グローバルが注目！！世界の子どもの教育法

ライター　村田美子

2021/11/30 03:11

近年、グローバル化が進み、多様性豊かな社会の中で、独特の教育法や方針で成果をあげている国、イスラエル・フィンランドやインド・オランダなどの取り組みをご紹介しましょう。特に、オランダは住んでいる人の幸福感が高いことで有名な国です。いったい、どのような教育がおこなわれているのでしょうか？

ユダヤ式教育
インド式教育
フィンランド教育
オランダ式教育

ユダヤ式教育

ユダヤ人と言えば、イスラエルを本拠地に、世界各国に散らばり、世界的大企業のトップが多いことで知られますね。頭脳明晰な人も多く、ノーベル賞受賞者も多数輩出しています。ユダヤ人の教育メソッド「ユダヤ式教育」についてご説明しましょう。

大それたメソッドがあるわけではありません。強いていえば「家庭」が大切にされ、家庭で育む教育、子どもの興味を引き出し、子どもの話すことに大人がしっかり向き合うことが重要視されています。筆者は、イスラエルでホームステイをした経験を持ちますが、兵役から一時帰宅した18歳の娘さんと、お父さんが夕食後、何時間も話し込んでいた光景を思い出します。家族の中で育まれる信頼感を強く感じました。

インド式教育

インド人がアメリカのIT有名企業のCEOに多く抜擢されていることは、広く知られていますね。インドはゼロの概念を発見した国で、理数系に強い国民です。インド式教育では、古くから数学など理系に重点を置いた教育がされてきました。

インド式教育は、日本の公教育よりも圧倒的に学ぶ分量が多く、レベルが非常に高いのが特徴です。貧困層も多く、誰もが私立の幼児教育～高校教育を受けられるわけではありません。カーストが高く、経済的余裕のある幼児～高校生は私立の学校へ行きます。そこでは、すべて英語で教育がなされます。そして、トップの成績の人だけが、国立の大学や大学院に行き、好条件で海外の企業に就職します。いいかえれば、インドの教育はレベルの高さを追及する教育法と言えます。

最近では、IT関連ではカーストを問わないため、奨学金を得てトップ大学に進み、海外で就職している低カーストの若者もいます。これまでアメリカで就職していた若者が、最近ではインド国内にとどまり、内からインドを変えていく原動力になりつつあります。

フィンランド教育

フィンランドの教育制度の最大の特徴は、教師の専門性が非常に高く、全員がマスター（大学院卒）であることです。「落ちこぼれを作らないこと」がフィンランドの教育のモットーです。一斉授業ではなく、子ども一人ひとりに合わせて指導がなされます。

子どもたちは、「学ぶことが楽しいこと」を体験します。その結果、フィンランド人は一生、何かを学ぶ姿勢を貫きます。また、子どもと教師、親と教師の信頼感が大変強いのが特徴です。日本はフィンランドから学ぶべきことが多くありそうですね。

オランダ式教育

オランダは、2007年度にユニセフWell‐Being調査で世界１になった国です。オランダは、憲法で教育の自由が認められているため、他国の教育法でも自由に取り入れることができます。　ドイツ生まれの「イエナプラン」は1960年代に取り入れられてから急速な普及を見せ、いまや200校以上あります。その他、ピラミッド教育法、ピースフルスクールプログラムなど、オランダの教育の特色は、「100の学校があれば、100の教育がある」といわれるほどです。

ピラミッド教育は考える力や自主性を育むことを重視していて、3歳の子どもから6歳まで受けられます。現在、オランダ全域だけでなく、ドイツ、アメリカ、日本の計4カ国でピラミッドメソッドが導入されています。

ピラミッドメソッドの特徴は、１．子どもの自主性を育てる、２．保育者の自主性を育てる、３．子どもに寄り添うこと、４．子どもと距離をおくことです。そうすることで、子どもは抽象的な世界に目を向け、想像力や表現力を養えるといいます。

まとめ

いかがでしたか？世界には良い教育をしている国がいろいろあるんですね。特に、オランダの幼児教育「ピラミッド教育」で、「保育者の自主性を育てる」「子どもと距離を置く」は日本の幼児教育でも大切であると強く思いました。

この記事の著者

【ライター・コラムニスト】神戸市外国語大学を卒業後、京都府立高校で英語教師として勤務。その後、40歳で米国ジュニアタ大学に留学し、平和学を専攻。続いてオハイオ州立大学　教育学部　修士取得、博士課程、単位取得。帰国後、関西外国語大学にて教授。時事、カルチャー、政治経済、幼児教育～社会人教育まで多岐にわたる分野で記事執筆。20年間インドのアウトカーストの子どもたちの教育支援を行っている。 2018年、インド支援の一環として出版社、Murata Publisherを立ち上げる。著書に東洋経済新報社より「クリティカルシンキング　基礎編」「クリティカルシンキング　実践編」「誰も知らなかったインド人の秘密」、Murata Publisherより電子本39冊出版。

コメントまだありません