子どもの顎の発達を促す食べ物は?噛む力の鍛え方と5つの注意点
子どもの顎の発達の現状
「最近の子どもは顎が小さい」と耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか?近年の子どもの顎の発達の現状をご紹介します。
噛む力が弱い子どもが増えている
子どもが好きな食べ物といえば、カレーライスやハンバーグ、スパゲティなどが定番ですよね。しかしそんな子どもが好きなメニューの多くが、あまり噛まずに飲み込めるため、子どもの噛む力が弱くなっているといいます。
戦前と比べ、食事の噛む回数は半分になっているという調査結果もあるというのだから驚きですね。
顎の小さな子どもの増加
噛む回数が少ないことで顎があまり発達せず、顎の小さい子どもが増えているといいます。顎が小さいと聞くと、スタイリッシュに感じられるかもしれませんが、顎が発達しないと永久歯の生えるスペースを確保することができず、歯並びが悪くなってしまうこともあります。
子どもの「噛む力」を鍛えるメリット
子どもの顎を発達させるためには、噛む力を鍛えることが大切です。噛む力を伸ばすと、さまざまなメリットが期待できますよ。
顎の発達を促す
食事をよく噛むことができると、顎の周りの筋肉が刺激され、顎の発達が促されるといいます。顎がしっかり発達すると、乳歯から永久歯に生え変わる際、十分なスペースを確保できるため、歯並びがきれいになりやすいでしょう。
顎の発達が未熟で永久歯の生えるスペースがとれず、歯並びが悪くなると、噛み合わせや見た目が悪くなるだけでなく、虫歯や顎関節症、頭痛などを引き起こす可能性もあるといわれています。
唾液量が増える
よく噛むことは、唾液の分泌を促すことにもつながります。唾液には酵素が含まれているため、消化吸収を助けたり、歯を強くしたりする効果も期待できるのだとか。
一方噛む回数が少ないと、内蔵にかかる負担が大きくなってしまい、将来生活習慣病にかかるリスクが高くなってしまうかもしれません。
食べ過ぎ防止
近年は子どもの肥満が増えていることが問題視されていますが、噛む力を鍛えることは肥満予防にも効果が期待できます。たくさん噛むことで、満腹中枢が刺激されるため、食べ過ぎを防ぐことができるでしょう。
脳の発達が期待できる
噛むことは、脳にも良い刺激を与えるといいます。とくに知性にかかわる前頭前野の発達が期待できるというのだから、しっかりと噛む習慣を身に付けさせたいものですね。
リラックスできる
大人でも、集中したいときや気分を落ち着けたいときなどにガムを噛むという人が多いですよね。何かを噛むことで、脳内に緊張を和らげる化学物質が増えるといわれています。噛む力を鍛えることは、子どもの情緒の安定にもつながりそうですね。
子どもの「噛む力」の鍛え方
子どもの噛む力は、4~5歳頃から意識して鍛えてみてはいかがでしょうか?幼児期のほうが、顎が発達しやすいため、乳歯が永久歯に生え変わり始める前に噛む習慣を身に付けさせてあげたいですね。
噛む力を鍛える食べ物
子どもの噛む力を伸ばすためには、どのような食べ物を与えればいいのか悩んでしまいますよね。最初はりんごや梨など、歯ごたえのいい果物から始めてみてはいかがでしょう?
