赤ちゃんの発話は、平均より早い子どももいれば、遅い子もいるなど、個人差が大きいです。しかし、言葉が成長するプロセスには大きな差がなく共通しています。以下、目安を見ていましょう。

生後0～1ヶ月頃は、無意識的に泣いたり笑ったりして声を発しますが、生理反射としてのことがほとんどです。

生後2～5ヶ月頃は、喉の奥でクーという音をたてます。この音は赤ちゃんが機嫌の良いときに発します。これは舌を使わないで母音（あいうえお）を発するクーイング（別記事参照）で、喃語（別記事参照）の前段階です。「あー」「うー」など1音節を発します。あやすと声を出して笑うこともあります。

生後6～11ヶ月頃に、低いうなり声や高い声、濁音や破裂音など唇を使った複雑な音を出すようになると、喃語を発し始めます。少しずつ「うーうー」と2音節を発するようになり、「ババババ」といった連続子音や母音を発します。

1歳～1歳半頃は、「マンマ」など、異なる二つ以上の子音＋母音を発し、何となく意味が通じる言葉になってきます。発達の早い赤ちゃんの場合は1歳になる前から「ママ」「ワンワン」と、1語の語彙を増やしていきます。

1歳半～2歳頃は、1語が増えてくるに従って、「パパ、どこ？」といった2語文を話し始めます。ここから3歳くらいまで、2語、3語とどんどん語彙が増えていき、言葉の表現が豊かになっていきます。

このように述べると、大抵のお母さんは心配顔になります。でもちょっとくらい言葉が遅くても何も心配することはありません。発話には個人差が大きいからです。

言葉を発する時期については、平均よりも遅いと保護者は心配になると思います。しかし、身体的な成長や運動機能に大きな遅れがなく、身の回りの音にも反応していれば、3歳くらいまでは基本的に全然心配いりません。

筆者の専門は言語習得研究ですが、言葉の習得時期は魔法瓶に水を入れている状態であると考えます。魔法瓶に水を入れている時はどのくらい入っているのかわからなくても、ある一瞬あふれ出てくるように、赤ちゃんの脳に蓄積された言葉がある時期になると溢れ出てきます。

特に男の子は、言葉を発するのが遅い子が多い傾向にあって、3歳を過ぎて急に話しはじめる子どももいるくらいです。保護者にとっては「じっと我慢」の時期でもあり、楽しみな時期でもありますね。

いかがでしたか？発話時期には個人差がありますが、習得のプロセスは一定であることをお伝えしました。言葉が遅いときには保護者は辛抱強く、赤ちゃんが興味を持ったものや感じたことを代弁してあげるといいですね。できるだけ、たくさん話しかけて言葉をインプットしてあげましょう。インプットを多くしようと、テレビやDVDを使うことは、筆者はおすすめしません。TVなどは一方通行で、むしろ言葉の成長の妨げになり、視力発達にも影響がでるからです。しっかり赤ちゃんと向き合って、目を見て話しかけたり、ママやパパの声で絵本を読んであげたりしましょう。同時に、赤ちゃんの反応を注意深く観察して、聴力などに異常はないかも確認してくださいね。異常に関しては、詳しくは別の記事でご説明します。