赤ちゃん返りの原因と向き合い方。上手な対処法とは?
赤ちゃん返りとは?
子どもが着替えや食事など、今まではできていたことができなくなり、年齢よりも幼い行動をとることを「赤ちゃん返り」と言います。赤ちゃん返りはさまざまな要因で起こりますが、大きな二つの原因について見ていきましょう。
赤ちゃん返りの原因①:お母さんの妊娠や出産
赤ちゃん返りの多くは、お母さんが下の子を妊娠したり、下にきょうだいが生まれたりすることで起こります。
今まで自分に向けられていた親の愛情が、自分ではない下のきょうだいに注がれることで、今までは感じたことのない嫉妬心や寂しさなどの感情が沸き起こるのはごく自然なこと。
「もっと自分を見てほしい!」
「赤ちゃんにお母さんをとられた!」
という気持ちから、赤ちゃん返りが起こると言われています。
赤ちゃん返りの原因②:環境の変化
ほかにも、保育園や幼稚園などに入園したり、引っ越しをしたりと、これまでと環境が変わることで赤ちゃん返りする子もいます。
環境の変化は、大人でも少なからずストレスを感じてしまうこと。子どもなら、環境の変化でストレスを感じてしまうのは当たり前の姿と言えます。
そんなとき、心を許している大人に、赤ちゃん返りして甘えたくなるのも頷けるのではないでしょうか。
赤ちゃん返りの体験談。どんな行動が見られる?
続いて、赤ちゃん返りで見られる行動について紹介していきます。
できることを甘えるようになる
着替えや食事など、自分でできることを大人に甘えるようになるのは赤ちゃん返りの典型と言えるでしょう。
「食べさせて」とか「服を着させて」などの甘えは、「もっと僕・わたしにかまって!」という欲求の表れ。自分の存在意義を確かめるための愛情表現なのです。
お母さんが下の子のお世話で大変なときは、つい「今まではできていたのに」とか「自分でできるでしょ」などと言いたくなるところですが、上の子の甘えにもしっかり向き合ってあげられたら良いですね。
スキンシップが多くなる
赤ちゃん返りで、抱っこをせがむ回数が増えたり、おっぱいを飲みたがったりとスキンシップが多くなる子もいます。
下の子が生まれる前は、好奇心のままに動き回って追いかけるのが大変だったという元気な子が、赤ちゃん返りで借りてきた猫のようにお母さんにべったり…なんてことも。
今までは当たり前に自分に向けられていた親の視線が、新しく生まれてきた下の子に向くことにより、嫉妬心や寂しさが生じることから起こります。
しっかりスキンシップをとることで、子どもの心を満たしてあげましょう。
夜泣きやおねしょが増える
なかには、夜になると夜泣きしたり、おねしょが増えたりする子もいるでしょう。
日中はあまり行動が変わらず、大人から見て好ましい行動をとっている子も、表には出さない葛藤を抱えていることがあります。赤ちゃん返りによる夜泣きやおねしょは、そんな子どもの頑張りの副作用なのかもしれません。
一時的なことと捉え、おおらかな心で受けとめてあげたいものです。
赤ちゃんに叩いたり意地悪をする
なかには、赤ちゃん返りで下の子を押したり叩いたりと、意地悪をしてしまう子も。
親から見て望ましくない行動ですが、まだ自分の気持ちを巧みに言葉にして伝えられない子どものすること。本人も相当困っているのだと察してみてください。もちろん、叩くという行為は肯定できません。
また、赤ちゃんに怪我がないように工夫も必要です。その上で、過度に叱ることなく、赤ちゃんを叩きたくなるくらいに寂しいんだね、と気持ちを理解してあげましょう。
赤ちゃん返りの対処法は?
