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エリクソンの発達課題とは?段階ごとの子育てポイントをご紹介!

ライター 村田 美子
2020/12/06 16:12
読者の皆さん、こんにちは。今回は心の発達に関するお話です。私たちの心はどのように発達するのでしょうか?エリクソンは人の一生を「ライフサイクル」と捉え、心の発達の過程を8つの段階に分けました。特に、乳幼児期~学童期は、まわりの大人の接し方が、その子の人生を左右することに身が引き締まりますよ。

エリクソンのライフサイクル論って?

エリク・ホーンブルガー・エリクソンは、アメリカの発達心理学者で、精神分析家です。「アイデンティティ」の概念や、エリクソンの心理社会的発達理論を提唱し、アメリカで最も影響力のあった精神分析家の一人とされています。
そんなエリクソンですが、実は彼の人生は、非常に苦難の多いものでした。
ドイツ生まれのユダヤ系デンマーク人だったエリクソンは、その北欧系の風貌からユダヤ系社会やユダヤ教の教会で差別を受けており、またドイツ人コミュニティからはユダヤ人であるという理由で差別を受け、二重の差別を受けて育ちました。また、実の父親の出自や所在が分からない状態で育った事も加え、彼の出自や生育歴がその後の理論・思想形成に大きな影響を及ぼしています。
エリクソンは人の生涯には8つのテーマがあるといっています。ライフサイクル論では、各段階に乗り越えるテーマと危機が対になっています。ここでは、特に保護者のサポートが必要な乳児期から思春期・青年期までについて詳しくお伝えし、後半では成人期、壮年期、老年期の心についてお話しましょう。

エリクソンの発達課題(乳児期~青年期)

1. 親に愛されて、こころが生まれる ――乳児期  0~1歳半

乳児期は周りの大人などから受ける愛情を糧に希望をもって成長します。この時期の発達課題は「基本的信頼 対 不信」です。
この時期に信頼感が育たないと、将来のアイデンティティー形成へ影響があるとエリクソンは言います。

2. 愛されながら、自信をはぐくむ ――幼児期  1歳半~4歳

幼児期の子どもは、自由に歩けたり、自分の意思で行動できるようになります。
さらに、言葉で自分の気持ちや願いを他者に伝えられるようになります。一方で、しつけなどを通して社会性を身に付けていきます。
発達課題は「自律性 対 恥」です。自分をコントロールすることができるようになり、できないことを「恥」ととらえます。

3. 遊びのなかで成長する ――児童期  4歳~6歳

児童期(遊戯期)は、ままごとなど、子どもが自主的に遊ぶことが多い時期で、集団生活の中で、まわりに合わせて目的を持って行動できるようになります。
発達課題は「積極性 対 罪悪感」です。自主性が高まる一方で、自分の行動が周囲から叱責される疑惑や恐れ、罪悪感を持つようになります。

4. 休み時間にいっぱい学ぶ ――学童期   5歳~12歳

学童期は小学校へ通う時期で、発達課題は「勤勉さ 対 劣等感」です。この頃の過ごし方が、社会に出てからの勤勉な生き方の基盤を作ります。また、この時期は自分の有能感が育ち、逆に劣等感を抱いてしまうと、その後の人生にマイナスの影響を与えます。

5. 仲間をモデルにして、自分を見つける ――思春期・青年期 12歳~18歳

この時期の発達課題は「アイデンティティー 対 アイデンティティーの混乱」です。
アイデンティティーとは、自分とはどういう人間であるかを知ることで、エリクソンが創った言葉です。
自分が他人にどう見られているか、自分自身を客観的に見つめ、自分の価値や能力、短所も判ってきます。
青年期にアイデンティティーを確立できず、自己嫌悪感と無力感を持つ状態がアイデンティティーの混乱です。

エリクソンの発達課題(成人期~老年期)

6. 結婚・恋愛などで、他者と親密な関係を持つことで心が安定し、社会に貢献する――成人期 18歳~40歳

この時期は就職して結婚するまでの時期で、発達課題は「親密性 対 孤立」であるとエリクソンは言います。
親密性とは異性と互いに親密な関係性を築くことで、この時期に人は恋愛・結婚といった人生の節目を迎えます。
また、就職することで社会とのかかわりに価値を生み出すようになります。仕事仲間と信頼し合ういい人間関係を築くことで、本当に満足のいく仕事を達成することができます。キーワードは愛です。
もし、長期的な人間関係を構築できず、表面的な人間関係しか築けない場合は孤立していきます。

7. 次の世代がよりよく生きられるよう貢献する――壮年期  40歳~65歳

この時期は親として過ごし、下の世代を育んでいくことが課題になります。次世代にも責任を持ち、いいものを次世代に残すことが世代性ですね。
自分自身への関心にだけに没頭することは停滞であるとエリクソンは言います。せっかく業績を積み上げてきても、それを次世代に一切伝えようとしない状態です。
壮年期に好き勝手に生きると、老年期に「どうして自分のことばかり考えていたのだろう。」と後悔することになります。

8. 人生への感謝を問われる ――老年期  65歳以上

人生の締めくくりといえる老年期の発達課題は「自己統合 対 絶望」です。それまでの人生を振り返り、自分の生きた道を受容することができ、満足できると、安定した心持で人生を終えていくことができる、それが統合性です。
統合性を獲得することで気持ちや情緒が安定し、円滑な人間関係を維持したり、趣味・ライフワークを心の底から楽しんだりすることができます。
しかし、自分の人生を受け入れられないままだと、人生を後悔して新たな自分を探し求め、身体の老化や時間のなさに不安や焦りが募って絶望してしまいます。

問題が起きたら立ち戻ることも大切

エリクソンは、8つの発達課題を順にクリアしたとき、初めて次の段階に進めると言っています。
成長の段階で心の問題が生じた時には、それ以前に達成できなかった発達課題が足かせになっていることが多いのです。そのときはそこに立ち戻り、もう一度やり直してみましょう。

さいごに

人の心が健全な発達をするために大切なエリクソンの発達課題をご紹介しました。まとめてみると、乳児期は希望、幼児期は意思、児童期は目的、児童期は有能感、青年期はアイデンティティーがキーワードです。そして、成人期は愛、壮年期は世話、そして老年期は賢さがキーワードになります。
筆者はこの記事を書きながらインドの「四住期(しじゅき)」を思い出しました。人の人生には学生期、家住期、林住期、遊行期があるという、インドに古くからある哲学的な考え方です。
エリクソンの分類との違いは「遊行期(うぎょうき)」で、老齢期の後にくる時期です。この時期には、人生で得たすべてを放棄して、死を迎える瞬間まで放浪します。 行者となって一人旅立ち、托鉢しつつ放浪しながら解脱を得ます。インドでは現在でも高級官僚や会社の重役だった人が、退職後、行者となって放浪している姿は意外に多いそうです。
五木寛之氏は、著書『遊行の門』の中で、遊行期は「幼い子供に還る時」だと言っています。その終わりの章に遊行期は「死と遊ぶ時」とも書いています。
この時期は体が不自由になり、人の助けがないと日常生活がおくれなくなる可能性が高いですね。再び「~される」時期に戻りました。何事も受け入れることで、心の安心が得られると宗教家、鈴木大拙も説いています。
エリクソンの発達課題は、すべてがポジティブでなければいけない、というわけではなく、ポジティブとネガティブ、両方のバランスが大切です。たとえ、間違えた方向にいっても途中で修正することができることも覚えておきたいですね。
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