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「好奇心旺盛な子ども=考える子ども」の育て方!脳科学の視点から

ライター 村田 美子
2024/03/07 14:03
みなさん、好奇心というものが何種類かあることをご存じでしょうか?子どもは、幼児期に始まる質問期に、如何に大人が上手に対応するかによって、好奇心の芽の育まれ方や考える力の基礎作りの差につながります。今回は、伸びる子どもと親の特徴や、具体的にはどうすれば子どもの知的好奇心が育つのかを脳科学の視点からお伝えします。

伸びる子どもって?親にも共通の特徴がある?

これまでの筆者の教師経験から、伸びた子どもには以下のような、共通した特徴がありました。
 ・人の話を素直に聞ける子ども
 ・なぜ?と疑問に感じることが多く、好奇心が旺盛な子ども
 ・自分の言葉で、わからないことや、見つかったことを説明できる子ども
 ・親や教師から言われなくても、自主的、主体的に動ける子ども
 ・失敗を恐れず、新しい方向性を自分で探っていける子ども
 ・自分が自分で好きな子ども(自己肯定感が高い子ども)
伸びる子どもの親にも以下のような共通点が考えられます。
・落ち着いていて、楽しい雰囲気があり、人生を楽しんでいる親
・ほめ上手の親
・子どもの失敗を受け止められる親
・過剰に手を出しすぎず、子どもと適度な距離がとれる親
いかがですか?親として少し耳が痛い点もありますね。特に、過剰な干渉など、ついつい口と手が出てしまった経験をお持ちの読者も多いでしょう。次に、この記事のテーマである好奇心について詳しく見てみましょう。

好奇心って?好奇心の種類

好奇心は人間が新しい環境に順応したり、新たな人間関係を構築したり、新しい知識を学ぶのに必要不可欠なものです。まず、好奇心の種類から見ていきましょう。好奇心には以下の3つがあります。

① 拡散的好奇心

人間は目新しいものに惹きつけられ、新しい物や知識、経験、人間関係を求めたりします。これを心理学的に「拡散的好奇心」と言います。
拡散的好奇心は、特に子どもに多く見られる好奇心で、いろいろなことに対して生まれる好奇心です。子どもが新しいおもちゃを見て、飛びつくのだけれど、すぐ飽きてしまい、他の方に興味が移ってしまうことは、経験済みでしょう。
拡散的好奇心は、一つのことを深く、長く追及することはしないので、深い知識を得ることはできません。そのため、拡散的好奇心を発展させるためには、知ろう、学ぼうとする努力によって好奇心に方向性を持たせなくてはなりません。拡散的好奇心は、次に説明する知的好奇心と共感的好奇心の基礎になる重要な好奇心です。

② 共感的好奇心

拡散的好奇心の方向性が、人間に向かい、その人の考えや感情をより深く知りたいというのが「共感的好奇心」です。
共感的好奇心は他人への興味や関心を持ちやすい女性の方が比較的強いようです。「他人の考えを知りたい」「今、どんな気持ちなのか知りたい」、「その人はなぜ・・・なのだろう?」
という感情を指します。単なる噂話やゴシップは拡散的好奇心で、共感的好奇心ではありません。

③ 知的好奇心

知的好奇心は、拡散的好奇心によって興味を持ったことを、専門的知識にまで深め、積み重ねたいと思う好奇心のことです。この知的好奇心こそが、子どもたちの考える力を育み、伸びる子どもたちに導いてくれます。
表面的に知っただけでは物足りず、「もっと知りたい!」という学びへの意欲、原動力が知的好奇心ですね。知的好奇心の種は、人に聞いたり、図鑑やネットで調べたり、実物を見て知った結果、「そうなんだ!」「わかった!」がスタート地点です。それが、「もっと知りたい!」に繋がっていきます。
知的好奇心が旺盛で何かに無我夢中になり楽しさを感じている子どもの脳からは、神経伝達物質であるドーパミンが分泌されます。ドーパミンはやる気・意欲の源になったり、記憶力を高めたりする働きがあるので、知的好奇心が旺盛で何かに没頭することは、脳の活性化に繋がります。

子どもの知的好奇心を伸ばすために、親ができること

では、次に子どもの知的好奇心を伸ばすために、親はどんなことをしてあげたらいいのか考えてみましょう。

実物・本物に触れさせる

筆者が一番にお勧めするのが、子どもたちに本物に触れさせてあげる機会を作ってあげることです。
本物って??? たとえば、子どもが恐竜に興味を示したとしましょう。「なぜ、恐竜は絶滅したのだろう?」と疑問を持つ子どもなら、恐竜が展示されている博物館や、恐竜の街に一緒に行ってみるのはどうでしょうか? 子どもは図鑑や本から得られる何倍もの知識を、体験と共に得て帰ります。しばらくは、恐竜のことばかり話して、親が閉口するほどの熱心さを見せます。
その他、本物の楽器やコンサート、触って楽しむことができる美術館や動物園、食べ物を作っている工場に行って、自分も作る体験をしてみるなど、本物体験ができる場所はたくさんあります。旅も良い本物体験ですね。
本物のことを教育用語でリアリアとか、オーセンティクと呼び、注目を浴びています。
筆者の個人的な経験で恐縮ですが、娘が6~12歳まで、母と子のバイオリン教室に通っていました。丁度そのころ、「四季」の演奏で有名なイタリアの「イムジチ合奏団」が近くのホールにやってきたので、一緒にコンサートに行きました。6歳で聞いた、その本物の音は、大人になった後も、長く娘の心の中に残るものとなったようです。

