを、子どもに説明することが重要です。
「自分だけが悪いわけではないことを親がわかってくれた」というだけで、子どもの心は軽くなります。そのうえで「自分もちょっとは悪かったな」と考えることができれば、相手に素直に謝ることができるものです。頭ごなしに叱られるよりずっと、本人の気持ちも落ち着きます。
このように、親に話を聞いてもらった子は、心から謝ることができるようになりますが、親が不適切な謝り方を続けていると、思春期になって親に対する暴力になるケースがあるので注意が必要です。
相手と自分の心を尊重するようなコミュニケーションのパターンを身に着けるように、日常から意識して暮らしたいものですね。