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世界の育休事情!重要なのは育児に向かう親の姿勢。海外の科学的根拠と日本の現状を探る

ライター 村田 美子
2020/08/05 20:08
世界的な統計では、新たに母親になった人々の17.7%が、産後うつを経験していますが、「両親ともに休職して子育てをすると、母親が病院に行く回数が少なくなり、抗不安薬の必要性も低くなった」というアメリカの研究結果があります。一方、日本では「取るだけ育休」と言われるような、形だけの育休が問題になっており、父親が育休をとることへの母親の期待感が薄いのが現状です。この記事では、世界の育休事情をみてみましょう。

両親が育休を取るメリットは?科学的根拠

アメリカの研究では、子どもが生まれてから数カ月間、父親が家にいて一緒に育児に関わると、母親が出産に関連した症状で通院する割合は14%低く、抗生剤の処方率は11%低く、抗不安薬の必要性も26%低くなりました。
参考:スタンフォード大学、ペトラ・パーソン(Petra Persson)・マヤ・ロシン=スレイター(Maya Rossin-Slater)全米経済研究所(National Bureau of Economic Research)

恵まれている日本の産休・育休制度

日本では、産休制度として産前休業が出産予定日前の6週間、産後休業が出産の翌日から8週間(本人希望と医師が認めれば産後6週間)あり、出産した女性が対象です。
育休とは、子どもが1歳まで育児のために仕事を男女とも休める制度です。ただし「雇用されている」ことが条件なので、自営の人やフリーランスの人は、産休も育休も対象外です。
ちなみに、産休・育休は国会議員には認められておらず、小泉環境相も自主的に「育休」を取るという形で、法的には「対象外」です。
産休・育休をとると、収入が減ると思いがちですが、休業中は給付金がもらえ、実質収入の8割がカバーされます。
育休は原則として1歳までですが、都市部では年度途中で保育園に入れないことが多いですよね。その場合、「保育園に申し込んだが入れなかった」ことを証明する書類を出せば、2歳まで延長できます。
育休は両親が共に取得すれば、1歳2カ月まで取ることができます。さらに、パパ休暇制度といって、産後8週間内に父親が育休をとった場合は、希望すればもう一度育休が取れる制度もあります。(参考:2017年 改正育児休業法)
このように、日本の育休制度は世界的に見てもかなり恵まれていると言えます。
ちなみに、アメリカでは公的な育休制度がなく、育休中は無給です。たとえ、収入が一時的に減ろうとも、子育ては両親共に重要な任務である、夫婦で共に子どもを育てたいという意識がアメリカでは強いことが、先述したような研究結果に表れたのでしょうか?

日本の男性の育休取得率は?

現在、日本男性の育休取得率は、6.16%で、政府は2020年までに13%まであげることを目標にしています。
取得日数は「5日未満」が36.3%、次いで「5日以上2週間未満」が35.1%で、全体の71.4%が2週間未満という現状です。(参考:2018年度「雇用均等基本調査」厚生労働省)

日本の「取るだけ育休」問題って?

民間が2019年に行った約4000人の母親へのアンケート、「パパ・ママの育児への向き合い方と負担感や孤立感についての調査」の結果を見てみましょう。
それによると、育児休業を取得した500人の夫のうち、育児や家事に費やした時間が8時間を超えると答えた人が20.1%でした。1時間以下が17.7%、1時間~2時間が14.6%でした。つまり、3人に1人が、育休を取っても家事や育児が1日2時間以下でした。
これでは、「会社が勧めるから育休を取った」というポーズだけの「とるだけ育休」と揶揄されても仕方ありませんね。
調査の自由回答欄には夫に対する妻の不満・本音が良くあらわされていて、胸が詰まるほどです。
「育休を取っても夫は家でだらだらしていた」「結局、家事は自分がやっていた」「夫は自分が遊びに行くことに育休を使った」など、育休取得が夫婦間に溝を作ってしまったような結果になった家庭も少なからずあるのです。
「今後、夫(パートナー)に育休を取得してほしいか」との質問に対して、「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」が、47.5%で、育休取得を希望しない妻が半数近くいるという結果にも、筆者は驚きました。

海外の育休事情は?

北欧のフィンランドやスエーデンでは70〜80%の男性が育休を取得しています。フィンランドのサンナ・マリン首相が、両親がともに7カ月の育児休暇を取ることを承認し、2021年から7ケ月に延長されます。
この制度は、父親に新生児と過ごせる時間をより多く与え、母親の身体的健康はもとより、精神的健康を改善し、産後うつを回避することをねらっています。
ドイツでも長く「3歳児神話」が強かったのですが、2007年1月から新しい給付制度が導入され、ドイツ人男性の育休事情は大きく変わりました。2006年に3.5%だった男性の育児休業取得率は2015年に36%まで上昇したのです。
その結果、現在子どもがいないが、将来子どもを持ちたい若者の割合は2003年の49%から2013年に65%に増えました。出産後2~3年の女性の就業率も2006年の42%から58%へ上昇しています。(参考:連邦家族白書2017)

育休に関する二つの相反する意見

次に、日本の育休に関する二つの相反する意見をご紹介します。
まず、男が育児を「手伝う」という感覚に物申す日本の女性からの意見です。

女性からの意見

「女性からしてみると、「手伝う」のではなく、「共に育てる」という意識を男性に持って欲しい、そうでないと、100%育児を任せることができない。子育てはそんなに甘いものではない。子どもの病気などアクシデントがあったとき、必ずフォローしてくれるという信頼感と、継続的、主体的に動いてくれるかがネック」
一方で、ある男性は次のような意見を持っています。

男性からの意見

「家庭内では、家計の管理をはじめ、育児に関しても女性が主導権を握っている場合が多く、男性は育児に関して「何を、どうすれば良いのかわからない」、その結果、育児を「手伝う」しかできないのが現状だ」
夫婦間で、育児の役割分担の話し合いをしっかり行い、男性も新生児の世話の仕方など、育児スキルを習得する訓練が必要ではないかと筆者は考えますが、読者の皆さんはどう思いますか?
近年、育児休業の取得率100%を表明する日本の企業が増えていますが、わずか数日、しかも、それが「とるだけ育休」であるとするなら、かけ声ばかりで女性に偏っている家事・育児の解消にはつながりませんね。残念なことです。

さいごに

アメリカの研究は、新生児の世話ができる父親が家にいるというだけで、母親が精神的に健康でいられると発表し、一方、日本の民間調査の結果では、新生児を持つ母親の約半数が「父親が家にいることを希望しない」と答えたことを紹介しました。
小泉進次郎環境相が滝川クリステルさんとの子ども誕生で育児休業を取得していますが、日本の男性の育児休業取得率は、6.16%(2018年)と低いのが実情で、女性の80%が取得しています。
この記事ではドイツや北欧の現状もお伝えし、日本と欧米の子育て観の違いを考え、日本の「取るだけ育休」問題の原因も考えました。
日本では制度が意識より先走っている感がします。子育ては、夫婦が協力して行うのが当たり前、という意識が浸透してはじめて、世界でも恵まれた育休制度が生きてくると思います。
そのためには、男性/女性を問わず、育児に関するスキルを身につけて、子育てに関して夫婦間の役割を徹底して話し合うことが重要ではないでしょうか。
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