自然に触れさせる

今の子どもたちが、あまり自然に触れないことは、別記事「心と体のツライは自然不足が原因?海外で注目されている自然欠乏症!」をお読みください。
脳医学研究の第一線で活躍し、『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)の著者でもある瀧靖之(たき・やすゆき)医師は、子どもの好奇心を養うには「山に行くこと」1番にすすめておられます。
「山は最大の教師」と言われるほど新しい発見も多く、経験しながら学べることが多いからです。 動物や植物、運動、どんなことでも良いのですが、子どもが興味を持てそうなものを見つけ、5歳までにいろいろな実体験をさせることが脳の発達全体にとっても大切です。興味を持った対象に自分からおもしろがって調べたり取り組んだりすることができる子は、学ぶことが楽しくて仕方ないから、自然と学力が伸びていく。その土台となるものが、学びへの意欲、すなわち知的好奇心なのです。
是非、別記事、「強い子、賢い子、優しい子を育てるアウトドア活動、はじめてみませんか?」もお読みください。
上記事でもご紹介した、瀧医師が興味深い研究結果を示しておられます。小学校の時に成績優秀だった子どものうち、中学校や高校に進学してからも学力が伸びている子と、そうではない子との違いについて、瀧医師が調査した結果、成績が伸びている子どもの家庭の大半が、子どもの頃に、本や図鑑などのバーチャルの世界を通じて好奇心を引き出していたことがわかりました。そして、バーチャルの入り口をつくったり、リアルの体験につなげてあげたりするために最適なナビゲーターは、「親」だと、瀧医師は明言されています。

さいごに

以上、伸びる子どもと親の特徴をお伝えし、脳科学の視点から、具体的にはどうすれば子どもの知的好奇心が育つのかを、ご説明しました。
まとめてみると、知的好奇心を高めるには、図鑑などバーチャルな世界から入り、その後、本物を見たり、経験したりして、熱中すること、そして親も一緒に楽しむことがわかりました。
子どもには、正しい答えを知っていることが良いことではなく、間違えてもいいから自分で試行錯誤をしながら答えを導きだすことが大切であることを強く伝えたいと思います。
ついつい親は先回りして、手や口を出したり、すぐ答えを言いがちですが、気を付けたいものですね。子どものやる気を引き出し、考える力を伸ばしていけるように、たくさん褒めて、そして適度な距離感で見守ってあげましょう。
脳医学者、瀧医師は、脳のしくみから考えて、5歳までに知的好奇心を引き出す親の関わり方が大切だと指摘されていましたね。「人生は知的好奇心そのものです。その時期、親子で本気で知的好奇心を高められていれば、中学生・高校生になっても素地が作られるので、心配はいりません」という言葉を心に留めておきたいと思います。
最後に、興味深い本を2冊ご紹介しましょう。
この本は、幼少期の環境に由来する「好奇心格差」は、深刻な経済格差に発展することが懸念されることを指摘しています。
幼少期に子どもの問いにきちんと答えたり、知識の在り処を教えたりする家の子は、学校でも良い成績を収め、経済的にも成功しやすい。逆に、優れた資質があっても知識が得られない環境の子は、伸び悩む傾向にある。知識習得を軽視してはいけない。
この本は、幼稚園年長組から小学校低学年の子どもに向けた読み聞かせの本です。脳研究でわかった、「好奇心を育てることで頭のいい子が育つ」という事実に着目し、1日1話、3分で読める100のおはなしが収録されています。
自然、宇宙、おばけ、お金、生命の謎、楽しいイベントなど、子どもの好奇心を刺激するテーマがたくさんあります。大人が読んでも面白い本です。是非、手に取ってお読みください。
    この記事の著者
    【ライター・コラムニスト】神戸市外国語大学を卒業後、京都府立高校で英語教師として勤務。 その後、40歳で米国ジュニアタ大学に留学し、平和学を専攻。 続いてオハイオ州立大学 教育学部 修士取得、博士課程、単位取得。 帰国後、関西外国語大学にて教授。 時事、カルチャー、政治経済、幼児教育~社会人教育まで多岐にわたる分野で記事執筆。20年間インドのアウトカーストの子どもたちの教育支援を行っている。 2018年、インド支援の一環として出版社、Murata Publisherを立ち上げる。著書に東洋経済新報社より「クリティカルシンキング 基礎編」「クリティカルシンキング 実践編」「誰も知らなかったインド人の秘密」、Murata Publisherより電子本39冊出版。
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