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学習者主体の学びブレンディッド・ラーニング(BL)。メリット・デメリットと日本の状況

oriori編集部
2020/09/10 06:09
21世紀に入り、ネットの発達とデジタル機器の進化により社会の情報化、グローバル化が急速に進んでいます。そんな中欧米先進国では、大半の学校で「個別化」と「学習者主体」の教育が推し進められています。それは、「ブレンディッド・ラーニング(BL)」というもので、小学校から高校まで、生徒ひとりひとりのニーズに合わせた学習カリキュラムに沿って、生徒自身が計画から実践まで進められるように、授業の一部にオンライン学習をブレンド(融合)した教育法です。この記事ではBLについて詳しくご説明しましょう。日本でも既に取り入れられているBLの様子もお伝えします。小学校入学前のお子さんをお持ちの方、必見です。

ブレンディッド・ラーニング(BL)とは?

ホーン&ステイカー(2017)著『ブレンディッド・ラーニングの衝撃--個別カリキュラム×生徒主導×達成度基準を実現したアメリカの教育革命』によると、BLとは次の3つの要素を含む教育形態です。
1.少なくとも一部がオンライン学習から成り、生徒自身が学習の時間、場所、方法またはペースを管理する正式な教育プログラムであること。
2.少なくとも一部は自宅以外の監督者のいる教室で学習し、生徒は教師またはコーチがいる学校に通う必要があること。
3.学習内容は、カリキュラム全体の一部として機能するよう統合され、オンライン学習と対面授業が適切に組み合わされること。

ブレンディッド・ラーニングのメリット

生徒が自らきめたスケジュールで勉強ができ、指導者側が、学習者の進捗や理解レベルなどをデータで確認できることがメリットといえます。これまでの学校では、「学習が進んでいる生徒にとって授業は簡単すぎる」といったものや「学習についていけない生徒にとって授業が早すぎる」といった課題がありました。
ブレンディッド・ラーニングの場合には、「進んでいる生徒はどんどん進む」「ついていけない生徒は復習がしっかりできる」という個別化を実現することができます。
また、オンライン学習のみの場合のデメリットを解消することができます。具体的にご紹介しますね。

モチベーションの持続

オンライン学習のみの場合、たった1人でやるというのは「モチベーション」の面で非常に難しいです。すなわち学習の持続が難しいといわれています。確かに先生がいるわけでもないのでプレッシャーもありませんね。
ブレンディッド・ラーニングの場合には、対面授業もセットになっています。そして、対面授業には先生がいるため、そこで進みが悪い生徒は怒られることになりますし、そもそも授業についていくことが難しくなってきます。なので、個別学習時のモチベーションも生まれることが多そうです。

生徒同士の交流

オンライン学習のみの場合、個人で学習できることが強みな一方、生徒同士の協同学習を想定していません。その結果、生徒同士のつながり・交流が減ってしまい、学習効果が減衰してしまったり、気付きが共有できないといったような悪影響が出るかもしれません。
一方、ブレンディッド・ラーニングの場合には、対面授業が存在するために、それが解消されます。

質疑応答

オンライン学習のみの場合には先生がその場にいないことが多いです。生徒が気になったことやわかりにくかったことがあっても、即座に質問することができないのです。こういったインタラクティブ性のなさは、生徒にとって大きなデメリットです。
一方、ブレンディッド・ラーニングの場合には、対面授業でそれを解決することができます。また、事前のオンライン学習があるために、あらかじめ質問しておきたいことなどをストックすることができます。

オンライン授業化できるプロセスを対面授業でカバー

オンライン学習のみの場合、実技や実験などすべての授業内容を盛り込むことは困難です。対面授業が存在することにより、オンライン授業ではカバーすることができない内容を盛り込むことができます。

ブレンディッド・ラーニングのデメリット

ブレンディッド・ラーニングにもデメリットは存在します。

保護者の積極的なかかわりが必要

対面授業とオンライン授業で構成されているため、オンライン授業では家庭内でのサポートが必要になることが多いといわれています。例えば、子どもの学習計画立案のサポートやプロジェクト学習や職業学習の手伝い、そして子どもとの質疑応答など。
特に、「学習計画を立てる」ということについては、これまで学校で指定された教科書を使って、学校に行けば決められた時間割があり、黒板に書かれた先生の話をノートに書き写すといったような「受け身の勉強」が多かった日本の子どもたちにとっては、スムーズに行うことは難しいのではないでしょうか?
欧米に比べて日本のビジネスパーソンは残業も多く、育休のとりづらさもある中で、日本の共働き世帯にとってはデメリットといえるでしょう。

機器等の準備

オンライン学習も存在するため、それをやるためのパソコンや回線などの準備が必要になります。子どもたちが使ってもよい端末はあるのか?オンラインで動画を十分に流すことができるような回線容量はあるのか?など、追加の投資が必要になることがあります。

ブレンディッド・ラーニングの日本での取り組み

日本の学校教育では、今なお主流は集団指導ですが、新しい教育方法としてBLが注目され始めています。2013年あたりから「反転授業」を実施する学校が登場しています。反転授業とは、動画教材やオンライン教材を用いて自宅で内容を予習してから、学校での演習に参加することにより、深く学ぶという学習方法で、BLの一形態です。
佐賀県武雄市内の小学校では、生徒にタブレットを配り、算数と理科でBLを行っています。また、近畿大学付属高校では、英語の授業でiPadを活用したBLを実施しています。早稲田大学では、留学生向けの日本語教育にBLを導入し、効果があったという報告がなされています。
ブレンディッド・ラーニングの効果が比較的早く表れやすい科目は、小1から高3までひとつひとつ系統的に理解を積み上げていくことが必要な算数・数学です。なかでも、割合や速さなどを学習する小学高学年から、あらゆる数学的知識を総動員しないと解けない方程式を初めて学習する中学1年前後でつまづいている生徒は、理解できていない単元・領域を特定し、理解できるレベルまで遡って個別カリキュラムで集中的に復習すれば直ぐに追いつくことができます。

さいごに

2009年、アメリカ教育省は「オンラインと対面の要素をどちらも取り入れた指導は、対面もしくはオンラインだけで学習した場合に比べてより良い成績結果が出た」と、BLの効果を公表しています。しかし、BLは日本が明治以来、100年間、国策として進めてきた集団画一教育とは真反対の教育方法なので、公立学校では直ちに導入することは難しいでしょう。しかし、枠に納まらない子どもたちが「落ちこぼれ」たり不登校になったりしている現状をみると、対策が急務であることは明らかです。
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