「いい子症候群」とは?いい子症候群の特徴と要因・対処法
いい子症候群とは?
子どもが親の思うような「いい子」であろうとして、親の顔色をうかがい、やがて心に問題を抱えてしまうことをいいます。
では、どんな子どもが「いい子症候群」になりやすいのでしょうか?
一般的に、第1子がなりやすいといわれていますが、少子化で、ほとんどの子どもが長男か長女です。
そして、最近ではひとりっ子が増えたために、いい子症候群が増えているといいます。
「いい子症候群」4つの特徴
(1) 自分から積極的に「~したい」と言うことがない
親がどう思うか、思われるかが何よりも優先され、自分の気持ちを後回しにしてしまうため、園や学校に行っても、周りから「自分は何を期待されているのか」と、先生や友だちの顔色を常にうかがうような受け身の姿勢になります。
言い換えれば、他の誰かが「~したい」と言うのを待ってしまい、追従する姿勢になります。
(2)「No!」「イヤだ!」と言えない
日頃から親に抵抗したりする態度が育っていないので、いじめられても、はっきり拒否したり抵抗できません。
(3)感情を表に出すことが下手
周囲の期待に応えることばかり考えて育つと、自分が本当はどうしたいのか、今、どんな気持ちでいるのかを伝えることができなくなります。
「腹が立つ」「悲しい」「嬉しい」「悔しい」など、自分の気持ちをうまく表現できません。
(4)指示待ち人間
親の指示や期待に応えることばかりすることに慣れてしまい、指示ががないと、どうしてよいかわからず、とても不安になります。
そして、自分の気持ちが自分でもよくわからないので、小さな決断も自分一人ではできません。
たとえば「クリスマスのプレゼント、何が欲しい?」と聞かれても、「本当に欲しいものを言ってもいいのかな?」「どう答えたら、パパやママが喜ぶかな?」と考えてしまいます。
いい子症候群による将来の問題
幼少期に親の前で「いい子」を続けていると、思春期になって親の目の届かない場所で溜まったストレスを発散させたり、友だちをいじめたり、先生の言うことを聞かずに困らせたりするような問題につながりやすくなります、
そして、成長後もアダルトチルドレンの要因になりやすいと主張する専門家もいます。
アダルトチルドレンとは、子どもの頃に親との関係(親の不仲・貧困・過干渉・過度の期待など)で何らかのトラウマを負ったと考えている大人のことです。
子どもの頃に自分らしくさせてもらえない体験を重ねることで、大人になってからも、人生自体に空虚感を持ってしまったり、職場や家庭などの人間関係で壁にぶつかりやすくなったり、たくさんの問題を抱えてしまいいます。
子どもが「いい子症候群」になる要因は?
ここで、日常生活の中で、知らず知らずのうちに親が(時に子ども本人が)作っている「いい子症候群」の要因(チェックポイント)を見てみましょう。
- 親の価値観を押し付けていませんか?
- ほめすぎていませんか?
- 感情的に叱っていませんか?
- 子どもに期待していることが、過度になっていませんか?
- 「あなたのためを思って言ってるのよ」と発していませんか?
皆さんは、どうでしょうか?子どもとの普段のかかわり方を振り返ってみましょう。
親が子育てで自分の欲求を満たそうとしてしまうことが、「いい子症候群」の子どもを作ってしまう最大の原因です。
子どもは親が不機嫌になったり、怒ってしまうのが怖くて、「嫌だ!」とは言えず、言うことを聞きますが、このような状態が続くと、子どもはのびのびと、自由に、子どもらしく過ごすことができません。その結果、心の中にストレスを抱え込んでしまいます。
ストレスを抱え込んだまま成長すると、反動として突然キレたり、親を困らせるような問題行動を次々と引き起こしたりするケースも少なくありません。
先ほど、時に子ども自身が「いい子症候群」をまねく要因を作ってしまうといいました。
元来、子どもは親の庇護のもとで、生きています。そしてアタッチメント(愛されたい)を求め、褒めてもらうと嬉しくてたまりません。
それ自体、決して悪いことではありませんが、過剰になると自分の気持ちを素直に表現することが抑えられ、自分を見失ってしまいます。親は、子どもがそうならない関わり方をしていく必要があるのです。
「いい子症候群」にしないために親ができる”3つ”のこと
わが子を「いい子症候群」にしないためには、親の態度を変える必要があります。
まず、親と子どもは別人格であることを心に命じ、親の価値観や期待を押しつけたり、子どもの欲求を先取りしたりせず、「子どもには子どもの人生がある」という認識をもつことが重要です。
具体的に見ていきましょう。
①小さなことでも、子どもの意思を尊重する
たとえば、今日はどんなおもちゃで遊びたいか、自分で決めさせる習慣をつけましょう。
②親の価値観や期待を押しつけない
厳しすぎるルールや約束事を押しつけると、子どもはその「型」にはまって抜け出せません。進路に関しても過剰な期待はやめましょう。
③子どもの欲求を先取りしない
子ども自身が「~したい」と意思表示するまで待ちましょう。ついつい親は、「~~ちゃんは・・・したいのよね」「~~が欲しいのよね」などと先取りするのは慎みましょう。
「~したい」「~が欲しい」と、子どもが自分で決断できるようにさせてあげると、子どもに自己肯定感が育まれ、自信につながります。
さいごに
どこへ連れていっても「いい子ですね」と褒められる、わがままを言って親を困らせるようなことがない「いい子症候群」の子どもが増えていると聞き、読者の皆さんはどのように感じられたでしょうか?
実は、空気を読もうとするあまりに、自分というものがわからなくなっているかもしれません。
幼少期に子どもたちが無理をし、ストレスをため、そのまま成長すると生きづらさを抱えてしまいがちであることをお伝えしました。
是非、この記事を機に、子どもへの対応の仕方や声かけ、そして親子の関係性などを見直すチャンスにしてくださいね。