赤ちゃんへの声かけは脳の発達にも影響!声掛けのメリット・やり方とは?
【年齢別】脳の成長ステップ
乳幼児期の子どもは大人も驚くほどのめざましい発達を遂げますが、その成長の源となるのが脳です。
子どもの脳の成長は、順を追ってピークを迎えることが分かっています。その順番を知ると、声かけがなぜよいとされているかが分かってきます。
脳の各組織がどのように発達していくのか、次から各時期の特徴を見ていきましょう。
0歳~1歳に「視覚」「聴覚」「触覚」が発達
生後すぐに発達をスタートさせる脳の組織が「後頭葉」と「側頭葉」です。
後頭葉は「ものを見る機能」を、側頭葉は「音を聞く能力」をつかさどっています。産まれて間もないうちは、動くモビールやメリーを目で追う「追視」があるのも、こうした脳の働きからといえるでしょう。
また、産後すぐから音を聞く能力も発達するため、赤ちゃんへの声かけは重要だと考えられています。
2つの機能は、0歳~1歳の間に発達していきやすいといいます。
3歳~5歳には「指先の細かい動き」が発達のピークを迎える
次に発達のピークを迎えるのが「頭頂葉」と呼ばれる感覚や運動をつかさどる機能です。
3歳~5歳頃までに発達するといわれており、中でも指先の細かい動きなどをつかさどる「運動野」が成長のピークを迎えるといいます。
この時期には、左右で違う音を弾くピアノなどの楽器に触れたり、細かな体の動きを必要とするスポ―ツに触れたりすると能力が伸びやすいと専門家はいいます。
小学生以降に発達する「前頭葉」の成長は10代になっても成長
小学生以降に発達するのが「前頭葉」です。
中でも、物事の判断や計画、コミュニケーションをとるといった働きをする「前頭前野」は、10代以降も発達し続けるといいます。
脳の発達はすべてが一度に進むわけではないため、これらの脳の働きを認識しておくと、赤ちゃんへの声かけにも違った視点が持てるでしょう。
コミュニケーションに注目!声かけにはどんな効果がある?
声かけにはさまざまな効果があるといいますが、中でも親子でのコミュニケーションによい影響を与えると考えられています。具体的な効果について、見ていきましょう。
親子のコミュニケーションをスムーズにする
声かけの大切な役割のひとつが「親子のコミュニケーションをスムーズにすること」だと考える専門家もいます。
言葉を話し始める時期については個人差があり、早ければよいわけではありません。
そのため、声掛けの目的を発語にするよりも「この言葉にはどんな反応を示してくれるか観察してみよう」というような気持ちで接することが大切です。
自分の発信に周りが反応してくれる経験から信頼関係を築く
生後1ヶ月頃からは「あー」「うー」といった「クーイング」と呼ばれる声を発する赤ちゃんが多いといいます。
こうした声に周りの大人が繰り返し反応をしていると「自分のことを真似してくれている。見てくれている」という喜びを赤ちゃんに与え、次第に大人のやることも真似してみよう、という気持ちが育つといわれています。
赤ちゃんのコミュニケーション意欲につながる
言葉を発しない赤ちゃんであっても、声かけに対する反応はジェスチャーや表情で返していると専門家はいいます。
声かけを行っていくと、赤ちゃんからの発信も増えていき、将来的な社会性の発達へもつながることが期待できるでしょう。
コミュニケーションに対する意欲を引き出す上でも声かけは大切といえます。
シンプルに返すだけでもOK!声かけの方法とは?
