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反転学習とは?反転学習の流れとメリット・デメリット

ライター 村田 美子
2021/03/20 23:03
反転学習って聞いたことがありますか?日本でも2013年ごろから話題にされていましたが、新型コロナの影響で、学校教育の形態が大きく変化する中で、一挙に脚光を浴びるようになりました。この記事では、反転授業のメリット・デメリットをお伝えし、実践例もご紹介しましょう。

反転授業とは?

反転授業とは?

通常の学習を反転(ひっくり返す)させた学習スタイルが「反転学習」です。


従来は、授業を通して、先生が新しい知識を教え、生徒が自宅で宿題などを通して復習し、習った知識を定着させる教育方法が一般的でした。


すなわち、従来の学習の流れは、

  1. 学校や塾で先生から教わる
  2. 自宅で復習し、宿題をする

というものでした。


反転学習では、ビデオなどのオンライン教材で新しい知識を生徒一人ひとりが事前に学習し、集団授業では演習を行って、解らない部分を質問したり、クラス内で意見交換を行って理解を深めます。


すなわち、

  1. 生徒がまだ習っていないことを教材を使って予習する
  2. 学校や塾では解からなかったことを質問したり、演習やディスカッションをする

というものです。

反転授業の流れ

あらためて反転授業の流れを確認していきましょう。

  1. 学習者が基礎的知識を自宅学習用のオンライン教材で勉強し、習得しておきます。
  2. 対面授業では発展・応用問題をしたり、自宅学習でわからなかったことを質問します。
  3. そして、教材の内容をふまえたディスカッション、グループワークなどを行います。

反転授業の歴史と学習効果

反転授業の歴史と学習効果

反転授業は2007年頃にアメリカの公立学校で始まり、その後、急速に世界各地で広まりました。日本でも2013年頃から注目されるようになりました。


反転授業の学習効果が欧米で実証されているので、ご紹介しましょう。


米国、ノースカロライナ大学のRussell Mumper副学部長が基礎薬学のクラスで反転授業を行い、次のような結果を公表しました。


2012年と2013年の年度末試験の平均点が、2012年には前年度よりプラス2.5%、2013年は前年度よりさらにプラス2.6%伸びました。2年間で5.1%向上したことになります。


学生は従来の講義形式よりも反転授業の方が良いとしたアンケート結果がでています。

参考:『The Post-Lecture Classroom: How Will Students Fare?

反転授業のメリット

反転授業のメリット

ここでは、反転授業のメリットをお伝えしていきます。

1)自分のペースで繰り返し学習でき、効率的

自宅でデジタル教材を使った予習の段階で、理解できるまで繰り返し再生したり、途中で一時停止してゆっくり考えたりすることができます。これまで従来型学習についていくのが難しかった生徒も、自分のペースで学習しやすくなります。

2)学習意欲や自立性の向上

自分の意思で学習時間を確保し、予習をするため、意欲的に授業に参加するようになります。

3)問題解決能力やコミュニケーション能力の育成

インプットした知識を生徒がアウトプットする機会が増え、問題解決能力の育成につながります。また、自分の意見を正確にわかりやすく相手に伝える練習にもなります。

4)協働的な学習が可能

反転授業では、ディスカッションやグループワークの機会が多く、新しい発見や違う意見に触れることができます。

5)教師が生徒の学習状況を把握しやすい

教員が生徒の理解度合いを細かく確認でき、学習状況を把握しやすく、生徒と直接コミュニケーションを取る機会が増え、生徒と教師の関係性を向上させることができます。

反転授業のデメリット

反転授業のデメリット

次に、反転授業のデメリットを見てみましょう。

1)予習する時間が必要

反転授業では予習せずに授業に臨むと、授業についていけません。低学年の生徒の場合は、家庭で自習時間を確保するために保護者のサポートが必要になります。

テレワークが不可能な親にとっては、子ども任せになる危険性があります。

2)学習意欲がない生徒には難しい

反転授業では自発的に学習する必要があるため、学習に対する意欲が乏しい生徒にとっては、なかなか厳しいと言えます。

3)学習環境の整備が必要

予習をオンラインであることが多いのですが、オンライン教材を見るためには、PCやネット接続の整備などが不可欠です。ご家庭での準備の手間や機材購入に掛かる費用などが負担になります。

