見立て遊びとは?年齢別発達段階と効用・やり方
見立て遊びとは?
見立て遊びという言葉を聞いたことがあるでしょうか。見立て遊びとは、目の前にあるものを別のものに見立てて、想像やイメージをしながら遊ぶことです。
例えば、何もないお皿にケーキが置いてあり食べる仕草をする、雲を見てどんなものに見えるのかを想像する、といったことや、ごっこ遊びなどが当てはまります。
見立て遊びは年齢が上がるにつれて変化が見られるので、年齢別に見ていきましょう。
1歳ごろは見立て遊びの中で言葉や物を認知する
1歳ごろになると、活発に見立て遊びをはじめるようになります。
例えば、子どもに公園で作った砂のケーキをどうぞと出すと、子どもが食べるふりをします。それは砂のケーキを本物のケーキに見立てられている証拠です。
それと同時に、泥は食べられないという認識をしていることも確認できます。見立て遊びは子どもの中に言葉が認知され始めているということを示していると言われており、言葉が育ってきているからこそできる遊びなのです。
2歳ごろは周囲の真似をし始める
2歳前後になると、物を見立てる力が発達し遊び方にも変化が見られます。
子どもたちは自分の生活に関わる人たちや物の真似をしはじめます。お買い物をする動きや、お料理を作るふりをしはじめます。個々のイメージの中で遊ぶことができるようになるのです。
子どもたちが思わず真似したくなるような、文化的な経験をさせてあげることも重要です。
3歳ごろはイメージが膨らみ見立て遊びを楽しめる
3歳では見立てる力がより一層膨らみ、イメージを広げられるようになります。例えば、お人形やぬいぐるみなどを上手く活用して自分が幼稚園の先生になりきったり、ママになりきったりして遊びます。
4歳ごろは他者の世界も楽しめるようになる
さらに4歳ごろになると、友達同士で一緒にイメージを広げていくことができます。
友達が持っているイメージを自分の世界とつなぎ合わせて遊ぶことができ、自分だけでは作り出せない世界を、集団で楽しむようになるでしょう。
そのため、ごっこ遊びの中にも多様な役割を持たせられるようになります。保護者や大人を介さなくても自分たちだけで遊びを確立させることができる年齢です。
5歳は自我が確立し話し合いながらの遊びに発展
このころになると一人で何役もこなす高度な見立て遊びができるようになります。それぞれの立場を考えた表情や口調を使いこなすことができるようになり、創造力を駆使して見立て遊びをします。
また、自我が確立し、友達との話し合いもできるようになる時期です。見立て遊びでも話し合いながらお互いのイメージを確認し合うことができます。
見立て遊びの重要性とは?
ここまで見立て遊びについて、年齢別に紹介してきました。ではなぜ見立て遊びが重要なのでしょうか。いくつかポイントを見てみましょう。
想像力が育める
見立て遊びはこれまでの経験や見たり聞いたりしたことを結びつけて遊ぶため、イメージする力を発達させることができます。
ある物の形を変えてみたり、切ったり、つなげたりと、さまざまなものへと変換させていくことも身につけられるでしょう。
こうしたらかっこいいな、かわいいなとデザインする力も育めます。
観察力を育める
見立て遊びでは、親や身近な人の動きを真似することもあります。そのためには、どんな動きをしているのかを観察し、記憶させておくことが必要です。
ままごとをしている際に、普段ママの言っていることと同じ様なセリフを言っている、肩に電話に見立てたものを挟みメモを取るフリをしているなど、子どもたちがよく見てよく覚えているなと感心することがあるのではないでしょうか。
このように、見立て遊びには観察力がないとできない遊びでもあります。
コミュニケーション能力が育める
見立て遊びは小さい頃は一人で遊ぶことも多いですが、年齢が上がるにつれて、友達と一緒に遊ぶようになります。
遊びの中では相手の立場や気持ちを考えたり、創造性を膨らませたりすることがあり、話し合いながら何かを決めていくことでコミュニケーション能力の発達にもつながるでしょう。
また、遊びの中でルールを決め集団の中で誰かと一緒に遊ぶことで、社会性を伸ばしていくこともできます。
見立て遊びをやってみよう!
