知育・幼児教育情報ならoriori

スイスの幼児教育事情。保育料は世界一!どうやって子育てする?

ライター 村田 美子
2020/11/15 02:11
スイスでは母親の70%が仕事をしています。仕事を続けるために子どもを保育園に預けますが、なんと保育料が収入の三分の一近く占めるほど高額です。小学校に入学しても、2時間の昼休みを家で過ごしますので、働く親にとっては大変厳しい状況があります。この記事では、スイスの保育事情を詳しくお伝えします。

スイスの子育て事情

スイスは中央ヨーロッパに位置する連邦共和制国家で永世中立国であることはよく知られていますね。人口は900万人に届きませんが、4つの公用語、4つの言語圏、26の州・準州で構成されます。州特有の独立性を持つことから、各州での教育制度にも特徴があります。
スイス国内には2千を超える保育所がありますが、9割が私立で、親からの保育料が運営費の大半を占めるため、大変高額です。そのため、ドイツの国境に近い家庭では、ドイツの保育園に子どもを通わせている家庭があるほどです。
スイスの大都市の私立保育所の保育料は1日あたり60〜150フラン(約6800〜17000円)。低所得世帯は州からの助成金援助が出るため、所得に応じて10フラン程度減額されたり、兄弟・姉妹割引もあります。
スイスでは少人数世帯が多く、女性1人あたりの出生率は1.47で、第一子を出産する平均年齢は30.9歳、4人に1人が結婚という形を取らずに出産しています。
スイス人の多くは、生後3か月ぐらいで乳児を保育所、保育ママ、祖父母、ターゲスムッターというベビーシッターなどに託します。
出産から8週間を過ぎると職場への復帰する人が多く、出産から14週間は1日最大196フラン(約2万円)が支給され、給料の80%が保証されています。
経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、群を抜いて保育料が高い理由は、GDPに占める保育施設(3歳未満受け入れ)への公的支出がスイスは欧州の諸外国に比べて少なく、保育に対する国への支援が遅れているためです。
それほど保育料が高い中で、スイスのパパやママはどのように子育てをしているのでしょうか?

自宅で子どもを預かる保育ママ

自宅で子どもを預かる保育ママは保育園と比べると料金的に手ごろとはいえ、1時間で5〜12フラン(600~1300円)です。保育ママは地域の団体に登録し、団体が保護者からの申し込みの受付などを行っています。

ホストファミリーの家に住む”オペア”

欧米諸国ではオペア(Au-pair)という制度があり、ホストファミリーの家に住み、オペアは現地の語学を学びながら子どもの世話をする若者のことです。
オペアに支払う賃金は、家族の人数とオペアの年齢で決まり、月額およそ700〜800フラン(8000~10000円)が目安で、オペアの労働時間は1日最高5〜6時間で週の上限が30時間と定められています。

ナニー(乳母)

子どもの世話をプロに任せたい場合はナニー(乳母)を雇いますが、ナニーの給料は資格の種類や経験によって異なり、フルタイム雇用の場合は月およそ3800〜5千フラン(42万円~56万円)と高額です。

ベビーシッター

スイス赤十字社では、各州の支部を通じ、全国各地で13歳以上を対象にベビーシッター講座を開き、講座を修了したティーンエイジャーのシッター料は1時間あたり7〜10フラン(1000円前後)です。

スイスの幼稚園事情

スイスでは幼稚園が義務教育で、州によって1~3年間と変わってきます。移民や外国人の子どもたちの小学校入学準備や早期語学対策の必要性から義務化されました。
幼稚園の規模は小さく、最大でクラスに約20人の子ども達を1人の先生が担当します。ここでは4歳から6歳の子ども達が一緒に過ごします。ドイツ語が不得手な子どものためにドイツ語の授業もあります。
幼稚園は義務教育であるため、検診・通院・病気以外の理由で休園することは禁じられています。ジョーカーターゲ(独:Jokertage)と呼ばれる「(公的に)お休みを取っても良い日」が設けられていて、事前に希望日を申請して許可が下りれば、その日にお休みすることができます。年間約3週間分のジョーカーターゲを利用することが出来ます。
公立幼稚園では、居住区域や外国人・男女の比率を計算された縦割り保育が実践されているので、同年齢だけでなく、様々な年齢間で交流を深めることができます。
幼稚園は午前中8:40~11:45で、自宅で昼ご飯を食べます。午後は13:30~15:00まで同学年の園児のみと過ごします。この時間に年長児は、スイスで日常的に話されるスイスドイツ語(Schwyzerdütsch)ではなく、小学校への入学準備として「標準ドイツ語(Hochdeutsch)」の訓練をします。

スイスの小学校

スイスの小学校制度は多くの問題点を抱えています。特に働く親にとっては給食がない点がネックになっているようです。
昼休みに2時間昼食時間を自宅でとるために子どもが帰宅します。このあたり、保守的なスイスの文化が見え隠れします。
日本のように給食を提供する公立小学校は少なく、スイス全体でも数校のみというのが現状です。私立の小学校には全日制をとっているところもあるようです。
学校は週5日制で、午後の授業がある日は週に2日ほどです。学期は2学期制で、1学期は8月~1月、2学期が2月~7月です。
9月後半の秋休み、クリスマスから年明けまでの冬休み、2月のスポーツウィークと呼ばれるスキー休暇、4月の春休み、6月後半から8月新学期までの夏休みと、年に5回も長期休暇があります。
インターナショナルスクールなどの私立小学校を除いて、スイスでは公立の学校は学費が無料です。
先ほど、スイスの幼稚園や小学校は2時間も昼休みがあると言いましたが、その間、校舎には鍵がかけられ、教師も生徒もいったん家に帰ります。働くお母さんには厳しいですね。
しかし、昨今の家庭を取り巻く環境の変化を受け、全日制学校(独語でTagesschule)の導入が一部で始まっています。全日制学校では、子どもたちは昼休みも学校に残り、校内で温かい給食をとることができます。 日本では当たり前のように提供される給食ですが、スイスでは多くのお母さんは民間の学童保育を利用しています。
全日制を採用していない学校では、学校の近くにある民間学童保育施設と提携し、始業前や昼休み、放課後に学童保育サービスを提供しています。親は事前申し込みが必要で、料金は所得に応じて異なります。

スイスの学童保育

当然ですが、スイスの親の多くは学校の授業時間の延長や、学童保育サービスを求めています。学童保育では温かい昼食の用意や放課後の面倒を見てもらえます。
でも、昼食のために友達と離れ、サービス担当者と一緒に学校の外にいくことは、子どもにとってストレスになったりもするようです。祖父母や隣人に協力を求める親もいます。
学童保育の保育料は非常に高額で、平均またはそれ以上の収入がある家庭の場合、学童保育サービスの利用料は一日70フラン(約7800円)がかかるのです。

さいごに

スイスでは時代の変化をよそに、授業時間外の学童保育を整えている学校は多くありません。そのため働いている親たちは、ほかの親と交代で子どもの昼食の面倒を見るなどしてやりくりしたり、保育ママを利用しているようです。
それにしても、収入の三分の一以上が保育料として消えてしまってもスイスの母親は働きます。万が一に備えて保険としての就労だということです。
記事では触れませんでしたが、スイスでは大学進学率が低く、約1割強だといわれています。スイスでは本当に何かを研究したい人だけが大学へ進学し、その他の人には優れた職業教育が用意されています。
コメント
コメントまだありません
oriori
orioriの最新情報を受け取ろう!
SNSをフォローしてね!
oriori
twitterシェアfacebookシェアlineシェア