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コスタリカの幼児教育!「兵士よりも多くの教師を!」国家予算の30%を教育にあてるコスタリカ

ライター 村田 美子
2021/07/10 04:07
コスタリカってどんな国か知っていますか?中米の小さな国(日本の七分の一の国土と500万に満たない人口)、コスタリカの誇りは軍を保有していないことと、国民の高い識字率(97%)です。なんと国の予算の30%が教育に使われているのです。この記事では、中米一の教育普及率を誇るコスタリカの教育制度を概観し、保育環境や、どのような就学前教育がなされているのかをご紹介しましょう。

コスタリカってどんな国?

コスタリカ共和国、通称コスタリカは、中央アメリカ南部に位置する共和制国家で、南は太平洋、北はカリブ海に面しており、険しい熱帯雨林が広がる国です。Wikipediaによると、2013年のコスタリカのGDPは約496億ドルで、日本の愛媛県とほぼ同じ経済規模のようです。過去の主な輸出品は、コーヒー、バナナ、サトウキビ、パイナップル、メロンといったような農産品やアパレル製品が主でしたが、1990年代後半にインテルがコスタリカに進出したことで、コンピュータ部品の輸出構成比が大きく増え、ハイテク製品輸出国となりました。
これまで中南米は内戦が多く、コスタリカも昔は内戦状態で2000人以上の死者をだし、軍事費30%時代もありました。
しかし、1949年この軍事費を教育に充てること、すなわち兵士の数だけ教師をつくり、軍隊を廃止することを決定しました。それ以後、安定した民主主義国家になっています。国民の85パーセントが、ローマカトリック教徒です。

コスタリカの教育制度

2年間のプレパラトリアと呼ばれる就学前教育、6年間のエスクエラ(小学校)、5年間の中・高等教育コレヒオ(中等部3年・高等部2年)、そして大学教育のウニベルシダです。
在日コスタリカ大使館の資料によると、非識字率は2.4%(2011年)で、初等教育における就学率は、98.5%、前期中等教育は70.5%、後期中等教育は38.5%、高等(大学)教育は、23.4%です。
国の総人口に比して高等教育機関の数が多く、全国で53の大学があります。中でもコスタリカ大学(国立)の学生数約3.2万人、ナショナル大学(国立)の学生数約1.3万人は非常にハイレベルです。

コスタリカの就学前教育

コスタリカの憲法第78条で、就学前教育は義務とされ公立は無償です。公立の就学前教育施設、キンデルは4歳~6歳、私立の場合は乳幼児から入園できる保育園および幼稚園があります。
2018年から小学校入学の必須条件として2年間の就学前教育を修了していることが加えられましたが、住んでいる地域に幼稚園がない場合は免除されます。費用は,私立で平均月額約500USドル程度(5万円)と高額です。

コスタリカの義務教育

義務教育は13年間(就学前教育2年・小学校6年・中等部3年・高等部2年)で、小学校はすべての地域にあり、単位制で夜間も開校しています。
いろいろな事情で教育を受けられなかった人も、年齢に関係なく教育の機会が与えられています。このように、コレヒオとウニベルシダは勤労者にも広く開放され、授業は夜10時まで行われているのです。大学教育は奨学金の支給率も高いのが特徴です。
小学校から中等部への進学の時や、中等部から高等部へ進学するための入試はありませんが、試験の成績が悪いと小学生でも留年します。
公立の小学校では施設の不足から午前・午後の2部制もしくは3部制をとっているところが多いようです。
授業時間は小学校(2部制の場合)午前の部が7:00~12:00、午後の部が12:00~17:00、中等部は8:00~15:00です。
義務教育の学費は、公立がすべて無料です。私立は高額で、約1,200,000~約8,700,000コロン/年(23~170万円)です。
中等教育を終了できるのは約60%といわれ、特に貧困率の高いカリブ海側のリモン地域での就学率・卒業率の低さが問題となっています。
私立校では幼稚部を含めた一貫教育を行っているので,能力があれば同じ学校で高等学校まで修了できます。高等部卒業時には教育省が行う国家試験があり、そこで基準に達していなければ落第します。
教授言語はスペイン語により授業が行われます。科目はスペイン語、第2外国語は英語が主体で、一部ではフランス語も取り入れられています。

