赤ちゃん言葉とは、赤ちゃんが生後10か月ごろから使う「まんま」「ぶーぶ」「おとと」などの幼児語のことで、3歳前後まで親との意思疎通に使われる言葉です。英語ではMotherese（母さん語）とか、Parentese（親言葉）とも呼ばれます。

一般的に、発音が未熟な幼児が発音しやすい言葉（ママ）、対象物が発する音(わんわん)、状態を音で表現した（むーむー）、同じ音を繰り返す言葉(がーがー)、動詞部分を省略した言葉（ねんね）などが、赤ちゃん言葉として使われます。（カッコ内は一例）

「幼児語を使い，幼児と1対1で話す」事が，幼児の言語発達に極めて重要という研究結果が出ています。2014年にNairán Ramírez-Esparza　Adrián García-Sierra　Patricia K. Kuhl2　が行った「Look who’s talking: speech style and social context in language input to infants are linked to concurrent and future speech development」という研究論文にそのことが書かれています。

生後11か月から14か月の赤ちゃん、26人を対象に研究が行われました。「LENA system」という小型の録音装置を幼児の胸ポケットに入れ、家庭内の自然状態での言語状況や親とのやりとりを録音しました。

子どもと親の会話スタイルは「幼児語」／「普通の言葉（幼児語を使わない）」、会話状況は、「1対1」／「大人複数と幼児」の4グループを比較し、会話スタイルと状況の、その後の幼児の言語発達への影響を調べました。

・幼児語＆1対1

・幼児語＆グループ

・普通語＆1対1

・普通語＆グループ

の4パターンと、「2歳時の語彙数」の相関を調べた結果、「幼児語＆1対1」に強い相関がありました。つまり、「１対１で幼児後で話をすると語彙数が増える」ということですね。また、「親の発した単語数」と「子どもが話せる言葉の数」には相関がなく、この研究では「インプットの量より質」が重要という結果がでました。たくさんお話するよりも、１対１という状況・環境を用意し、子どもに向き合ってお話をすることが大切ということがわかります。

2歳児での単語数を調べた結果、幼児語で話したグループの方が、433語、話さないグループの単語数168語という結果で、2才時点での語彙数に2.5倍という大きな違いが見られました。また、この研究では、親が赤ちゃんに話しかける量（単語数）よりアイコンタクトなどを伴った質が大切で、1対1で赤ちゃんと丁寧なコミュニケーションを取ることの大切さを指摘しています。

いかがでしたか？赤ちゃん言葉を使う方が良いのか、使わない方が良いのか、実はこの問題は、ずっと世界中で議論されてきました。日本でも以前は、赤ちゃん言葉を使わない方が言葉の発達は早くなると言われていましたね。しかし、上記でご紹介したアメリカや英国のエディンバラ大学の研究では、赤ちゃん言葉でコミュニケーションをとると、赤ちゃんの語彙が多くなるという研究結果がでています。赤ちゃん言葉で話しかけると、赤ちゃんは通常の2.5～3倍も言葉を覚え、さらに重要なポイントは、話しかける量よりも質の方が大切で、それも1対1で接する方が効果が高いとしています。さっそく、日々の育児に応用できそうですね。「赤ちゃん言葉で話すとダメ」という固定観念は捨てて、ママ・パパも安心して赤ちゃんには赤ちゃん言葉を使って話しかけてあげてくださいね。