【自己肯定感を下げない叱り方】8つのポイントと注意点
叱られてばかりの子どもは自己肯定感が育たない?
「叱られてばかりの子どもは自己肯定感が育たない」と耳にしたことがあるかもしれませんが、本当のことなのか気になりますよね。
自己肯定感とは?
そもそも、自己肯定感とはどういったものなのでしょうか?自己肯定感とは、自分の存在に対する自信のことで、簡単にいうと「ありのままの自分でいいのだ」と感じられる気持ちを指します。
自己肯定感が高いと、良好な人間関係を構築したり何事にも積極的に取り組んだりできる傾向があるといいます。一方で自己肯定感が低いと、物事を自分で判断することができなかったり、暴力に訴えたりする傾向があるのだとか。
また自己肯定感と似た言葉に「自尊心」というものがありますが、これはは自分の能力に対する自信のことをいいます。似ているようでも違うものとして認識しておいたほうがいいでしょう。
叱りすぎは自己肯定感を下げる可能性がある
子育てをしていると、つい子どもを叱りすぎてしまうこともありますよね。しかしいつも怒られてばかりいると、子どもは「ママやパパは僕が嫌いなのかな?」「この家にいない方がいいのかな」と感じてしまうかもしれません。
自分自身に自信が持てなくなってしまうため、自己肯定感を下げることにつながってしまう可能性もあります。
叱るときの“8つのポイント”
子どもの自己肯定感を下げてしまわないよう、どのようなポイントをおさえて子どもを叱ればいいのでしょうか?
1)すぐに、簡潔に、叱る
子どもを叱る場合は、子どもがいけないことをしたらその場ですぐに注意することを意識しましょう。あとになって叱っても、子どもはどうして怒られているのか理解することが難しいといいます。
また長々とお説教するのも、あまりおすすめできません。要点を押さえて簡潔に伝えた方が、子どもも理解しやすいはずですよ。
2)理由を説明する
子どもを叱るときは、何がいけなかったのか具体的に理由を説明するようにしてくださいね。低年齢の子どもの場合は、できる限りわかりやすい言葉で言い聞かせてあげましょう。
いくら言葉で伝えても子どもがなかなか理解できない場合は、どうして「ダメ」なのか実践して伝えてもいいかもしれません。例えば、ハサミの刃の部分を子どもが触ろうとしていた場合は、ママやパパが刃を触るふりをしてから痛がって見せることで、危険をわかりやすく伝えられそうですね。
3)繰り返し伝える
子育て中、何度注意しても子どもが同じことを繰り返してイライラしてしまうこともありますよね。しかし一度の注意で行動を正そうと思っても、上手くいかないことのほうが多いでしょう。根気が必要になりますが、何度も繰り返し注意してあげることが大切です。
しかし「何回言えばわかるの!」などと感情的に叱りつけてしまうと、子どもは叱られたことに対して恐怖を感じるだけで、何がいけないのか理解できないかもしれません。「おもちゃは投げちゃいけないよ」などと、毎回簡潔な言葉で言い聞かせることをおすすめします。
4)叱るときは一つの事柄に絞る
子どもに対して「歯磨きをちゃんとしなさい!片付けをやっていないじゃないの」などと一度に複数の事柄を叱ると、理解が追い付かずに困惑させてしまう可能性があります。叱るときは一つの事柄に絞ったほうが、子どもも理解しやすく、改善のために行動できそうですね。
5)子どもの言い分を聞いてから叱る
子どもが何かいけないことをしたからと、頭ごなしに叱りつけてはいませんか?大人にとっては理解しづらいことかもしれませんが、子どもには子どもなりの言い分があることもあります。
叱る前にまず子どもの話をしっかりと聞き、そのうえで「ママはこうしたほうがいいと思うよ」などと正しい行動を伝えてあげてはいかがでしょうか?
6)本当にいけないことは真顔で厳しく叱る
怪我につながることや人に迷惑をかけることなど、本当にいけないことを子どもがしたときは、笑わずに厳しい口調で叱るようにしましょう。そうすることで「いけないことなんだ」と子どもに強く印象付けることができるはずです。
7)改善したら褒める
子どもを叱るだけでなく、その後子どもが行動を改めることができたら、しっかりと褒めてあげるといいですね。いきなり完璧に直すことは難しいかもしれませんが、少しでもできたらそれを認めることで、子どもは自信をつけられるかもしれませんよ。
8)子どもの目線に立つ
子どもを叱るときは、立ったままでなく子どもと目線が合うように腰を落としてあげるといいでしょう。子どもは大人よりも小さいため、立ったまま叱ると子どもに威圧感を与えてしまいかねません。
「怖い」という感情が強くなり、肝心の内容が頭に入らなくなることもあるので注意したいですね。
子どもを叱るときの注意点
子どもを叱るときは、どのような点に注意すればいいのでしょうか?
