
日本語児と英語児、どちらが語彙数が多い?
oriori編集部
2022/09/13 03:09
日本の1~2歳児と英語圏の1~2歳児が習得する言葉の数や正確さを比べてみましょう。日本の1~2歳児は、語彙数は少ないけれど、新しい語を正確に学習する能力を早期から持つことが研究で分かってきました.なぜでしょうか?この記事では、お母さんの語りかけの仕方に焦点を当ててみましょう。何かヒントが見つかるかもしれません。
日本語児と英語児の語彙数比較
NTTコミュニケーション科学基礎研究所では、人間科学の視点から、言語習得研究を長年進めてきました.一つのプロジェクトは子どもがいつ、どんな語を言えるようになるのかを明らかにする研究です。
約1300名の親子を対象として、子どもがどんな語を理解・発話できるかをチェックリスト形式で親に回答してもらい、それらを集計して約2700語について子どもが理解・発話する時期を推定する「幼児語彙発達データベース」を作りました。
研究にはマッカーサー乳幼児言語発達質問紙 (CDI: MacArthur-Bates Communicative Developmental In ventories)と呼ばれる世界各国で標準化された語彙チェックリストが使われました。
そして、生後20カ月の日本語児が平均74語発話できるのに対し、英語児は137語と倍近くの語を発話しているという結果が出ました。
これは、1〜2歳ごろの初期の語彙発達において、日本語児が英語児に比べ発話できる語彙数が少ないということを示しています。日本語児は英語児に比べて発話できる語彙数が少ないけれど、正確であるという結果も出ました。「わんわん」や「ぶっ ぶー」といった擬音語の赤ちゃん言葉は日本語に特徴的なものですが、それと関係があるのでしょうか?
なぜ、日本児は語彙数がすくないの?
子どもに対する親の語りかけ方に理由がありそうです。 NTTは生後20か月の日本語児と、英語児の子どもを持つ母親を対象に、日本とカナダで親の発話スタイルに関する実験を行いました。母親は実験室で子どもを自分の膝に座らせ、モニターに提示される15種類の動画(犬がエサを食べる、ブタが寝ているなど)を子どもに説明するように指示されました。
日本語児の母親は「わんわん」や「ブーブー」など赤ちゃん言葉を多く使用していて、平均して発話の26%が赤ちゃん言葉でした。英語児の母親の発話で赤ちゃん語がみられたのはわずか8%でした。
また、日本語児の母親は「犬や、わんわんいるね。犬さん、ごはん食べてるよ。ぱくぱくしてるね」といったように赤ちゃん言葉と成人語を併用していました。 また、日本語児は新しい語を学習する能力が英語児に比べてより早い時期から発達していたのはこの併用が理由のようです。
一方、英語児の母親は、“Dog! It’s eating. The dog is eating“といったように、一貫してdogを用いていたのです。英語圏では幼児に対しても大人と同じ言葉で会話を行うことが多いのです。そのため、英語児は語の定着が速く、語彙数が多くなっていると考えられます。
参考:https://www.ntt.co.jp/journal/1609/files/jn20160921.pdf
英語の幼児語ってどんなモノがある?
英語の幼児語は、以下のように、普通の単語(成人語)に、ie(イー)をつけて、幼児の耳に入りやすいような工夫や、動詞を繰り返したりしています。
イヌ - doggie
ネコ - kitty あるいは meow
馬 - horsie
鳥 - birdie
魚 – fishy
お母さん mommie, mom など。
おばあちゃんgammyやgranma, nana
お父さん dada, daddy,papa,pappyなど。
おじいちゃんはpaw-pawやgrandpappy
自動車 broom broom, vroom-vroom
汽車 choo-choo
おしっこ(をする) pee-pee,(make) ti-ti, など
うんち(をする)poo-poo, poop, boo-boo, など
歩く footsie
寝る sleep-sleep
食べる eat-eat
おやすみなさい night-night
いないいないばあ peekaboo
「いないいない、ばあ!」が赤ちゃんが大好きなのは万国共通なんですね。
さいごに
いかがでしたか?同じ赤ちゃん言葉でも、日米では違うことがわかりましたね。どちらも可愛い音であることに違いがありません。それにしても、NTTの徹底した実験には脱帽です。この研究結果は、絵本の選び方などにも応用できるということです。
この記事の著者
ライター
oriori編集部。現在総勢6名で企画・取材・原稿作成・記事編集を行っています。編集部員は、習い事検索メディアのプロデューサーや自身も子どもを持つフリーランスで活動していた編集者/ライターなど、子育て・知育・教育全般に詳しいメンバーが集まっています。
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