子どもの興味を広げる部屋作り!好奇心が刺激される5つのポイント
子どもの興味を広げる部屋とは?
子どもの興味を広げる部屋とは、一言でいうと小さな博物館のような部屋。
そうは言っても、展示物がたくさんあるということではありません。
具体的な特徴は、次の5つです。
- 興味の種がある
- 興味の種が子どもの視界に入る場所にある
- 興味の種に関心を持ったらすぐに手に取ることができる
- 興味の種を手に取ったら自由に遊ぶことができる空間がある
- だしっぱなしOKの空間がある
それでは、この5つのポイントについて、より詳しく説明しましょう。
1)興味の種がある
興味の種とは何でしょうか?
幼児期の子どもにとっては、身の回りの物全てがそうであるとも言えますね。
しかし今回は、特に子どもの好奇心を刺激し、興味を広げるツールとしての役割が大きい、おもちゃと本について考えましょう。
おもちゃと本と言っても、なんでもいいわけではありません。
選ぶポイントは「子どもが今使っているもの」。
なぜなら、「子どもが今使っているもの」は「子どもが今興味を持っているもの」だからです。
破損しているもの、部品を紛失してしまって遊べないもの、対象年齢を過ぎたもの、まだ対象年齢に達していないものは、処分をするか、別の場所に移動します。ただし、対象年齢に該当していなくても、子どもが楽しく使っていたら出しておいて大丈夫。
一方で、まだ使える状態にもかかわらず、子どもが興味を示さなくなったものは移動します。「高かったから」「誰かに譲るかも」「売りたい」などの理由でとっておく場合、物置やクローゼットの中などの見えない場所へ。また使いたい場合は、しばらく経ってから出してくればOKです。いずれの理由にしても、今使っていないものは、見えない場所に移しましょう。
しかし、今使っていなくても、置いておいてほしいものがあります。それは「親が使ってほしいもの」です。
たとえば、心身の発達に効果的だと言われる知育玩具や絵本。結局最後まで遊ばなかったという可能性もありますが、今は興味を示さなくても、いつ手に取る瞬間が訪れるかは分かりませんし、しまい込んでしまっては、その瞬間は永遠に来ることはないからです。
つまり、幼児期の子どもにとっては「興味の種」=「子どもが今、使っているおもちゃと絵本」「親が使ってほしいおもちゃと絵本」ということであり、1日のほとんどを過ごす場所(多くの場合はリビング・ダイニングだと思います)は、そのような興味の種だけを置くようにします。
2)興味の種が子どもの視界に入る場所にある
次に、置いておくと決めたおもちゃと本を、子どもの視界に入る場所に置きます。
具体的には、子どもが普段過ごしている場所。そしてその中でも、使う場所の近くです。
たとえば、本を収納する本棚は、ゆっくりと落ち着いて読書ができる場所の近くに置きます。ソファに座ったとき、自然に目に入る場所だとベストです。
以前、実際に筆者が整理収納の仕事で伺った家の例を紹介します。
その家では、本はソファからずっと離れたリビングの角、それも扉を閉めたクローゼットの中にありました。
ソファに座った時に目に入るのは大きなテレビの画面。本を読もうと思ったら、わざわざ立ち上がり、クローゼットまで行き、扉を開けて探す必要があります。
これでは、読書をするのが面倒になり、本は存在しないのと等しくなっていきます。本に触れる機会が増えるはずはありません。
また、おもちゃを箱に収納する場合、インテリアを重視して、中身が見えない箱に蓋をすると、子どもにとっては視界に入りづらくなります。
おすすめは、透明か半透明の中身が見える箱。子どもの視界に入りやすくなり、自然と手に取る機会が増えます。部屋が雑多に見えて嫌だと感じる場合、親が許容できる範囲内で、できるだけ子どもに寄り添った方法を選びましょう。
大切なことは、おもちゃと本を、生活の中で自然と目に入る場所に置き、子どもと触れる機会を増やすことです。
3)興味の種に関心を持ったらすぐに手に取ることができる
たとえおもちゃと本を視界に入る場所に置いたとしても、「あれはなんだろう?」「触ってみたい」「遊んでみたい」と子どもが関心を示した時に、すぐに手に取ることができなければ、せっかくの興味の芽を摘んでしまいます。
親が毎回取ってあげるのは負担ですし、忙しくてすぐには対応できないこともあるでしょう。興味の種は、「遊びたい!」「読みたい!」と思った時に、すぐに子ども自身が手に取ることができるように収納することが大切です。
ここで意識しておきたいのは、ゴールデンゾーン。
ゴールデンゾーンとは、一般的に立った時の目の高さから腰までの、自然に視界に入り、手が届きやすい範囲を指します。
このゴールデンゾーンを中心に、おもちゃや本を置いていくようにしましょう。