果物に慣れてきたら、次はきのこやコンニャクなどの弾力のある食べ物を取り入れてみてくださいね。奥歯ですりつぶすように噛むトレーニングができますよ。ほかにも、下記のような食べ物を積極的に取り入れてもいいですね。
★タケノコ・ごぼうなどの根菜
★ほうれん草などの葉物野菜
★アーモンドなどのナッツ類
噛む力を鍛える調理のポイント
子どもの噛む力を伸ばしたいなら、調理方法にも工夫してみましょう。具材を普段よりも大きめに切ったり、歯ごたえが残るように火を通したりするだけで、良いトレーニングができるはずです。
また野菜を切るときは、繊維に沿って切るようにしてみてくださいね。
ガムやグミの活用
子どもがガムやグミなどをのどに詰まらせずに噛むことができるようなら、咀嚼トレーニング用のガムやグミを使ってみてはいかがでしょうか?私の娘も歯医者の定期健診で顎の発達の遅れを指摘され、ガムを噛む訓練をしています。
ただトレーニング用のガムやグミに配合されているキシリトールは、食べ過ぎるとお腹が緩くなる可能性があるので注意が必要です。いきなりたくさん食べさせずに、初めは少量から様子を見て与えることをおすすめします。
我が家で使っているのは、かかりつけの歯科で薦められた「ポスカF」というガムで、なんと初期虫歯対策としても効果が期待できるのだそうです。一般的なガムと比べて味が長持ち
するので、子どもも長時間しっかりと噛み続けてくれています。
子どもの「噛む力」を伸ばすための”5つ”の注意点
子どもの噛む力を鍛えるため、以下のような点に注意しましょう。
1)一口30回噛むことを意識する
噛む力を鍛えるためには、強く噛むよりも噛む回数を増やす方が効果的だといわれています。顎をしっかりと動かして噛むことで、顎の周辺の血液の流れが良くなり、筋肉に良い刺激を与えられるのだとか。
噛む回数を増やすことは、簡単そうに見えて実は大人でも難しいもの。ゲーム感覚で数を数えるなど、子どもが楽しく実践できるように工夫が必要かもしれません。
2)歯を上下左右に動かす
「噛む」というと、歯を上下に動かすイメージがあるかもしれませんが、上下だけでなく歯を左右に動かすことも大切です。最近は歯を上下に動かして噛むことしかできない子どもが増えているそうなので、顎を左右に動かし、食べ物を奥歯ですりつぶすように噛めているチェックしましょう。
3)姿勢よく座る
噛む力に姿勢は関係ないように感じられるかもしれませんが、姿勢が悪いと身体に力がきちんと入らないため、しっかり噛むことが難しいといいます。そのため、食事中は子どもが姿勢よく座れる環境を整えてあげましょう。
食事するとき、椅子に座ると足がつかないようなら、踏み台などを使って足が付く状態にしてあげてくださいね。足元が安定していないと、姿勢を安定させることは厳しいでしょう。
4)片噛みを放置しない
顎の発達のためには、左右両側の歯をしっかりと使うことが大切です。どちらか一方の歯だけを使っていると、顎の発達を阻害してしまいかねません。さらにか噛み合わせが悪くなったり、顔や姿勢が歪んてしまったりする可能性も考えられます。
子どもが片噛みをしているかどうかよくわからないときは、硬いものを食べさせてみましょう。それでもわかりづらい場合は、舌を「べー」と出させてみてくださいね。舌がまっすぐ下を向いていれば両側の歯を使えていますが、曲がっているようなら曲がっている方の歯で噛む癖があるかもしれません。
子どもが片噛みしているようなら、咀嚼訓練用のガムやグミを活用し、普段使っていない方の歯を使う練習をしましょう。食事中に指摘すると、食事自体がストレスに感じられるかもしれないので注意してくださいね。
5)水やお茶で流し込まない
子どもが食事をしているとき、水やお茶などの飲み物で流し込むように食べてはいませんか?流し込みが癖になってしまっている場合は、食事中に飲み物を出さないようにするのも一つの方法です。
飲み物は食後に出すようにしたり、汁物などを用意して食事から水分をとれるように献立を工夫したりすると、流し込む習慣を改善することができるかもしれませんね。
まとめ
子どもの噛む力は、一朝一夕で鍛えられるものではありません。根気強いトレーニングが必要になりますが、子どもの顎をしっかりと発達させるために親子で頑張ってみてはいかがでしょうか?