我が子が「特別支援学校」に通うと母親の生活はどうなる?
近年、特別支援学校に通う子どもが急増中
最近は少子化の影響により、子どもの数自体は年々減少傾向にあります。しかし、反対に特別支援学校に通う子どもは急増中です。
平成29年度の調べによると、特別支援学級に通う生徒児童数が平成19年度に比べて約2.1倍も増加したそうです。特別支援学校では教室不足も深刻化しているほどです。
最近では、公共放送で障害者情報バラエティや手話ニュース、発達障害についての番組が放送されています。障害を持った子ども、家族がいることが、珍しいものではない時代になりました。
なぜ、障害を持った子どもが増えたのか、その理由はまだはっきりとは解明されていません。ワクチン接種の副作用や食品添加物の害、空気中の汚染物質の影響、高齢出産の増加などが関係しているとも考えられます。
しかし、それぞれの専門家の意見がバラバラで、何が本当に障害児増加と関係しているか、明確には解明されていない状況です。
責任感のある真面目な母親だと、自分が妊娠中の生活が悪かったから子どもに障害が出てしまった等、自分を責めてしまいがちです。障害児が増えた原因も、まだ解明されていませんので、「○○が悪い」など決めつけたりしないように心がけましょう。
生まれてきた我が子にとってベストな環境を整えることに気持ちを向けることが大切です。
学校への送迎に時間がかかる
特別支援学校は、お住いの市区町村に1つまたは複数あることが多いでしょう。しかし、子供の障害の種類と家から近い特別支援学校の専門が違うケースもあります。
その場合、例えば子どもを学校に通わすために片道1時間以上かけて送迎する可能性もあるのです。
以下が、特別支援学校で主に分けられている障害種別5種類です。
特別支援学校の障害種別5種類
- 視覚障害者
- 聴覚障害者
- 知的障害者
- 肢体不自由者
- 病弱者(身体虚弱者も含む)
それぞれの支援学校で、専門的な障害種別があります。例えば、元聾学校の特別支援学校であれば、聴覚障害の子どものために手話ができる教員が多く在籍しています。なので、通常の幼稚園、保育園、小学校のように家から近い学校を選ぶのではなく、子どもの障害の特性に合った学校を選ぶことになると思います。
学校によっては「寮」がありますが、これは中学部、高等部からが対象である場合が多いです。支援学校の幼稚部、小学部は車やバス、電車などを利用して家族が送迎をする場合が多いのを知っておきましょう。
子ども同士、母親同士の人間関係が濃厚
幼稚園設置基準では「1学級の幼児数は、35人以下を原則とする。」と定められています。なので、通常は幼稚園1クラスに30人前後の子どもが一緒に生活して過ごします。
特別支援学校の場合は、1人の幼児に対しての支援が手厚いことと、幼稚部から特別支援学校に通う子どもが少ないので、1クラスに数名しかいない場合も多いです。障害の軽重や種類、地域によっては、1クラスに我が子1人だけというパターンもあります。
同じ支援学校に通う同級生が少ない分、子ども同士、親同士の人間関係は濃厚になります。
人数が少ないので、引っ越しなどが無ければ、高等部を卒業するまでずっと同じメンバーになる場合もあります。
家から学校まで距離がある場合は、子どもが教室で過ごしている間、保護者控室で他の保護者と一緒に過ごすことになります。
同級生の子どもと親は、これから長くお付き合いしていくことを考え、よい関係を築いていけるように努めてください。子どもの障害が同じであったり、支援学校に通う環境が同じなので、なかなか日頃は人に話せない相談や思いを言い合える同士になれるかもしれませんよ。
家族で協力しあえる環境を作る
障害のある子どものいる母親は仕事がしたくても、仕事を辞めざる負えないことが多いです。
子どもにつきっきりで、孤独感や寂しさを感じる母親も多いそうです。育児が母親1人の負担にならないよう、夫やそれぞれの両親など家族にも協力してもらい子育てをするように心がけましょう。
自分の両親、または夫の両親の住んでいる家近くに引っ越して、どちらかの両親に協力を得るパターンが多いと感じます。
子どもの障害の種類や自治体によっては「移動支援」として「介護タクシー」が使える場合もありますので、ぜひ1度、自治体に確認をしてみてください。
実は、障害児のいる家庭の離婚率は、健常児世帯の約6倍といわれています。私が実際に総合支援学校で勤務していた時も、シングルマザーの保護者の方が多かった印象です。
基本的に民法第770条1項により、障害児がいることは離婚の理由にはなりません。
なので、夫が子どもの障害を理由に離婚を訴えても、裁判では認められにくいです。
離婚をすると、母親1人に育児面、金銭面、精神面で多大な負担がかかります。もし、パートナーから離婚を切り出されたら、まずは「児童相談所」「子育て支援センター」「弁護士」など専門家に相談することをおすすめします。
特別支援学校で良かったと思う
病院や児童相談所、子育て支援センター、学校などから「特別支援学校も考えるように」と言われると、ショックも大きいと思います。
我が子が特別支援学校に通うことで、育てるのが少し大変な子どもから、はっきりと「障害児」と決めつけられたような腹立たしさや「やるせなさ」を感じるかもしれません。
家族、親戚、近所の人、知り合いの人に、自分の子どもに障害がある事を、何度も伝えて精神的に疲れてしまうこともあります。障害の知識がなく、偏見などで心無いことを言われる場合もあるかもしれません。
しかし、特別支援学校に通えば、学校には同じような障害を持った子どもやその母親と知り合うことができます。
子どもの障害の種類や軽重の差も違い、それぞれの子どもに個性があります。障害の知識のある教員が、障害に合った授業対策をして指導をするので、通常学級に比べて子ども自身に負担やストレスもかかりにくいでしょう。
子どもの障害についての悩みがあるときにも、支援学校の教師や他の保護者に相談もしやすいのも大きなメリットです。
ただし、特別支援学校では人数の少ない同じメンバーとばかりの交流になりがちです。可能であれば、地域の行事やイベントに参加して、健常児の子どもたちと交流する機会も作ると良い刺激になると思います。
一方、子どもの性格や障害の種類、重さによっては逆にストレスになる場合もあります。無理強いはしないようにしましょう。
まとめ
我が子が特別支援学校に通うことになると、学校への送り迎えに時間がかかる場合があります。通常学級に比べて、同級生の数が少ないので子ども同士、母親同士の人間関係が濃厚になることを覚悟しましょう。同じ環境で頑張る同士にもなりうるので、良い人間関係を築けるように努力しましょう。
障害児をお持ちの方はシングルマザーが多いです。母親1人で、全てをしようとすると大きな負担になります。1人で抱え込まないよう家族で助け合える環境を整えましょう。
もし、困りごとなどがあれば児童相談所や子育て支援センターなどに相談に行けば、専門のスタッフにアドバイスがもらえると思います。母親自身、そして可愛い我が子に負担がかからないよう、よりよい日常生活、学校生活が送れるように工夫していきましょう。
著者名:aiko
美術教師を約6年間していました。結婚後に退職をし、現在は年子の息子たちの育児をしながら在宅ワークをしているママライターです。教育関係の保有資格は「保育士」「高等学校美術一種」「中学校美術一種」「高等学校工芸一種」「特別支援学校二種」を取得。母親の気持ちにより寄り添いながら、専門的な知識を分かりやすく記事にしていきたいです。