コスタリカの政府支出に占める公的教育費割合 国際比較(UNESCO)

2017年、30.15%のコスタリカは「兵士よりも多くの教師を」をスローガンに、 70年間、軍隊を持たずに非武装・中立を貫いてきました。
中米は世界有数の危険地帯ですが、国の予算を軍事ではなく、社会福祉や教育、環境保全に投じてきました。
人々の幸福感や環境の豊かさを尺度とする「地球幸福度指数」の世界ランキングでは、何度も1位に輝いています。
1948年に常備軍を解体した国がコスタリカですが、コスタリカは軍事予算をゼロにしたことで、無料の教育、無料の医療を実現し、環境のために国家予算を振り分けてきました。その結果、地球の健全性や人々の幸福度、そして健康を図る指標「地球幸福度指数(HPI)」2016の世界ランキングにおいて140ヶ国中で世界一に輝きました。
HPIはイギリスのシンクタンク、ニュー・エコノミクス財団(NEF)が発表する「地球幸福度指数(Happy Planet Index)」で、コスタリカは常に上位にランキングしています。2016年度も2017年度もコスタリカは1位でした。
筆者が読者の皆さんに是非見ていただきたいドキュメンタリー映画がありますので、次にご紹介します。

おすすめの映画 「A BOLD PEACE コスタリカの軌跡」2016年制作

それは、『コスタリカの奇跡 ~積極的平和国家のつくり方~』です。これは、1948年から1949年にかけて行われた軍隊廃止の流れを追いながら、コスタリカが教育、医療、環境にどのように投資して行ったのかを詳しく説明した映画です。
この映画を見ると、国家予算も資源も少ないコスタリカ人が世界一「幸せ」な理由がよくわかります。
 
国民の9割以上が軍撤廃に「賛成」しているそうです。コスタリカは軍事予算をゼロにしたことで、無料の教育や国民皆保険制度を実現し、環境のために国家予算を振り分けてきたのです。
その結果、地球の健全性や人々の幸福度、そして健康を図る指標「地球幸福度指数(HPI)」2016年、2017年の世界ランキングにおいて140ヶ国中で世界一なのです。

さいごに

国土の42%が農牧地、38%が熱帯雨林のコスタリカには、世界の生物種の5%以上が生息しています。そして、コスタリカは環境先進国として広く知られています。
国土の約4分の1(24%)が国立公園、自然保護区等の指定地域となっており、憲法で生態系の保全、生物の多様性、野生生物の保存、森林保護、水質保全等を保障しています。
コスタリカには、国全体に民主主義や持続可能性の考え方、フェアトレード思想というものが深く根づいています。学校教育でも、連帯や平和の価値を教えることに力が注がれています。
 
それに、素晴らしい環境先進国でもあります。国土の3分の1が自然保護区として守られていて、その中には世界でも有数の豊かな生態系が見られます。
「富める海岸」という意味を持つコスタリカですが、筆者はアメリカ留学中、鳥の蚤の研究をしていた恩師がサバティカル(教授の1年休暇)を過ごしていたコスタリカを訪れたことがあります。
開発途上国に一つで、決して国のすべてユートピアではありませんが、自然も人も豊かな国という印象を持ちました。今回、コスタリカの幼児教育、義務教育について執筆することで、改めてコスタリカの魅力を思い出したことが、大変うれしいことでした。
1948年に軍隊を廃止し、軍事予算を社会福祉に充て、国民の幸福度を最大化する道を選んだコスタリカの奇跡に迫ったドキュメンタリー映画もご紹介しましたので、是非ご覧ください。
このように、世界中の教育制度をご紹介していますが、どの国も工夫や努力を重ねて子どもたちの健全な育みを応援していることがわかり、筆者自身、大変勉強になります。
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