ＯＥＣＤ（経済協力開発機構）加盟国を中心に、3年ごとに実施される15歳の子どもたちの学習到達度調査があり、国際統一テスト「学習到達度調査（ＰＩＳＡ）」と呼ばれています。そのテストは選択式・記述式で作られており、テスト結果をもとに国ごとにランキング付けしています。

ＰＩＳＡテスト結果の中に「読解力」の項目があるのですが、このテスト結果において日本の子どもたちの成績が、２０００年８位から、２００６年には１５位、その後２０１２年には４位まで盛り返してきたのですが、２０１５年は８位となっています。その間フィンランドは、２０００年・２００３年の１位を皮切りに、２０１５年まで高順位をキープしています。フィンランドは人口５５０万人と、決して大きな国ではないにも関わらず、このような好成績をキープしていることから、世界から非常に注目されました。

また、フィンランドは読解力だけではなく、ほかの項目でも好成績を残しています。

ＰＩＳＡ２０１５では、科学リテラシーで５位、数学的リテラシーで１３位、協同問題解決能力では７位にランクインしています。

フィンランドは、世界きっての優秀な文化大国になるべく活動し始め、その結果、教育レベル、幸福度、福祉などで上位にランキング入りを果たし、国際経済競争力に関しては、５年連続１位を獲得したこともあります。２０１９年の最新ランキングでは、１５位と落ちてきているのですが、国の規模から考えるとそれでも高いといえるのではないでしょうか？

成績上位層と下位層の開きが小さく、優秀な子どもが育ちやすいフィンランドには教育面で大きな特徴があります。

フィンランドでは、初等教育が始まる前の1年間、フィンランドの子どもは「プレスクール（就学前教育）」に通って社会性を養います。プレスクールも義務教育に含まれており、保育園か学校内で行われます。子どもの思考力や自主性を伸ばすことに重点を置いた教育制度があり、行政の細やかなサポート体制により子ども間の学力格差が他国と比較して少ないです。また子どもを教育するには、”先生”が必要になると思いますが、フィンランドには優れた教員養成課程があり、その点も抜かりありません。

プレスクールから大学院までの教育費はすべて無料となっています。フィンランドは、「国としての強み」を作るため、教育・研究・開発という3つの分野に集中して投資することを政府が決定しているのですが、国が重点を置いていることからも、国の全ての子どもは平等に教育を受ける機会を保障されていることが特徴です。

日本でいう「教育指導要領」、つまり国が定める「これは必ずやりなさい」と決められている内容が、過去から１／３になっています。それはつまり、国の定める学習目標を達成しさえすれば、現場で子供たちに教える内容や方法を、それぞれの学校が自由に決められるようになったということです。現在日本では「２１世紀型スキル」を育むためのカリキュラム設計に四苦八苦していますが、一方フィンランドでは、変化する世の中に適宜対応していくための”余白”があるということなので、柔軟な変更が可能になります。

先ほど教員の育成体制について、少し話が出ましたが、フィンランドでは「教師の裁量権が大きい」がゆえに、学士課程と修士課程で厳しいトレーニングをすることになっております。また入り口も非常に狭く、大学の教育学部に入学したり、教職課程を履修したりする際の選考に合格できるのは約１０％ほどしかないようです。そしてそこに入ったとしても、教職課程には定員の5倍以上が応募するそうで、非常に狭き門となっています。現在もフィンランドでは「先生」という職業は、医師や弁護士と同じくらい多くの人が憧れる人気の職業らしいです。

フィンランドでは、子どもたちの学習意欲や心身の健康をどのように伸ばしていくのか？という研究が進んでいます。そんな研究結果で、近年重視され始めているのが「体を動かす活動」です。子どもたちを「椅子」から解き放つことが、子どもたちの成長のうえで大切なことだということを考えています。学校の中では授業中に椅子に座って勉強をする時間は必ずあると思いますが、そんな「座学の時間」をなるべく減らして体を動かすことによって、生徒たちの教室内での態度・姿勢が良くなって、授業に対する集中力や学習意欲、参加意欲を高めるなどのメリットがあるみたいです。プレスクールの時期から１日あたり約２～３時間、思いっきり体を動かす時間を作るようにカリキュラムがつくられています。

いかがでしょうか、フィンランドは本当に教育に対するチカラの入れ方がすごいですね。

自分の子どもをフィンランドで育ててみたいなと思いました！