4)教員にとって教材の準備が負担

事前に予習をするための教材を教師が準備しなければならず、その負担がかかってしまいます。

反転授業の実践例

佐賀県武雄市では、全国に先駆け、2016年には市内全小中学校で1人1台タブレットPCを普及させ、反転授業を実践しています。


武雄市内の小学校11校、中学校5校では、小学校3年生以上の算数、4年生以上の理科、2~4年生の国語、中学校全学年の数学と理科を「スマイル学習」と呼ばれる反転授業で行っています。


予習をしてこない生徒にはどう対応しているのか気になります。武雄市では予習用の動画をなるべく子どもたちの興味がわくようなものに工夫していて、予習をしてこない生徒を減らしています。


動画は民間の塾「花まる学習会」と共に「官民一体型学校」として、現場の教師と企業が動画を共同作成しました。


動画は子どもたちにも好評で、予習を忘れてくる生徒は非常に少ないそうです。この予習が家庭での学習習慣の確立に役立っているという保護者の声も寄せられています。


92%の生徒が動画の内容を「よく分かった」「だいたい分かった」、87%の生徒が明日の授業を「とても楽しみ」「少し楽しみ」、また96%の生徒が授業内容を「よく分かった」「だいたい分かった」と答えています。


今後はプログラミング教育や、英語のネイティブ話者と交流するオンライン英会話などに広げていく予定です。


参考:武雄市教育委員会

https://www.city.takeo.lg.jp/kyouiku/docs/20170324smileedu01.pdf

「ICTを活用した教育」の効果は?

次に、現代社会総合研究所「ICT教育研究プロジェクト」が、武雄市における「ICTを活用した教育」の効果を検証しているので、ご紹介しましょう。


2016年度に実施したアンケート調査の結果から、武雄式反転学習(「スマイル学習」)の実施が、児童・生徒、教職員、保護者の意識の変容にどのように関連しているかを分析することで、その効果の検証を試み、以下のような結果を公表しました。


  • 「スマイル学習」を経験した児童・生徒は、話し合い活動や思考の深まりに肯定的な回答をする傾向がある
  • 「スマイル学習」指導の経験をもつ教職員は、話し合い活動や思考力育成を重視し、活動の成果を高く評価する傾向があるが、教職員としての自己効力感に結びつきにくい
  • 小学生の保護者では認知度の高い保護者、関与の高い保護者ほど「スマイル学習」の効果を認める傾向がある


参考:東洋大学 武雄市「ICTを活用した教育」による効果の検証~「スマイル学習」に関するアンケート調査の結果を中心に~

https://toyo.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=8779&item_no=1&page_id=13&block_id=17

まとめ

コロナ禍でオンライン学習が急速に普及し、「反転授業」が改めて注目されています。


反転学習を成功させるポイントは、生徒のモチベーションの維持、すなわち、楽しくないと続かないことと、周りの大人による関与や管理が必要であることがわかりました。


東洋大学の2016年度の調査結果でわかったことは、「スマイル学習」を経験した児童・生徒は、「話し合う活動を通じて、自分の考えを深めたり、広げたりすることができている」と回答する傾向が全国平均に比べて顕著に高いことがわかりました。また、教師の方も、指導方法の振り返りや向上が見られると報告されています。


しかし、教職員としての自己効力感に結びつきにくいという点が気になります。今後、その背景は何なのか、注目していきたいと思います。


記事でご紹介した反転学習は、後半部分で対面による授業を前提にしていますが、今後、対面の授業が長期に渡って困難な場合に、それすらオンラインで行うことも想定しなければなりません。


ウィズコロナの状況下、教育から目が離せませんね。

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