感情理解教育とは？不安と緊張、閉塞感の今こそ、アンガーマネジメントを！

ライター　村田美子

2021/07/26 04:07

読者の皆さん、園や学校が長期に渡って休校になり、子どもたちが毎日自宅に居ますね。最近、ママもパパも子どもたちも怒りぽくなっていませんか？　ウイルスへの不安はもちろんのこと、子どもの勉強進歩状況、預け先などストレスが溜まっています。特に言葉で伝えることが苦手な子どもは、一旦怒るとどんどんエスカレートして手が出たり、足でけったり、けんかになってしまう、、、この記事ではアンガーマネジメントについてお伝えします。そして増えているDVについても言及します。対処案を提示しますので、是非、役立ててくださいね。

アンガーマネンジメント「感情理解教育」とは
人はなぜ怒るのか？
今日からできる５つのクールダウン法
在宅勤務や子どもたちの休校のストレスが家庭内の弱者への暴力に
さいごに

アンガーマネンジメント「感情理解教育」とは

アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで生まれた怒りの感情と上手に付き合うための心理教育、心理トレーニングです。

1980年代に教育分野、司法分野、医療・福祉分野、ビジネス、スポーツ、カウンセリング、

企業内のパワーハラスメント予防や人間関係向上のためにアンガーマネジメントが取り入れられてきました。

アンガーマネジメントの目的は怒らないことではなく、怒る必要のあることは上手に怒り、怒る必要のないことは怒らなくて済むようになることです。

参考：一般社団法人日本アンガーマネジメント協会, 2018

文部科学省では、このアンガーマネジメントを「感情理解教育 (アンガーマネジメント)」と呼んでいます。

人はなぜ怒るのか？

まず、人間はなぜ怒るのか考えてみましょう。怒ること自体が問題なのではなく、むしろ自然なことです。たとえば、「馬鹿にされた」、「ゲームばかりしていると頭ごなしに責められた」、「言葉の暴力をふるわれた」時などに怒りが込み上げてきます。

感情的になって上手に怒れないことが問題です。怒りの感情と上手く付き合う術は生きていく上で必要なスキルで、怒りを感じたときに自分自身で何ができるのかを知っておくことは大事なことです。

今日からできる５つのクールダウン法

・深呼吸をしましょう。子どもだけでなく、大人も風船を使うと大きく深呼吸できます。

・胸をトントンと叩いたり、さすったりしましょう。すると、気持ちが落ち着いていきます。

・手や腰をゆらゆらさせたり、手のグーパーや、揉む、身体をさすったりしましょう。

・散歩したり、走ったり、歌うのも効果的です。

・不安をリストアップしましょう。頭が整理できます。　

在宅勤務や子どもたちの休校のストレスが家庭内の弱者への暴力に

新型コロナウイルスの感染を防ぐための外出自粛要請や在宅勤務で、配偶者がDV被害にあっているケースが増えています。配偶者へのDVは、弱者への暴力といった点で、子どもへの虐待と表裏一体です。

全国女性シェルターネットによると、新型コロナウイルス対策に伴う自宅待機や経済状態の悪化による、DVや児童虐待の相談がすでに複数入ってきているといいます。

夫が在宅ワークになり子どもも休校となったため、ストレスがたまった夫が家族に暴力を振るうようになった

出典：全国女性シェルターネット

夫がテレワークで自宅にいるようになり、これまで長時間労働ですれ違っていた夫が妻に家事一切を押し付けことごとく文句を言うようになり、モラハラが起こってきた

出典：全国女性シェルターネット

在宅勤務と子どもの休校が重なり、ストレスがたまった夫（妻）が、家族に暴力をふるうようになったとき、どのように対処すればよいのでしょうか？

DVは殴る蹴るの暴力のことだけではなく、生活費を与えない経済的DVや、相手を社会的に孤立させ、支配しようとする社会的DV、言葉によって相手を傷つける精神的DV（モラハラ）、性的DVなど様々です。DVは男性から女性だけではありません。

平成21年度に横浜市が行った「配偶者からの暴力に関する調査及び被害実態調査」によると、DVの被害経験は女性が43％に対し、男性は42％とほぼ同率です。ところが、誰かに相談したのは女性が28％に対し、男性はわずか8％です。

基本的にDVは親密な性的関係にある二人の間で発生し、DVの加害者になってしまうのは相手をコントロールするためです。

DVは圧倒的に加害者に非がありますが、DV被害者も加害者も自覚していない場合が多いので注意が必要です。

加害者の暴力が止まるのは一時的であることを心に留めておきましょう。加害者自身が非を認め、繰り返したくない、と自覚しない限り、繰り返してしまいます。

もし、日常的に、配偶者やパートナーから言葉の暴力や身体的暴力、経済的な暴力などを受けていると感じたら、すぐに以下の窓口へ駆け込んでください。

母子生活支援施設

18歳未満の子どもがいる母子家庭、または何らかの事情で離婚の届出ができないなどの状況にいる家庭の女性が、子どもと一緒に利用できる施設です。

独立した部屋で安全に過ごすことができ、小さな子どもを抱えていても、大丈夫です。窓口は、住んでいる地域の福祉事務所です。事務所の母子自立支援員・婦人相談員さんにご相談ください。

スマートフォンやパソコンがつなげる状態であれば、Googleマップを開き「母子生活支援施設」と入力したら、近くの窓口となる事務所が出てきます。

（リンク）配偶者暴力相談支援センターの機能を果たす施設一覧

ネット環境が整っていないなら以下に電話しましょう。

・全国母子生活支援施設協議会　電話　03-3581-6503

・女性の人権ホットライン（全国共通ナビダイヤル）電話　0570－070－810

2020年3月30日、DV被害を受けた女性や子どものシェルター運営などを行う67の民間団体、NPO法人｢全国女性シェルターネット｣が政府に要望書を提出し、いかなる場合も、相談窓口を閉じないよう要望しました。

さいごに

新型コロナウイルスの蔓延で、不安と緊張、そして閉塞感が強まっています。在宅ワークで家族が少しでもストレスを軽減できるよう、在宅勤務日や1日のスケジュール、仕事中に話しかけたいときのルール、オンライン会議の時間など、自分の仕事の予定やルールを家族に知らせましょう。そうすることで、要らぬストレスを溜めないで仕事ができます。

TDMテレワーク実行委員会は次の３つを勧めています。

「長時間子供を独りぼっちにさせない工夫を考えよう」「自宅にこもると運動不足になりがちなので運動の機会を作ろう」「機密事項もあるのでテレビ会議や大切な電話は別の部屋で」

そして、日常生活でDVや子どもへの虐待が懸念され、苦しんでいる人は迷わず相談して上記の連絡先に助けを求めてください。出口がいまだに見えない新型コロナウイルスとの戦いですが、乗り切るためにこの記事が少しでも役だてば幸いです。

この記事の著者

【ライター・コラムニスト】神戸市外国語大学を卒業後、京都府立高校で英語教師として勤務。その後、40歳で米国ジュニアタ大学に留学し、平和学を専攻。続いてオハイオ州立大学　教育学部　修士取得、博士課程、単位取得。帰国後、関西外国語大学にて教授。時事、カルチャー、政治経済、幼児教育～社会人教育まで多岐にわたる分野で記事執筆。20年間インドのアウトカーストの子どもたちの教育支援を行っている。 2018年、インド支援の一環として出版社、Murata Publisherを立ち上げる。著書に東洋経済新報社より「クリティカルシンキング　基礎編」「クリティカルシンキング　実践編」「誰も知らなかったインド人の秘密」、Murata Publisherより電子本39冊出版。

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