筆者の家には、小学生の子どもが2人、幼稚園児が1人。それぞれの身長によってゴールデンゾーンは当然変わってきます。たとえば、本棚に収納する本は、小学生の本は上の方に、幼稚園児の本は下のほうに、子ども達全員が読む本はその中間に、というようにそれぞれの子ども達が手に取りやすい場所に置いています。
さらに、本棚はリビングのソファに座った時、自然に視界に入る場所、かつ、手を伸ばせば届く距離にあります。読書のハードルがとても低いのです。
このように子どもに合わせて置く位置を調整することで、そのおもちゃと本を手に取る頻度が変わってきます。
さらに、取り出しやすく収納することも大切。
「買った時の箱から、取り出しやすいカゴに入れかえる」「扉を付けずにオープン棚にする」「ざっくり入れても全て入る大きめのカゴを用意する」など、さっと手に取って遊べる工夫が必要です。
買ったままの箱に丁寧にしまって綺麗に棚に収納しても、子どもが開けるのを面倒くさがって使わなければ意味がありません。
大切なことは、そのおもちゃにたくさん触れて遊んでもらうこと。
きれいに箱をとって置くことでも、見栄えよく収納することでもありません。
遊ぶ、読書をするハードルを極力下げた収納にしましょう。
4)興味の種を手に取ったら自由に遊ぶことができる空間がある
先ほどの「使う場所の近くに置く」とも関連していますが、子どもがいざ絵本やおもちゃを手に取った時に、すぐにその場で適切に遊べる、あるいは読書ができる空間を確保することが大切です。
たとえば、線路をつなげて電車を走らせるプラレールというおもちゃは、広いスペースが必要です。
プラレールを収納している箱を持ち運ぶのは、子どもには重くて面倒なので、その箱の前で、線路を広げて遊んでしまうことが多いと思います。そのため、通路やドアなど、ふさがれては困る場所の近くにプラレールの箱を置くと、その周辺がプラレールに占領されてしまうという事態が発生。
親は「あっちでやって!片づけて!」とイライラし、子どもはせっかく集中して遊んでいた糸がぷっつりと切れてしまいます。
プラレールのような、広げて遊ぶおもちゃは、それができるだけの広い空間の前に置く必要があります。
5)だしっぱなしOKの空間がある
もし可能であれば、おもちゃや絵本を出しっぱなしにしてもOKな空間を確保するともっと良いでしょう。
遊びは連続しているものであり、それによって、広がりを見せていくものです。大人の仕事とは違うので、「19時になったからハイ終了、片付け。次の日はまた出して続きをして。」という具合に区切ってしまうことはできません。
筆者の家で子ども達がよく遊んでいるピタゴラスプレートという知育玩具の例を紹介しましょう。
特殊な磁石がはめ込んであり、プレート同士がくっつくので様々な立体を作ることができる知育玩具です。いったん3人がこのピタゴラスプレートで遊びだすと、時間も場所もたくさん使います。家や城を作り、そこに人形が集まり、なぜか懐中電灯も持ち出して、別のブロックのおもちゃもつながって…というように、どんどん広がっていきます。
当然、一日では終わりません。何日もかけて作って壊してまた作って、大きくしたりバラバラにしたり、それを繰り返し、大体1週間くらいで飽きて終わりになります。終わった時は大満足。子ども達は思う存分遊んだなという気持ちになります。
これを、1日ごとに片づけて区切っていくと、とても子ども達にやりきった達成感や、創造を楽しむ力、集中して作る力は育まれないでしょう。
出しっぱなしにして、連続して遊ぶことができる空間を確保することで、「こうしたい!」「こうしたらどうなるの?」と興味を伸ばしていくことができるのです。
まとめ
ここまで読んで、「自宅には余裕のある空間はない」と思われた方もいるのではないでしょうか?おもちゃで既に部屋がいっぱいという方もいるかもしれませんね。
しかし、おもちゃと同じように、自由に伸び伸び遊べる空間も幼児にとっては大切です。おもちゃを1つ購入したら、できれば、それで思い切り遊べる空間も確保してあげて下さいね。
そのためには、部屋の中の使える空間に合わせて「今」に焦点をあてたおもちゃと本を選び、量を調整することが重要です。
今回、5つのポイントを紹介しましたが、まずはできる範囲で気軽にとりいれてみて下さい。お子さんの興味が伸びることを願っています!
著者:松本真子
小5男子・小4女子・年長男子の3児の母です。片づけ好きが高じて整理収納アドバイザー1級を取得。個人宅に片づけに行くかたわら、ライターとしても活動しています。現在、中学受験勉強まっただ中の長男を筆頭に、子供達の家庭学習をサポート中。親子ともに楽しくできる知育・教育を心がけています。