子ども自身を否定しない
子どもを叱るとき「本当にダメな子ね」「あなたはいつも嫌なことばかりするのね」などと子ども自身を否定する言葉を使わないことを意識しましょう。叱る対象はあくまで子どもの「行為」であり、子ども自身ではありません。
「悪い子」などと子どもの存在を否定することばかりいわれてしまうと、子どもは親に対して不信感を覚えてしまい、人間不信につながってしまうこともあるそうです。
子どもの気持ちを否定しない
例えば子どもが兄弟喧嘩で手を出したとき、暴力をふるってはいけないと伝えることはもちろん大切ですが、手を出してしまうほど怒った子どもの気持ちを無視しないようにしてくださいね。
どうして喧嘩になったのか、何が嫌だったのか、しっかりと子どもの気持ちを聞いて受け止めてあげることが大切だといいます。そのうえで、どう行動すればいいのか、何がいけなかったのか説明してあげましょう。
ただ、子どもの言い分を聞いても、ママやパパにとっては納得できないこともあるかもしれません。しかし理解できないからと突き放すのではなく、子どものありのままの気持ちを受け止めてあげることを意識してくださいね。
叱る基準を機嫌で変えない
親も人間なので、機嫌が悪いと些細なことでイライラしてしまうこともありますよね。しかし、子どもを叱る基準を親の機嫌で変えてしまうことがないように注意しましょう。同じことをしても、機嫌がいいときは叱らず、不機嫌なときだけ叱っていると子どもは困惑してしまいますよ。
感情的に叱らない
子どもが悪いことをしたら、ついカッとなってしまうことも多いですよね。そんなとき、感情任せに子どもを叱りつけてしまわないよう、まずはママやパパが怒りを落ち着けるようにしましょう。
苛立ちを自覚したら深呼吸をしたり、頭の中でゆっくりと数を数えたりすると怒りをコントロールしやすいといいます。それでも気持ちが落ち着かない場合は、子どもの安全を確保したうえで、子どもから離れてみてはいかがでしょうか?
初めのうちは、なかなか上手く感情をコントロールすることは難しいですが、続けていくうちに短時間で気持ちを落ち着けられるようになるかもしれませんよ。
返事を強要しない
子どもを叱っているとき、子どもが黙りこんでいたら「ちゃんとわかったの?」「きちんと返事しなさい!」などと返事を催促したくなる人も少なくないでしょう。しかし返事を強要すると、子どもは恐怖心から返事をしてしまい、叱られている内容を本当は理解できていないこともあります。
きちんと伝わっているか不安になるかもしれませんが、子どものペースを大切にしてあげてくださいね。
昔のことを持ち出さない
子どもを叱っているときに、過去の失敗を持ち出してしまってはいませんか?「どうして順番を守って遊べないの!この前もお友だちのおもちゃをとったでしょう?」などと過去のことを持ち出してしまうと、子どもは2倍怒られたように感じてしまいかねません。
「僕は本当に悪い子なんだ」と必要以上に自身を追い詰めてしまう可能性もあるため、あとになって蒸し返さないように気を付けてくださいね。
他人を持ち出さない
例えば子どもがお店で騒いでしまったとき「静かにしなさい!お店の人にも怒られちゃうよ」などと他人を持ち出して子どもを叱るのは、おすすめできません。子どもにとっては、ママやパパだけでなく、他人にまで自分を否定されているように感じられることも。
そうした叱り方を続けていると、子どもが過剰に他人からの評価を気にするようになったり、自分で物事を判断できなくなったりする可能性も考えられます。
叱ることを避けない
子どもの自己肯定感を下げたくないからと、子どもを叱ること自体を避けてしまう人も珍しくありません。しかし「何をしても叱られない」ことで、子どもは「ママやパパは僕を見てくれていないんだ」と感じてしまい、むしろ自己肯定感を下げてしまうリスクもあるといいます。
叱ることを恐れるのではなく、叱り方を意識し、子どもに「ママやパパはきちんとあなたを見ているんだよ」ということを伝えられるといいですね。もしも子どもを感情的に叱ってしまい「あんな叱り方しなければよかった」と後悔したなら、子どもに謝るようにしましょう。
親の威厳が失われるのではないかと不安になるかもしれませんが、きちんと謝る良い見本を見せられるチャンスになりそうですね。また謝ったあとは子ども抱きしめ、愛情を伝えてあげるといいでしょう。
さいごに
子どもには正しい行動ができる大人になってほしいものですが、ただ厳しく叱ればいいというわけではありません。子どもの自己肯定感を損なわず、効果的に叱るためにも、ご紹介したポイントを意識してみてはいかがでしょうか?