うちの子はどのタイプ?子どもの気質を理解するための性格分類
うちの子の個性、どうとらえれば良い?
核家族化が進む現代では、育児のお手本は育児書やインターネットの情報からという人も少なくないでしょう。その中には、子どもの月齢や成長に合わせてその時期の子どもの生活サイクルや特徴、育児のポイントなどが教科書のように記されていますよね。
「育児書にはこう書いてあるけど、我が家ではうまくいかない!」
「上の子のときには上手くできたのに、下の子は全然思っていた育児と違う…」
などのケースも往々にしてあるでしょう。
もちろん子どももひとりひとり違う存在ですから個人差があると頭では分かっていても、目の前の我が子の育児にどう向き合えばいい?とヒントを求める気持ちはどうしてもついて回るもの。
そんなときは育児書やネット情報の「標準的育児」のことはひとまず脇に置いておきましょう。
そして、まずは目の前の我が子をしっかりと観察してみてください。例えまだ小さな赤ちゃんでも、ひとりひとりに違う性質、生活リズム、性格を持っていることが見えてきます。
そんなそれぞれの個性を分解して客観視するために知っておくと役に立つのが、生まれながらに持つ「気質」という考え方です。
環境や育て方とは別の、生まれ持った「うちの子らしさ」。そんな視点で育児を客観視できれば、伸ばしていきたい個性も上手に付き合っていきたい個性もグンととらえやすくなるのではないでしょうか。
子どもが生まれながら持つ”9つの気質”
まずご紹介するのはアメリカの精神科医、トーマス博士が明らかにした人間の9つの気質的特徴についてです。これらの特性は、幼少時の時点で既にそれぞれに備わっているものだと考えられています。
(参考:https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/070674379003500617)
活動性
同じ子どもでも、絶えず活発に動き続ける子どもと、じっとしてあまり動かない子どもがいます。これはお母さんのお腹の中にいるときから個人差が顕著です。活動の激しさにも個人差がありますが、活動性の高い子どもは総じてエネルギーに満ちて運動量の多い子どもと言えます。
生理的規則性
いわゆる生活サイクルや生理的サイクルが規則正しい子がいます。睡眠、食事、排せつを決まった時間や間隔で行う子どももいれば、気まぐれにお腹を空かせたり眠ったりといった子どもも。これは身体機能による気質で、きちんとリズムが決まっている子は親にとっては「育てやすい」と感じるかもしれません。
新しい刺激に対する接近、回避の傾向
新しい環境や刺激に対する反応の違いです。見慣れないものや人にも物おじせずワクワクし自分から接近していく子、もじもじしたり恐れたりして避けるような反応を見せる子など行動パターンの差が基準となります。
順応性
新しい環境や刺激に対して最初の反応とは別に、その後どのように順応していくかを基準に見る気質です。人間関係や物事の変化などにスムーズに適応するのか、なかなか馴染めないかといった差になります。順応の早い子は環境やルーティーンを色々と変えて刺激を与えることも良いですが、ゆっくり順応していく子の場合はいつもと同じであることに安心感を抱きます。
反応の強さ
外的、内的な刺激(痛み、気温、五感など)に対する反応の強さを基準としたものです。転んで大泣きする子もいれば、静かに涙を流す子も。良くも悪くもあまり気にせずに遊び続けるような子もいます。刺激に対して反応を見せづらい子は、周囲の大人が様子をよく観察しなければいけません。
反応の閾値
刺激に対しての反応が現れ始める強さの基準。どれくらいのレベルの感覚で反応を見せるのかということです。ちょっと物に当たっただけででも泣いてしまう子もいれば、転んで血が出ていても気にせずに遊び続ける子もいます。
機嫌の良さ
ベースの気性として、「快」をとらえやすい子と「不快」をとらえやすい子がいます。楽観的で基本的に機嫌よくしているタイプや、心配性、デリケートで少しの変化でも不機嫌に転じやすい気難しいタイプなどです。嫌なことがあってもすぐ忘れられるのか、長く引きずるのかという個人差もあります。
行動の可変性