赤ちゃん返りは、大人からすると困る行動に捉えられがちですが、実は子どもと親の間の信頼関係があるからこそ起こること。
決して、親の愛情不足で起こるのではありません。赤ちゃん返りをしている子どもには、満足するまで甘えさせてあげるのが大切です。
ここからは、赤ちゃん返りの対処法を詳しく見ていきましょう。
スキンシップを多めにとる
上の子が赤ちゃん返りで甘えてくるときは、その甘えを突き放すのではなく、しっかりと受けとめてあげるのがおすすめです。
下の子を抱っこするのと同じくらい、上の子も抱っこなどのスキンシップを多くとってあげましょう。
子どもを膝の上にのせて絵本を読んだり、手を繋いで散歩したりと、肌の触れ合うスキンシップを今まで以上にとることで、子どもの心は安心して満たされます。
赤ちゃんのお世話をする前に上の子に聞く
赤ちゃんが泣いたら、「赤ちゃんにおっぱいをあげてもいい?」とか「おむつを替えてもいい?」というように、上の子に聞いてあげるのも効果的です。
赤ちゃんが泣くたびにお母さんの心が赤ちゃんの方に向くため、赤ちゃんの泣き声に嫌悪感を示してしまう子もいます。赤ちゃんが泣いたときに、上の子にも一声かけてあげると、「お母さんは自分のことも見てくれているんだな」と安心感を得ることができるでしょう。
子どもが自分の存在意義を認められたら、自然と下の子をかわいがる気持ちが芽生えてくるもの。
「お母さん、赤ちゃんが泣いているよ」とか「おっぱいをあげて」といったように、自分から赤ちゃんのお世話を促してくれるようになるかもしれません。
上の子と向き合える時間を作る
家族に協力してもらって、上の子とお母さんが二人だけで過ごす時間を作るのもおすすめです。
お買い物に行ったり、近所を散歩してみたり、少しでもいいのでお母さんを独り占めできる時間を作ってみましょう。
その時間は、赤ちゃんではなく上の子の話をしっかりと聞いてあげて、「お母さんはあなたのことを見ているよ」、「いつもありがとうね」などの子どもの心を満たすような声掛けができたら良いですね。
お兄ちゃん・お姉ちゃん心をくすぐる
下に赤ちゃんが生まれたり、幼稚園や保育園に入園したりすることは、子どもが成長のステップを踏んでいるということ。
赤ちゃん返りで幼い自分に戻りたくなる気持ちと、成長した自分を誇らしく思う気持ちの間で揺れ動きながら、子どもは少しずつ成長していくのです。子どもにとっても、自分の成長は喜びや自信となります。
折に触れて「こんなことができるようになったなんて、さすがお兄ちゃん・お姉ちゃんね」と、あたたかく声をかけて成長を喜んであげましょう。
小さい頃の写真やビデオを見ながら、子どもの成長したところを話してあげるのも良いですね。大好きなお母さん・お父さんから認められることで、子どもの自信がついていきますよ。
このとき、「もうお兄ちゃん・お姉ちゃんでしょ!」と突き放してしまうのは逆効果。下に赤ちゃんが生まれたことで、上の子が一気にお兄ちゃん・お姉ちゃんに格上げされてしまうのですが、実際は弟や妹との関わりのなかで徐々にお兄ちゃん・お姉ちゃんらしく成長していくもの。
赤ちゃん返りで甘えたくなる気持ちも、肯定的に捉えてあげましょう。
お母さんもリフレッシュすることをお忘れなく
産後のお母さんは、ホルモンの影響でさまざまな感覚が研ぎ澄まされた状態になります。
さらに、産後で体調が戻っていないなか、赤ちゃんのお世話に上の子の赤ちゃん返りと…休む間もなく目まぐるしい日々を送っているお母さんも少なくありません。
お母さんの精神状態は、子育てや家族の雰囲気に大きく影響します。お母さんが疲れている状況だと、子どもの赤ちゃん返りに余裕をもって対応できませんよね。だから、お母さん自身がストレスを溜めず、息抜きの時間を確保するのもとても大切。
我が子のことを思うが故に頑張りすぎてしまうお母さんこそ、リフレッシュする時間を意識的に作るように心がけてみてくださいね。
さいごに
子どもの赤ちゃん返りの原因と対応法について、お伝えしてきました。
一見、子どもの行動が退行しているように見える赤ちゃん返りですが、それも成長のための自然な心の反応。まだ小さい子どもの葛藤から生まれる愛情表現と捉えたら、もっと肩の荷を降ろして対応できるのではないでしょうか。
心が満たされていれば、子どもは自ら正しく成長していく力を持っています。赤ちゃん返りの対応に一番大切なのは、子どもに対して「あなたが大好きだよ!」と心と体で示してあげることに尽きるでしょう。