これからご紹介する教育メソッドは、残念ながら、日本では教育の自由化がされていないため小学校以降の義務教育に取りいれることが難しいという現状があります。そのため、幼児教育として受け取られることが多いのですが、欧米では、小学校から大学まで取り入れられているところもあります。以下、一つずつ見て行きましょう。

シュタイナー教育とは、オーストリア生まれの哲学者ルドルフ・シュタイナー（1861～1925年）が提唱した教育思想・教育実践です。1919年、シュタイナーは、ドイツのシュトゥットガルトで工場労働者である子どもたちに対して教育施設「自由ヴァルドルフ学校」を設立し、独自の思想をベースにし、全人的な成長を促す教育に取り組みました。

シュタイナー教育の特徴は、12年間一貫教育、1つの教科を集中して学ぶ、教科書を使わない、芸術的な手法を用いる、子どもを点数で評価しない、異年齢の縦割りクラス、という特徴があります。また、早期の知的教育を避けるためにテレビやゲームは禁止、絵本なども使わずストーリーだけで物語を伝え、子どものイメージを膨らませます。そのほかにも、どんな教科でも歌をうたったりして、芸術に親しむ姿勢を養います。

シュタイナー教育では、子どもの知識を点数で評価するのではなく、伸び伸びと育てることに重点を置いているため、自分で考えて行動することができる人間になります。そのため、シュタイナー教育の歴史が長い海外では、自分で事業をおこす起業家や、創造性豊かな芸術家やアーティスト、ライターなどが多く生み出されています。

モンテッソーリ教育は、イタリアの女性医師、マリア・モンテッソーリによる教育実践です。幼児の自発的な活動を促すことで、自らの力で学ぶことを重視しています。そのため、大人は子どものすることに、いちいち口出しせず、静観することで、子どもの自主性を引き出し、伸ばしていきます。

モンテッソーリ教育で育つと、子どもは自分で考えて行動できるようになります。よく考える習慣が身につき、勉強も探求心を持って自発的にする子どもになります。学ぶことが楽しいという経験をしているので、研究者に向いていたり、起業家に向いていたりします。人前での発表も臆することなくできる子どもが育ちます。

フレーベル教育は世界初の幼稚園を創設した、幼児教育の祖、フリードリヒ・フレーベルによる教育メソッドです。自然観察や遊びによって子どもの可能性を最大限に引き出すことを重視しています。

フレーベル教育で育つと、自然が大好きで、落ち着いて優しい子どもが育ちます。人間の核ができ、レジリエンス（逆境に強い）の高い子どもになります。

フランスの教育者である、セレスタン・フレネが提唱したメソッドが「フレネ教育」です。子どもを主体に置くところから生まれてきた実践的な教育方法であるフレネ教育法は、教え込んだり詰め込んだりするような教育方法ではなく、子どもの主体性を大切にしています。

大きな特徴として「自由作文」と「印刷」があります。自由作文は3歳から始め、子どもが生活の中で発見したこと、表現したいことを文章にします。作った作文は友達の手で印刷され、絵をつけて配られます。さらに、お互いの考えを言い合う習慣があり、フレネ教育で育った子どもは「対話の名人」と呼ばれています。

コミュニケーション能力が幼い時から鍛えられ、外交的で積極的な子ども、表現豊かな子どもになります。将来、どのような職業についても、人間づきあいが上手な大人に育ちます。

たくさんある世界の教育メソッドの中で、よく知られているものをご紹介しました。もっと詳しく知りたい方は、orioriの他の記事も是非お読みください！