一つの行動を外部から変えさせるのにどれほど刺激が必要か、という基準です。一度叱れば二度とやらないという子もいれば、何度も繰り返して言い聞かせないと伝わらない子もいます。いわゆる「聞き分けの良さ」に当たる気質です。
注意の幅と持続性
集中力、粘り強さなどの気質です。一つの物事にどれほどの注意を向けるのか、どの程度の時間続くのかといった基準で決まります。集中しているときに外部からの妨害があった場合、どれほど執着を見せるのかも子どもによって違います。気が変わりやすい子もいれば、一つのことをやり続けたい子もいます。
これらの基準で子どもを観察して、総合的に考えることで個性や気質が見えてきます。
「うちの子は生活が規則正しいのんびり屋さん」
「集中力が高くてあまり声をかけないほうが良いタイプ」
などそれぞれの気質を見てあげることで「うちの子らしさ」の輪郭がつかめるのではないでしょうか。
子どもの気質を5つに分類した考え方
近年では子どもの気質、性格をおおまかに5つに分類してよりわかりやすくとらえる考え方も広まっています。
提唱しているのは「一般財団法人日本キッズコーチング協会理事長」の竹内エリカさんです。(一般社団法人日本キッズコーチング協会HP http://www.jakc.or.jp/)
ここでは竹内さんの挙げる「5つの気質」をそれぞれご紹介します。
おっとりタイプ
基本的に機嫌が良い状態で安定しているタイプ。ニコニコ、おっとりしておりあまり泣きません。赤ちゃんのときはよく眠り、自己主張が少なめで手がかからないタイプです。集中力が低めで忘れっぽい傾向も。
おりこうタイプ
順応が早く、大人の行動をよく観察してマネするタイプです。言葉も早く習得する傾向があり、指示が通りやすいのでおりこうさんに思われます。お母さんの言葉をよく聞きながら、注意を引こう、褒められようとする完ぺき主義タイプかもしれません。
わんぱくタイプ
子どもらしい天真爛漫さでパワフルなタイプ。好奇心が旺盛なので、元気いっぱいに体を動かして遊びを楽しみます。落ち着きがあまりなく、勢いがありすぎて大人にとっては手に負えない!と感じてしまうことも。甘えん坊で愛情をめいっぱい表現する傾向もあります。
きくばりタイプ
周囲の変化に敏感に気づく優しいタイプです。周りの人の気持ちや状態に繊細に気を配っているので、慣れない環境にはなかなか馴染めないことも。思いやりの深い性格で安心できる静かな環境を好みます。お友だちとトラブルになってもやられっぱなしになる傾向もあります。
がんばりやタイプ
こだわりが特に強く、自分の思う通りになるまで一貫して頑張るタイプです。不満を露にすることも多いので大人からすると気難しく感じられますが、とことん最後までやり続ける粘り強さを持っています。気に入った物事に執着が強めで、こだわりがクリアできればベースは素直なタイプです。
5つの気質は一つだけ当てはまるものではなく、あくまでも目安です。グラデーションのように当てはまる子もいれば、「完全にがんばりやタイプ!」という子もいるでしょう。おおまかな傾向としてとらえることで、子どもへの理解を深めるヒントになりそうですよね。
気質や傾向を理解したうえで、親にできることは?
子どもの持って生まれた個性をとらえる9つの気質基準と、おおまかな5つの分類をご紹介しました。
ここまでご紹介した気質はあくまでも一つの側面で、実際には複数の気質が強弱を伴って複雑に絡み合うことで「その子らしさ」を作り上げています。ベースが似ていたとしても兄弟姉妹で全く異なる気質を持っているというのも納得ですよね。
そして子どもの気質は生まれつき備わっている要素であり、親や大人がコントロールしようとしてもどうしても限界はあるもの。親の思う方向に導こうとするのではなく、変えられない個性は受け入れることが「うちの子らしさ」を尊重することに繋がります。
「普通はこうなのに」といった大人目線での育児基準は参考程度にして、「子どもの変えられない気質」と「親の通したいやり方」のすり合わせを探りながら対応していくことが育児を楽にしていくのではないでしょうか。
まとめ
子どもひとりひとりに個性や気質が備わっているように、親である大人にも個性や気質が存在しています。
目の前の子どもをじっと見つめて気質に合わせた育児を模索することと同時に、自分自身の気質にも目を向けながら自分たちにとって最適な育児を考えてみてくださいね。