子どもの見立て遊びにわざわざ何かを買って用意することはありません。身近にあるものを使うこともできるので紹介していきましょう。
新聞紙や空き箱などの廃材
新聞紙を使った見立て遊びはたくさんあります。
新聞紙をそのまま広げるだけで布団になったり、新聞紙を広げたところを海に見立ててすいすいと泳いでみたりすることも可能です。新聞紙を巻き付ければ、スカートにも早変わりです。
空き箱は、新幹線や車などに見立てて遊ぶことができます。その他にも、ままごとでは空き箱を冷蔵庫や食器棚に見立てることもできるでしょう。
毛糸
毛糸も見立て遊びに使える素材の1つです。
毛糸を切ればままごとに使う麺類に見立てられます。色が変われば、うどんや焼きそば、パスタなどに見立てて料理を楽しむことが可能です。
また何本も束ねれば、髪の毛に見立てることもできます。カラフルな髪の毛を作れば、いつもとは違うスターのような気分になれるかもしれませんよ。
どんぐりや落ち葉
子どもは屋外で遊ぶのも大好きですよね。屋外でも見立て遊びの材料となるものはたくさんあります。
どんぐりや落ち葉、木の枝も見立て遊びには活躍する材料です。どんぐりをたくさん集めると、食べ物に見立てて遊べます。葉っぱもいろいろな形のものがあるため、自分がイメージしているものや作りたいものに合うものを見つけられるかもしれません。
枝は笛やステッキなどに見立てて遊ぶことができますが、危険を避けるために周りに人がいないことも確認しておきましょう。
洗濯ばさみ
洗濯ばさみは、ままごとの材料になります。
フライパンに入れて炒めたり、お鍋に入れてぐつぐつ煮たり、食材として使うことができます。カラフルなものがあれば、色彩豊かなごはんができ上りますよ。
また洗濯ばさみを繋ぎ合わせていけば色々な形ができます。人間のような形になったり、ロボットのような形になったりと、ブロックのように見立てて遊ぶことも可能です。
子どもの見立て遊びに上手く関わろう
見立て遊びをする場合、親や周りの大人が上手に関わる必要があります。どんな点に気をつければよいのか、ポイントを挙げてみました。
大人も積極的に参加しよう
1~2歳ごろまでは、大人が積極的に関わることで子どもたちの見立ての世界を広げてあげることができます。まずは大人が見立て遊びのお手本を見せてあげることで、子どもも一緒に見立ての世界に入ることができるでしょう。
また、子どもの問いかけにも積極的に応答してあげましょう。「どうぞ」と料理を差し出されれば、「おいしいね」「どうやって作ったの?」とやり取りをして、同じ目線で見立ての世界を楽しみましょう。
イメージを壊さないようにする
子どもたちは個々で見立て遊びのイメージを膨らませます。大人から見れば不思議に思うかもしれませんが、「バスじゃないみたい」「何を言っているの?」などと、否定するようなことは避けましょう。
子どもがイメージすることを辞めてしまうからです。自由な発想にはできる限り口を挟まないようにするのがおすすめです。
ただし行き詰まっている場合には助け船を出して、次の発想のきっかけになるようなものや言葉かけをしてあげましょう。
環境を整えてあげよう
大きくなるにつれ見立て遊びはごっこ遊びへと発展していきます。
例えばお医者さんごっこをしているならば、ちょっとした仕切りや区切りを考えて「ここはお医者さんに診てもらう部屋」「ここは病気の人が待っている部屋」などといった空間を作ってあげることも重要です。
そうすることで、子どもたちもよりイメージを持ちやすくなるでしょう。
さいごに
大人になってからも見立てる力は必要です。何かで代用できないか、工夫できないか、相手はどんな気持ちなのかと想像力や思考力が必要な場面も多くあります。その能力を育むためにも、幼少期の見立てる力を育むことが大切です。
この遊びにこのおもちゃを使用しなければならないという決まりをなくし、自由な発想でいろいろなものを見立てて遊びに取り入れてみましょう。
参考
- 焼津市乳幼児教育推進会議『平成 28 年度 保育者資質向上研修会 』https://www.city.yaizu.lg.jp/g04-005/documents/dai5kai.pdf
- 渡辺 弥生『ウチの子、最近、手に負えない! イライラと不安がなくなるハッピーな子育ての秘訣』 すばる舎, 2008年.