声かけの方法については、シンプルで大丈夫と考える専門家もいます。その方法を3つのポイントからご紹介していきます。
赤ちゃんの言葉をそのままシンプルに返す
赤ちゃんが「あー」と声を出したら「あー」と、「うー」といえば「うー」と、シンプルに返してあげる声かけの方法です。
赤ちゃんは自分が発信したことをキャッチしてもらえた、分かってもらえたと考え、もっと声を出してみようかなと考えるといいます。この方法であれば大人も楽に行えるでしょう。コミュニケーションの出発点が赤ちゃんであることが大切なポイントです。
赤ちゃんの発信に対して同じように返してあげられるとよいでしょう。
テレビなどから流れてきた音楽に合わせて歌う
テレビなどから流れてくる音楽に合わせて歌う、というのも声かけの方法のひとつです。
このとき、歌と一緒に抱っこしたり体を揺らしたりしながら、スキンシップをしてもよいでしょう。
古くから歌われてきた「一本橋こちょこちょ」のような手遊び歌などを利用してみるのもおすすめです。
絵本の読み聞かせを行う
絵本の読み聞かせも声かけの方法としておすすめだといいます。
中でも、「オノマトペ」が使われた絵本は赤ちゃんでも聞き取りやすい言葉が多く、耳残りがよいといいます。
猫は「にゃあにゃ」、犬は「わんわん」などオノマトペの多くは聞こえてくる音や感覚を表現しているため直感的に理解しやすいことが要因です。読み聞かせの本に迷ったときには参考にしてみましょう。
声かけが苦手!そんなときにはどうすれば良い?
声かけは大切であることは理解しながらも、苦手だと感じている人も少なくありません。実は筆者もその1人で、娘が新生児だった頃は何を話せばよいのか分かりませんでした。ここからは、専門家の意見や本、実体験をもとに対応策について考えていきます。
赤ちゃんを小さな大人と思って接する
書籍『フランス人は子どもにふりまわされない/パメラ・ドラッカーマン著』によると、フランス人は赤ちゃん言葉を使わないといいます。
赤ちゃんは「言葉が理解できない弱い存在」ではなく、「小さな大人である」と認識していることが理由だといいます。
赤ちゃんには赤ちゃん言葉で接さなければと思っているときには、フランス人の育児法は参考になることが多いでしょう。
時には赤ちゃんに相談してみてもOK
育児経験をもつ専門家の中には、時には仕事の悩みや不安を赤ちゃんに相談してみてもよいのでは、と提案する人もいます。何を話したらと悩むよりも、自分の話せることから話しかけてみることのほうが大切だという考えからです。
実際、専門家であっても、仕事の愚痴をお風呂で赤ちゃんに聞いてもらったことがあるそうです。大人も自然体で接すればよいと割り切れれば、声かけへの気負いも減っていくのではないでしょうか。
身内や友人など子育てに慣れた人にゆだねる
あくまで筆者の経験となりますが、身内や友人に子育ての経験者がいるときには、自分の子ども接してもらいその様子を観察することは声かけを学ぶ上で役立ちました。
さまざまな書籍などにも目は通しましたが、どのようなタイミングでどんな風に声をかけるかは、実体験を通した方がイメージも湧きやすいと感じています。
機会があれば、さまざまな人に育児に参加してもらいながら、声かけに慣れていけるとよいのではないでしょうか。
赤ちゃんに話しかける声は無理に高くしなくてもよい
赤ちゃんに話しかけるときには、男女問わず自然と声の周波数が高くなっていることがこれまでの研究で分かっています。
そのため、日頃から赤ちゃんは高い声に慣れているといえますが、絶対に声を高くしなくてはいけないというわけではないそうです。
声色を変えることに抵抗がある人でも、自然に任せた声でよいと覚えておくとよいでしょう。
赤ちゃんには1人で探索する時間も必要
大人からの声かけも大切ですが、赤ちゃんには1人で周囲の様子を見たり、自分の手を見つめたりする時間も必要だといいます。
そのため大人も「常に何か声かけをしなくては」と気負いすぎなくてもよいといえるでしょう。
時には、指や手をしゃぶりながら、自分自身のからだを探索する時間を赤ちゃんに与えてあげると、お互いよりよい関係性が築けるかもしれませんね。
まとめ
言葉こそまだまだ発しない赤ちゃんであっても、大人が考える以上にさまざまなことを吸収していることが分かりました。本記事では、声かけに焦点を当ててきましたが、スキンシップやジェスチャーなども赤ちゃんとコミュニケーションをとる手段だそうです。
そのため、声かけに慣れるまでは、できる手段から取り入れていくことも育児を楽しんでいくコツかもしれないと改めて認識しました。
声かけに悩む方はぜひ参考にしてみてくださいね。